【フィギュア】涙のV5坂本花織 若手突き上げに決意4部練習「銀以上を」集大成3大会連続五輪へ

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2025年12月21日 22:29  日刊スポーツ

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全日本選手権5連覇でミラノ・コルティナ五輪代表を決めた坂本(撮影・前田充)

<フィギュアスケート:全日本選手権>◇21日◇最終日◇東京・代々木第一体育館◇女子フリー



ショートプログラム(SP)首位の坂本花織(25=シスメックス)が女子5人目の5連覇を飾り、26年2月のミラノ・コルティナ五輪代表に内定した。フリーも1位の154・93点で、国際スケート連盟(ISU)非公認ながら今季世界最高の合計234・36点。22年北京大会では団体銀、個人銅メダルに輝き、3大会連続の五輪では日本フィギュア初の「金銀銅コンプリート」も視野に入る。ジュニアの島田麻央が228・08点で2位、千葉百音(ともに木下グループ)が216・24点で3位となった。


   ◇   ◇   ◇


両手を挙げた締めくくりから、坂本は自らの顔を両手で覆った。最終盤のスピンで拍手が一段と大きくなり、曲の終わりを合図に観衆は総立ちとなった。今季限りでの現役引退を表明し、最後の日本一決定戦。直前の17歳島田の好演技により、ミスは許されなかった。ジャンプ7本全てを降りても、気を抜けない。スピン3つ、ステップは全て最高のレベル4。演技構成点全3項目も10点満点の9点台をそろえて「1つ1つに集中できた。今日の演技は満足です」と涙を流した。


数多くの後輩を支えるだけでなく、突き上げを力に変えてきた。演技前、中野園子コーチ(73)に「あなたがちゃんとやらないと、日本が困るから」と背中を押された。思わぬ角度の言葉に発奮した。「ジュニアの子たちに勝ちたいし、自分の力も発揮したい」。日本女子初3大会連続五輪を決め「ひそかに目標にしていた。不言実行です」と自らをほめることができた。


今年6月、地元神戸に通年型リンクが完成。昨季までは冬場のみの営業で、夏は兵庫県内の他のリンクを訪れていた。練習に打ち込める環境が整い、初めはこもって練習した。9月、初戦だった木下グループ杯で2位となり「みんな、すごいやん」とハッとした。毎週土曜は決意の4部練習。午前8時から拠点で1時間半汗を流すと、トップ選手が集う強化拠点の関空アイスアリーナで午前10時45分から1時間2コマ滑り込んだ。再び神戸に戻り、午後4時15分から1時間半滑った。往復約120キロの運転は自らこなし「1週間の締めを頑張る。刺激をもらう形にしたら、すごくギアが上がった」と発奮できた。


「何をするにも三日坊主な自分も、スケートだけはこんなにも長く続けられた。本当にたくさんの経験をさせてもらい『人生虹色だな』という感じがします」


普段辛口の中野コーチも「あれだけ追い詰められて、自分の力を出し切れる人はそんなにいない」とうならせた。北京五輪から4年。世界女王に3度輝き、経験と自信を備えて向かう。


「個人、団体で銀メダル以上を目指したい。たくさん支えてきてくれた人がいる。努力が無駄にならないように、感謝の気持ちも忘れずに滑りきりたいです」


年明けのミラノ。集大成を見せつける。【松本航】

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