長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆3歳世代の代表ミュージアムマイルにも期待
この一年の締めくくり有馬記念は、実にさまざまな視点で捉えなければならない興味深い大一番になった。
まず言えるのが、ファン投票でこれまでにない票数を得たレガレイラのこと。64年ぶりに3歳牝馬として優勝した昨年に続き、また新たに歴史に名を刻もうとしている。5頭目の有馬連覇、それも牝馬としては初の快挙を目の前にしていることだ。
ホープフルSで牝馬相手にGI制覇を達成した2歳時。翌年の3歳春は牝馬路線でなくまたまた牡馬相手に皐月賞、日本ダービーと戦い6着と5着と健闘してみせた。そして3歳の締めが有馬記念で、ダービー馬シャフリヤールに競り勝ったのだった。皐月賞でも上がり最速をマークしていたし、54キロで中山でならという見方もあったが、見事その期待に応えてくれた。
今年も、骨折明けの半年ぶりの宝塚記念は十分に態勢が整っていなかったが、秋はオールカマー、エリザベス女王杯と連勝し、以前より逞しさを感じたと調教師は語っている。
この記録のかかるレガレイラに今年は戸崎騎手ではなくルメール騎手が乗る。有馬記念3勝の実績があるし、レガレイラとはこれまで6戦2勝のキャリアがあるので、不安はない。それに、レガレイラの父スワーヴリチャードはルメール騎手が最初に日本でGIを勝った有馬記念のハーツクライであり、どことなく因縁も感じられる。
一方の戸崎騎手は、今年は昨年のダービー馬ダノンデサイルに騎乗する。昨年の有馬記念は先手を取って0.2秒差の3着だったが、そこまでは横山典騎手が乗っていた。
戸崎騎手は今年のAJCCから手綱をとり、これまで同馬で4戦2勝3着1回だが、なんと言っても4月のドバイSCでの勝利が大きかった。秋に世界レコードでジャパンCを勝ったカランダガンを破っていたのだから、戸崎騎手が馬上インタビューで発した“ベリーベリーホース”というワードも頷けた。スローペースの4・5番手につけ瞬発力を発揮したが、この馬の可能性を実感できた筈だ。自身の有馬連覇を狙っていると言っていい。
今年の皐月賞馬で秋はセントライト記念を勝って、中山では3戦2勝と走っているミュージアムマイルは、秋は天皇賞でじわじわ脚を伸ばし2着と健闘した。強い3歳世代の代表として頂点を見つめている一頭だ。同じ年の皐月賞馬はこの10年で3頭出走していて、1勝2着1回だから、可能性は十分にあると言える。
そしてもう一頭は宝塚記念を3馬身差で逃げ切ったメイショウタバルを。中山の2500米は発走地点が外回りコース手前にあって、いかにロスなく好位置を取れるかが一番のポイントになっている。内枠有利なのは周知のことで、脚質と枠順を考えると武豊騎手の自在な走りが見られるだろう。気性面で完成されたところを見たい一頭だ。
「一年の 納めのレース 名をとどめ」