
<フィギュアスケート:全日本選手権>◇20日◇東京・代々木第一体育館◇ペアショートプログラム(SP)
愛称「りくりゅう」こと三浦璃来(りく、24)木原龍一(33)組(木下グループ)がアクシデントを乗り越え、84・91点で首位発進した。演技直前に三浦が左肩を脱臼も、出場を決断。国際スケート連盟(ISU)非公認ながら、22年北京五輪金の隋文静、韓聡組(中国)の世界歴代最高を0・50点上回った。来年2月のミラノ・コルティナ五輪金メダル候補が、万全でなくても貫禄の演技を見せた。
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フィニッシュポーズを解いた木原は、左肩を押さえて涙を浮かべる三浦を優しく抱き寄せた。演技直前に三浦が肩を脱臼しながら、全ての技を成功。ISU非公認ながら、世界歴代最高点で貫禄の首位。三浦は「ハプニングもあったが、切り替えて挑むことができた。去年からの成長」とうなずいた。
アクシデントに襲われたのは、演技前に出場3組が同時に滑る6分間練習。木原と手をつないでジャンプの軌道に入ろうとした三浦がつまずき、左腕が引っ張られた。「肩が外れてしまって」。22年夏以降に左肩をたびたび脱臼していたが、今季の試合では初めて。すぐにリンクサイドのトレーナーの処置を受けたが、木原は「心臓が止まるかと思った」と動揺した。
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開幕まで50日を切ったミラノ五輪は、世界選手権優勝の実績もあり、けがで今大会を棄権しても代表入りできる立場。それでも三浦は「(棄権が)思い浮かばなかった」と出場を前提に対応策を模索した。そこで生きたのが過去の経験。昨年12月のGPファイナルで練習中に脱臼した時は患部にテーピングをして出場も、演技が乱れて2位になった。「いつも通りの感覚の方が安全にできる」(木原)という考えからあえてテーピングはせず。木原は「自分たちは成長している。ケガをしたことにフォーカスせず、どうすれば(良い演技が)できるかを考えよう」と三浦に前向きな言葉をかけた。苦い記憶を糧とし、好演につなげた。
21日のフリーへは出場意向を示し、木原が三浦を持ち上げながら滑るリフトなどの技もこれまで同じ難度で通す予定。三浦は「肩の状態をこれ以上悪くしないようにして、自分たちがやってきたことを出せるようにしたい」。アクシデントにも動じず、五輪への道を力強く進む。【藤塚大輔】
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