無罪判決を受けて記者会見する平田恒一郎被告(右)。左は弘中惇一郎弁護士=15日午後、横浜市 住宅関連会社「ナイス」(旧すてきナイスグループ)の粉飾決算事件で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元会長平田恒一郎被告(77)と元社長日暮清被告(74)の差し戻し審判決で、横浜地裁(佐藤卓生裁判長)は15日、無罪を言い渡した。平田被告は懲役2年6月、日暮被告は同1年6月を求刑されていた。
争点は、両被告が計上した売り上げが会計基準に照らし、虚偽記載と言えるか否か。
佐藤裁判長は、検察側の主張する基準の解釈について、「当時、それ以外の会計処理の在り方を許さないような、唯一のものであったとまでは認められない」と指摘。虚偽の記載をしたと認定するには「合理的な疑いが残る」と判断した。
差し戻し前の一審横浜地裁は2021年3月、架空の取引で売り上げを水増ししたとして2人に有罪を言い渡したが、東京高裁が22年12月、取引は実在していたとして破棄。その上で、売り上げの計上が会計基準に沿っていたかどうかを審理するよう地裁に差し戻していた。
高裁判決後、起訴内容が変更され、2人は15年6月、同年3月期連結決算で会計基準に反する売り上げを計上した虚偽の有報を関東財務局に提出したなどとして起訴されていた。
2人は19年7月に横浜地検に逮捕された。判決後に記者会見した平田被告は「失われた時間を返してほしい」と語り、日暮被告は、検察側に「このまま控訴しないでいただければありがたい」と訴えた。
久家健志・横浜地検次席検事の話 判決内容を精査し、適切に対応したい。

無罪判決を受けて記者会見する日暮清被告(右)。左は小松正和弁護士=15日午後、横浜市