ブンデスリーガ2部のボーフムでプレーしているMF三好康児[写真=クラブ提供] ブンデスリーガ2部のボーフムに所属するMF三好康児。欧州での挑戦を続けるアタッカーは、自身の現状と未来を冷静に見つめている。ドイツでの2シーズン目を迎え、激しいフィジカルコンタクトが繰り広げられるリーグで、彼はどのように自身の活路を見出しているのか。
「簡単なリーグではない」
ドイツ西部の街、ボーフムでの生活は2シーズン目を迎え、「不自由なくというか過ごしやすい場所」と三好は語る。近くには大きな日本人コミュニティが形成されているデュッセルドルフがあることも、食生活の面などで大きな助けとなっているようだ。
生活面では順応している一方で、プレーするブンデスリーガ2部については「一概に簡単なリーグとは言えない」と気を引き締める。昨季まで戦った1部との比較では、個々の強度やスピードに違いを感じ、「少し余裕が持てる部分もある」としながらも、「サッカー自体が荒いというか、フィジカルな要素も強く、そこの厳しさは1部とは違ったものがある」と続け、リーグとしての特性は全く異なると分析する。
特に違いとして挙げるのが、「五分五分のボール」の多さ。1部では戦術的に整理され、ルーズボールが比較的少ないのに対し、2部では苦し紛れにクリアしたり、一本で裏を狙うロングボールが増えたりするという。その結果、空中戦やセカンドボールが増え、フィジカル的な競り合いが格段に増加する。これは、三好のようなテクニックを武器とする選手にとっては、持ち味を発揮しにくい環境とも言えるだろう。
日本人選手としての生きる道
頭上をボールが飛び交うような展開が増える中で、三好はどのように自身のプレーを表現しようとしているのか。それも「ゲームの一部」だと語る日本人MFは、「その中でどれだけ自分がボールを落ち着かせられるか」だと述べ、自身が関与することで攻撃の起点になろうと意識している。ラフなボールを確実に処理し、チームの信頼を得ていく。それが、このリーグを戦う上で彼が導き出した一つの答えだという。
そのプレーを支えるため、フィジカル面でのアプローチも欠かさない。バーミンガム在籍時の一昨年前から日本人のパーソナルコーチをつけ、週に2回ほどのトレーニングを継続。スピードの部分や、ドリブル時の姿勢を崩さないことなど、自身の武器を最大限に生かすための、的確な肉体改造も試みている。
そして、167センチの自身を「チームで一番小さいレベル」と評しつつ、「大きい選手が足を伸ばして一歩でいくところを二、三歩かかる部分もありますけど、逆にそこのスピードは、そういった選手よりも早い」と、その体格差を不利とだけは捉えていない。小柄な選手ならではの俊敏性や機動力、ボールを奪われないための繊細なボールタッチと距離感の部分で上回っているとの考えを示し、それこそが「自分みたいな日本人が、ヨーロッパで生きていく道」と、確信を口にした。
2025年を締めくくる日本人対決へ
また、現在の監督からは、戦術理解度の高さも評価されているという。加えて、90分間集中力を切らさず戦い抜く献身性も、日本人選手の強みだと主張。監督が頻繁に交代することも珍しくない欧州のクラブ環境において、新しい監督の戦術を素早く理解し、自身のプレーを適応させていく能力は、生き残るための必須スキルだ。
三好自身も、チームにおける自身の役割を明確に理解している。「攻撃の組み立ての部分で少し荒さがある」というチームの課題に対し、「自分が入ることで、ボールを受けにいって、攻撃の組み立てだったり、いろんなアイデアをもたらすことができる」と自負する。三好がボールに触れることで、チームの攻撃に秩序と創造性をもたらすことが役割だ。
チームは中位に位置し、三好自身もケガから復帰してプレータイムを伸ばしているところだが、自身もチームも状態は「上がってきてる」と主張。年内は残り2試合、川崎Fの後輩にあたる横田大祐が所属するハノーファー戦と、福田師王が在籍しているカールスルーエ戦という日本人対決が控えている。
「負けてられない」。チームの勝利を第一としながら、最後には個人としての結果にもこだわる姿勢を見せた。まずは今週末の13日、敵地でのハノーファー戦に臨む。