
忘年会や新年会の実施率に、陰りが見え始めている。東京商工リサーチによると、今シーズンの実施率は57.2%で、コロナ禍後で初めて前年(59.6%)を下回った。前回調査(10月)で、実施予定は57.8%だったが、実際の開催は0.6ポイント低下した。
コロナ禍前の忘・新年会の実施率は78.4%だったが、コロナ禍の2020年は5.6%まで下がり、2023年に55.9%まで戻した。しかし、その後は伸び悩み、今シーズンはコロナ禍後で初めて前年を下回った。
産業別に見ると、「実施する」割合が最も高かったのは、「建設業」(66.0%)だった。次いで「卸売業」(61.3%)、「金融・保険業」(58.6%)と続いた。上位3産業は、順位も含め前回調査と変わらなかった。
一方、「実施しない」は「小売業」(56.2%)、「不動産業」(53.4%)が上位を占めた。小売業と不動産業は前回調査と同様だった。
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●1位は「従業員の親睦を図るため」
コロナ禍前から、忘・新年会を実施している企業に理由を尋ねると、1位は「従業員の親睦を図るため」(85.8%)、2位は「従業員の士気向上のため」(50.5%)、3位は「会社の定番行事のため」(46.8%)だった。
規模別では「会社の定番行事のため」は大企業で43.4%、中小企業で47.2%となり、中小企業のほうが3.8ポイント高かった。「その他」の回答を見ると「完全在宅勤務で、年1回の対面でのコミュニケーションのため」(専門サービス業、資本金1億円未満)といったコメントがあった。
実施しない理由では「忘・新年会に関わる費用を削減するため」が21.7%で、調査開始以来初めて20%を超えた。
東京商工リサーチは「物価高で値上がりが続く参加費も実施率の下押し圧力になっているほか、親睦や一体感を求める企業と、気の合う仲間との飲み会を優先する社員との間で意識のギャップが生じている」と分析する。
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調査は、6196社を対象にインターネットで実施した。期間は、12月1〜8日。
●忘年会は出世のチャンス?
一方で、忘年会を出世のチャンスと捉える人も少なくない。パーソルキャリアが実施した調査によると、忘年会と出世のチャンスの関係について、「チャンスだと思う」という回答が60.5%に上り、「チャンスだと思わない」(39.5%)を上回った。
パーソルキャリアは「かつて多かった『義務的な縦社会の飲み会』から、現代では『個人の選択によるフラットな関係構築の場』へと姿を変えつつある」とコメントしている。1年間の慰労と懇親を兼ねた忘年会だが、コロナ禍を経て開催のあり方は曲がり角を迎えている。
調査は、50代の男女421人を対象にインターネットで実施した。期間は10月29日〜11月4日。
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