アインブライド(写真はきさらぎ賞出走時、ユーザー提供:カイザータコスさん) 今年の阪神JFは混戦模様だが、その最大の理由は重賞勝ち馬が出走していないことにある。これは非常に珍しく、実は阪神3歳牝馬S時代の97年以来だ。そこでこの機会に28年前の戦いを振り返ってみたい。
この年の2歳牝馬戦線はファンタジーSを無敗で制したロンドンブリッジが中心的な存在だった。しかしながら、その後はしばらく休養へ。そのため阪神3歳牝馬SではファンタジーSで2着のシンコウノビーが1番人気に推されたものの、1勝馬でもあり、絶対的な存在ではなかった。以下、サラトガビューティ、ダイワリプルス、メイショウアヤメ、エイシンシンシアナまでの5頭が単勝10倍未満。まさにどの馬が勝ってもおかしくない雰囲気だった。
レースはエイシンシンシアナが逃げて、前半1000mが58秒9とまずまずのペースになった。4角手前でメイショウアヤメが先頭に立つが、それも一瞬。直線に向くとダンツシリウスが抜け出す。これに内から食い下がるサラトガビューティ。山内厩舎の2頭の叩き合いになるかと思われたが、結果的にこの2頭は早仕掛けだった。残り200mを過ぎて最内から抜け出したのはアインブライド。当時2年目の古川吉洋騎手のムチに応えて脚を伸ばす。ゴール前で大外からキュンティアが追い上げてきたものの2着まで。7番人気の伏兵と二十歳の若武者が、揃ってGI初制覇を果たしたのだった。
7番人気→6番人気の決着で、馬連は6000円の好配当に。3着は8番人気のダンツシリウスだったので、もしも3連単が発売されていれば、大波乱となったに違いない。