米、再び政府閉鎖も＝１月末に予算切れ、火種くすぶる

　【ワシントン時事】米連邦政府のつなぎ予算が２０２６年１月３０日に期限を迎える。予算切れになれば、今秋に続き、再び政府機関の一部閉鎖を余儀なくされる。与野党は２６年度予算案の議会通過を目指しているが、対立の火種はくすぶっており、閉鎖を回避できるかは予断を許さない。

　「政府閉鎖を繰り返さないため、われわれの努力を倍加させる」。与党共和党上院トップのスーン院内総務はクリスマス休暇入りを控えた１８日夜に議場で、閉鎖回避に年明けから全力を挙げると強調した。上院では同日、国防費などを盛り込んだ一部予算案で与野党が合意できず、採決に至らなかった。

　上院通過には議事妨害（フィリバスター）阻止で野党民主党の協力が必要となる。１０月１日に始まった政府閉鎖では、医療保険制度（オバマケア）への補助延長を巡る与野党対立でつなぎ予算案が通らず、閉鎖は史上最長の４３日間に及んだ。

　民主党上院トップのシューマー院内総務は米メディアに「予算案を仕上げたい。共和党との協力を目指す」と語り、対話姿勢を示す。一方、年末失効のオバマケア補助に関し、与野党は有効な打開策を見いだせなかった。失効による保険料急増は不可避だ。

　急激な医療費負担増への懸念から、共和党穏健派は補助延長に理解を示す。下院では、民主党が提出した請願に共和党の一部議員も署名、来年１月にも３年間の補助延長に関する法案が採決される。上院は１２月、同様の法案を否決したが、民主党下院トップのジェフリーズ院内総務はＡＢＣテレビで「（下院での）可決で共和党上院に圧力をかける」と意気込んだ。

　トランプ大統領は１９日、南部ノースカロライナ州で演説し、「オバマケアは保険会社を富ませるためにつくられた。お金を直接国民に給付したい」と主張。与野党の溝が埋まらないオバマケア問題を巡って「また政府閉鎖が起きる可能性がある」と語った。

　米シンクタンク、ブルッキングス研究所のシニアフェロー、ウィリアム・ゲール氏は「１分野で合意できないからといって、政府が閉鎖されるのは無意味だ」と強調。閉鎖に伴う社会の混乱を繰り返せば「政治指導者らは国民の信頼を失う」と警告した。