【ラグビー】JR東日本社長「地域活性化に」NECから東葛譲渡 活動拠点などは現体制継承

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2025年12月11日 21:16  日刊スポーツ

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東葛の譲渡契約を結び会見した左から順にNECの森田社長兼CEO、JR東日本の喜勢社長、リーグワンの玉塚理事長(撮影・泉光太郎)

11日にラグビー・リーグワン2部の「NECグリーンロケッツ東葛」を保有するNECが、JR東日本との譲渡契約を締結したことを受け、3団体が同日、東京都内で会見を開いた。


13日に創設5季目のシーズン開幕日直前での「電撃発表」となった。


NECはこれまで約40年運営した東葛を今季終了後の来年7月に、JR東日本へ譲渡する。来季の2026−27年シーズンはJR東日本の運営チームとして参戦することが決まった。


今年8月にリーグワン退会を前提とし、チームの譲渡に向けた検討を開始していた。発表から約4カ月後、「身売り」を決断したNECの森田隆之社長兼CEOが初めて報道陣の前で直接説明をした。


「これまで社員の一体感の醸成あるいは士気高揚を目的に文化・体育活動の一環としてチームを組み立ててきた。ただ、近年、日本のラグビーを取り巻く環境は大きく変化をしている。NEC自身の事業ごとのポートフォリオがB2B(企業間取引)のITサービスや経済安全保障の領域にフォーカスした形で変化してきた。今後も長期的にチームのベストオーナーでやり続けられるかということを熟考してきた」


バレーボール・SVリーグ女子の「NECレッドロケッツ川崎」も運営しており、直近の会社の業績は好調だった。しかし、近年の成績や選手、スタッフのコスト面や社員選手の活用などさまざまな課題が重なり、ラグビーからの撤退に踏み切ったという。


東葛は1985年にNECラグビー部として創部。過去には日本選手権3度の優勝を誇る。ディビジョンなどのステータスはJR東日本の運営後も引き継がれ、ホストエリア(千葉県東葛エリア)やホストスタジアムなども現体制から継承される予定となっている。今季2部で終えた場合、新チームも2部からの始動となる。


一方、日本ラグビーのトップカテゴリーに参入するJR東日本にはどんなメリットがあるのだろうか−。


喜勢陽一社長はこう未来を見据えた。


「来年度から企業スポーツチームにNECグリーンロケッツ東葛を迎え入れることで、競技人口の裾野拡大とともにスポーツ振興を通した健全な人材育成、地域の活性化に取り組みたい」。


同社では野球部(東北・東日本)と、陸上部、女子柔道部、バスケットボール部の5つが企業チームが活動。さらにはサッカーJ2のジェフユナイテッド市原・千葉も共同保有している。


プロクラブの千葉で培ったノウハウを持つだけではなく、ラグビーファンへのビジネス面でのアプローチも戦略にあるという。


そのため第1段階はプロではなく、あくまでも「企業スポーツ」の一部としてリーグワン参入を強調する。すでに地域リーグでは社員選手で構成され、100年の歴史を持つ「JR東日本レールウェイズ」が活動している。


喜勢社長は「両チームが切磋琢磨(せっさたくま)し合う中で、我々の100年の伝統を持つレールウェイズが地力を高めていくことにも期待したい」。再編ではなく両チームの運営をしていく考えも示した。


今後は、チーム名、選手の雇用形態、マネジメント方法などを両社で連携を取りながら、来季に向けた体制を整えていく。地域に根ざしたリーグ運営をするためには持続的なクラブ運営も不可欠となる。


リーグワンの玉塚元一理事長は「グリーンロケッツ東葛の選手も非常に喜んでいる。明後日(13日)からの試合にしっかり集中して元気に明るくプレーできる環境をつくってもらった。今回の喜勢社長のリーダーシップ、JR東日本グループのスタッフの皆さんに本当に心から感謝したい」とチームの再出発を願った。

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