青森県で震度6強を観測した地震を受け、後発地震への備えを呼び掛ける高市早苗首相=9日未明、首相官邸 8日深夜に発生した青森県東方沖を震源とする地震は、10月に発足した高市内閣にとって初めての本格的な危機管理対応となった。首相官邸近くの衆院議員宿舎に戻っていた高市早苗首相は、発生から約30分後に宿舎を出発し、再び官邸入り。被害状況の報告を受けるなど対応に当たった。
この日の首相は午後8時前に公務をいったん終え、官邸を後にしていた。地震が起きたのは同11時15分ごろ。政府によると、首相は約2分後の同17分に(1)適時的確な情報提供(2)早急な被害把握(3)政府一体の救命・救助―を指示した。
官邸危機管理センターには対策室が直ちに設置され、関係省庁の局長級による緊急参集チームが被害状況の把握などに取りかかった。
首相が官邸入りしたのは午後11時50分。待ち構えていたテレビカメラを前に、自ら指示した内容などを説明した上で、「詳細はこれから報告を受ける」とエレベーターに向かった。
首相は執務室で、赤間二郎防災担当相や増田和夫内閣危機管理監らと断続的に協議。日付が変わった9日午前2時半ごろに官邸を出る際、テレビカメラの前に再び立ち、津波警報対象地域の住民らに避難継続を呼び掛けるなどした。
木原稔官房長官も首相に前後して官邸入りし、2回の定例記者会見を含め、9日夕までに計4回の会見を行った。
折しも、首相は2日に福島県を訪れ、東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第1原発などを視察。7日は石川県に足を運び、能登半島地震の復興状況を確認した。直前の被災地入りが、首相の危機意識に影響を与えた可能性もある。
実際、首相周辺は今回の対応を「スムーズに連携が取れた」と振り返った。首相は9日午前9時ごろから予定通り衆院予算委員会に臨み、青森を地盤とする立憲民主党の岡田華子氏から「不眠不休で対応いただいた」と謝意を示される場面もあった。