画像提供:マイナビニュース住宅ローンを利用する際には多くのことを決める必要がありますが、最も頭を悩ませるのが「金利タイプはどうするか」という点でしょう。現在の住宅ローンは、低水準が続く変動金利を選択する人が多数派ですが、マイナス金利解除の影響もあり、ここ最近は固定金利を選ぶ人の割合も増えているといいます。
そこで今回は、住宅ローンに関する調査結果をご紹介するとともに、実際に住宅ローンを扱う担当者に住宅ローンユーザーのトレンドについてお話を伺いました。
「固定金利」を選ぶ人が増加している
LIFULL HOME’Sは、住宅購入者826名と購入検討者1,099名を対象に『住宅ローンに関する意識調査(2025年7月)』を実施しました。
これによると、現在組んでいるまたは検討している住宅ローンの種類は、購入者・検討者ともに「変動金利」が最多となった一方、その割合は購入者が64.1%(前回2025年1月調査: 69.7%)、購入検討者が56.0%(前回調査: 57.3%)と前回より選択した割合が低くなりました。
なお、「固定金利(全期間固定型)」の割合は、購入者が24.4%(前回調査: 22.2%)、購入検討者が38.4%(前回調査: 35.1%)、「固定金利(期間選択型)」の割合は、購入者が11.6%(前回調査: 8.1%)、購入検討者が5.6%(前回調査: 7.6%)でした。
同調査によると、購入検討者の金利上昇への懸念は依然として強く、すでに住宅を購入している人の間でも、同じ理由から一部で固定金利へ借り換える動きが見られるそうです。
では実際、住宅ローンを扱う現場担当者の実感としてはどうなのでしょうか。住宅ローン専門金融機関である日本住宅ローン株式会社の担当者によれば「固定金利の申し込み件数は、当社の独自商品"5年待てるローン"の好評も相まって、昨年の同時期と比較して約4倍となっています。金利上昇への不安から、固定金利をご選択されるお客様の割合が次第に増えています」とのこと。
金利タイプをどうするか悩む利用者は多く、「お客様から直接問い合わせをいただく機会も増えています。当社では、金利タイプどちらを選択すべきか悩んでいるお客様に対して"5年待てるローン"をおすすめしております。当初はお得な金利引下げが適用される固定金利のフラットでお借り入れいただき、その後、世の中の金利が大きく上昇した場合は固定金利のフラットを継続、現在の金利情勢より低くなる場合は、変動金利に無料・無審査で切り替えができるローンとなっております。金利上昇局面の今、安心してご利用いただけるとのことで、大変ご好評をいただいております」と話していました。
固定金利はベストな選択か
住宅ローン金利のうち「固定金利」は、経済情勢に関わらず契約時に決めた金利が完済するまで変わりません。申込時に返済総額や月々の返済額がわかるため、計画的に返済したい人に向いている金利タイプといえます。ただし、市場金利が下がっても返済額は下がらない点はデメリットでしょう。
「変動金利」は、市場金利の動向によって定期的に金利が変動するタイプで、固定金利に比べて低く設定されているのが特徴です。金利の低さを重視したい人や、資金に余裕があって金利が上昇しても影響が少ない人などに向いています。一方、将来の金利動向がわからず返済総額をイメージしにくく、金利が上がり続けた場合は元金が減りにくい点はデメリットです。
日本住宅ローンの担当者も「実際にここ数年、変動ローンで借入された方において、借入直後に金利上昇しているケースが多く見受けられますので、注意が必要です」と話していました。
固定金利の直近の動きとしては、大手銀行5行が、2025年12月から適用される10年固定型の住宅ローン最優遇金利について、引き上げを発表しました。三菱UFJが2.26%、三井住友が2.35%、みずほが2.30%、三井住友信託が2.655%、りそなが2.665%となっています。これは、固定型の主な基準となる10年物国債利回り(長期金利)の上昇を踏まえたものです。
変動金利は固定金利より低く設定されており、一見お得なように感じます。しかし、一般的に住宅ローンは長期間にわたって返済を続けるものですので、金利上昇は返済計画を狂わせてしまう可能性があります。
「将来的に金利が上がると困る」「変わらない金利で計画的に返済したい」という理由で固定金利を選ぶなら、それも一つの賢明な選択といえるでしょう。
武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら(武藤貴子)