86兆円投資、案件選定へ=エネルギーやAI、有力分野―日米関税合意

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2025年12月29日 08:02  時事通信社

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時事通信社

 日米両政府が、関税交渉で合意のカギとなった対米投融資5500億ドル(約86兆円)の案件選定を本格化させている。トランプ米大統領が最終決定権を握っており、エネルギーや人工知能(AI)といった分野が有力視されている。日本は、損失リスクの高い案件への資金拠出を回避しつつ、投融資の着実な履行で関税率の再引き上げを防ぐという、難しい立ち回りを求められている。

 対米投融資を巡っては、政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)が投融資、日本貿易保険(NEXI)が民間金融機関の融資保証を担う。政府は両社の財務基盤強化を進めており、投融資実行の土台が整いつつある。

 18日には、日米でつくる「協議委員会」がオンラインで初会合を開いた。エネルギー、AI向け電源開発、AIインフラの強化、重要鉱物という4分野に関し、総額約4000億ドルの候補案件を示した10月公表の「ファクトシート」について意見を交わした。交渉を担う赤沢亮正経済産業相は「大変好ましい進展だ」と述べた。

 トランプ氏への推薦案件の選定には、米側のみで構成する「投資委員会」が決定権を持つ。日本側は法的制約や戦略を投資委に助言する協議委員会を通じ、巨額赤字が予想される事業には資金を出せないことを念押しする。採算が取れる案件のみに絞り込めるかが焦点だ。

 第1号案件の選定は年明け以降。ファクトシートには、エネルギー分野として三菱重工業や東芝が米ウェスチングハウスの原子炉建設計画への関与を検討していることや、ソフトバンクグループが大規模電源インフラ構築の設計・開発に関心を示していることが記された。パナソニックなどの案件も盛り込まれた。

 対米投融資は経済安全保障上、重要な分野のサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化に日米共同で取り組むものだ。半導体や造船なども協力分野に入っている。赤沢氏が形容する「特別なパートナー」として日米双方が利益を得られる関係を築けるかが問われている。 

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