
18件にも及んだ連続闇バイト強盗事件で、先週、首謀者とみられる男4人が逮捕されました。
こうした中、実行役の1人が東京拘置所でJNNの取材に応じ、「リスクだけでリターンはない」と闇バイトの実態を証言しました。
闇バイト強盗事件 記者が面会した“実行役”高柳光希キャスター:
首都圏で相次いだ闇バイト強盗事件。12月5日に市川市の事件で逮捕された福地容疑者、村上容疑者、渡辺容疑者、斉藤容疑者の4人が、犯行を指示した首謀者とされています。
闇バイト強盗では、“首謀者”が“実行役”に指示を出し、次に“実行役”が奪った現金などが“回収役”にわたり、そこから“回収役”が“首謀者”に現金などを渡すという流れで犯行が行われています。
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実行役の本橋日尚太被告(25)は一連の事件のうち、東京・葛飾区の強盗傷害事件で逮捕、起訴されています。
小倉記者は本橋被告から、手紙を受け取ったということですね。
TBS報道局 社会部 小倉直樹 記者:
私は、逮捕から約1年後の今年10月から9度にわたって面会しました。頭を丸刈りにしていて、朴訥とした青年というのが本橋被告の印象です。
当初は家族などから取材を断るよう勧められていたということですが、「自分と同じように闇バイトに関わる若者や、強盗事件の被害者がこれ以上増えないでほしい」という思いから、経緯や今の心情を手紙に綴ってくれました。
高柳光希キャスター:
手紙には「闇バイトを始めたきっかけ」も書かれています。
当時は仕事をしておらず、「なんとなくX(旧ツイッター)で『即日バイト』と検索」し、ヒットしたうちの数件にダイレクトメッセージを送信したといいます。
そのバイトの内容は「ゲーム機を売ってきて欲しい」というもので、実際にこの1日だけで現金3万円を手にしたということです。これについては、「この1件で、SNSで募集しているバイトは楽で稼げて安心というイメージを持ってしまいました」と振り返っています。
「ゲーム機を売ってきて」という内容ですが、これも「闇バイト」の一つと考えていいのでしょうか。
TBS報道局 社会部 小倉直樹 記者:
一種の闇バイトだった可能性が高いと思います。
そのときは人に危害を加えたり、本橋被告自身が捕まったりすることがなかったため、「これが間違った成功体験になってしまった」と被告は振り返っています。
また、本橋被告はホストクラブで仕事をしていて、日によってはシャンパンのオーダーで1日100万円を稼ぐ日もあったことから「金銭感覚が狂ってしまっていたのではないか」といいます。
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高柳光希キャスター:
闇バイトだと気づいたときには、もう引き返せないものなのでしょうか。
TBS報道局 社会部 小倉直樹 記者:
本橋被告も空き巣などの明らかな犯罪行為をするつもりはなく、実際に電話で一度、指示役からの指示を断ったということです。
しかし、指示役にはすでに住所や写真などの個人情報を渡していて、それが引き下がれなくなった最大の要因だと振り返っています。
高柳光希キャスター:
本橋被告の幼少期をよく知る人物は、取材に対して「なぜ闇バイトのニュースを見ていなかったのか。グレーだと思ったときに警察に行くとかすれば、違う結果になっていたはず」と話しているということです。
TBS報道局 社会部 小倉直樹 記者:
何よりも被害者に一生消えない傷を負わせてしまったわけですから、本橋被告の幼少期をよく知る人物は、「初めから真っ当な方法でお金を手に入れて欲しかった」と厳しく指摘しています。
高柳光希キャスター:
本橋被告は手紙の中で「多分、ニュースを目にしつつも、自分は関係ないダマされる訳がないとタカをくくっていたのでしょう」とも振り返っています。
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TBS報道局 社会部 小倉直樹 記者:
本橋被告は、手紙だけではなく面会の中でも「闇バイトはリスクだけでリターンはない」と何度も強調しました。
ある捜査関係者によると、これまでに逮捕された実行役38人のうち、報酬を手にしているのは数人だといいます。いわば実行役は「使い捨て」にされていたという実態が浮き彫りになっているということで、本橋被告も使い捨てされた1人なのだと感じます。
本橋被告は「自分のような人間が少しでも減ってほしい」「自分のように闇バイト強盗に手を染めてしまう若者が減れば、結果的に被害に遭う方も減る」ということで取材に応じてくれました。
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<プロフィール>
小倉直樹
TBS報道局 社会部
警視庁捜査一課・国際犯罪対策課などを担当
闇バイト強盗や外国人労働者を取材

