新登場の「iPhone Air」からスマホ新法まで──2025年、スマホライターが気になったAppleのトピック

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2025年12月29日 17:40  Fav-Log by ITmedia

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出典:Apple

 Appleといえば、ついつい発売された新製品の話題にのみ目がいきがちですが、2025年には製品以外の部分でも気になる出来事がたくさんありました。本稿では、そんな2025年のApple関連のトピックを、筆者のインプレッションを交えつつ振り返り、昨今の技術・サービス面のトレンドをざっくりとチェックしていきましょう。

【画像】「iPhone Air」からスマホ新法まで、2025年もAppleは話題が豊富でした

●「iPhone Air」の発売

 さて、製品の話です。2025年は、「Apple Vision Pro」シリーズの第2世代モデルが登場したり、久しぶりに「AirPods Pro」が更新されたり、と製品関連の話題も割と面白かった印象です。なかでも、一躍注目されたトピックとしては、秋に「iPhone 17」シリーズとともに発売された「iPhone Air」は外せません。良くも悪くも話題をさらっていきましたからね。

 筆者個人としては、試用したうえで面白い端末だなと感じましたし、新しいスタイルを提案しているのかもしれないな、と思わせられた部分もありました。一方で、カメラ性能やバッテリー持ちなどを優先してか、背面の出っ張りを落としきれなかった中途半端なデザインや、そもそも保護ケースやストラップ等の周辺機器を前提として展開してきたiPhoneシリーズにおけるエコシステムの設計などが、薄さ・軽さというメリットをボカしてしまっていたこともまた事実。そのうえで「iPhone 16e」や「iPhone 17」などの魅力的な端末がラインアップ内でカニバってしまっていたことも、強い“向い風”だったのではないかな、と推察します。

 これが、噂の絶えない“折りたたみiPhone”のための布石だったりすれば面白いのですが、どうなのでしょうね?

●Apple Intelligenceの日本語対応

 ChatGPTが一般化したのが2022年末、一気にブームを迎えたのが2023年でしたので、生成AI系のサービスが一般に認知されるようになってから早くも3年間が経過したことになります。2025年も生成AI関連の話題は多く、Apple関連では、同社の生成AI機能群である「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」がついに日本語対応を果たしました。

 ただし、Apple Intelligence対応のiPhoneとともに過ごした1年間を振り返ってみると、個人的には「テキスト生成と画像生成はあまり使わなかったなぁ」というのが正直なところ。結局、UIの階層が変に深いせいなのか、この手の使い方に関してはChatGPTやGoogleのGeminiやNotebook LMなどのアプリを使う方が、扱いやすいと感じてしまっています。

 反対に、側面の物理ボタンから起動できるビジュアルインテリジェンスからGoogle画像検索を起動したり、画像翻訳を実行したり、標準の「写真」アプリ内から利用できる「クリーンアップ」機能で写真内の不要なオブジェクトを自然に削除したり──といった操作は日常でもちょくちょく使っていました。こうした用途ごとの相性については、きっとユーザーごとに感じ方に差がある部分でしょう。

 なお、11月にiOS 26.1がリリースされてからは、リアルタイムの通訳として使える「ライブ翻訳」機能が使えるようになったことも重要なトピックです。この手の機能は、Android勢が先行していたので、市場全体を眺めたうえで、驚きはそこまでありませんでした。

 とはいえ、対応するiPhoneとAirPodsシリーズなどを組み合わせて、対面でのリアルタイム通訳が使えるようになったことは、Apple製品ユーザーとしては興味深い話題。3〜5年後くらいには海外出張や旅行のスタイルが激変してるかもしれないな、と期待が高まります。

●フルオロエラストマーからのPFAS検出の話題

 「今後どうなるのだろう?」と疑問が残るトピックとしては、海外の研究チームが論文を発表した「一部のスマートウォッチに使われているフルオロエラストマー製のストラップバンドからPFAS(有機フッ素化合物)の一種である『PFHxA(ペルフルオロヘキサン酸)』を検出した」という話題が目に留まりました。

 大前提として、「PFAS」は1万種類以上ある物質の相性で、すべてに毒性が確認されているわけではありません。フルオロエラストマーに関連して話題に上がったPFHxA(ペルフルオロヘキサン酸)も、"安定した物質”として、2024年時点では製造・使用ともに禁止されていないものです。既存の報道をみるに、Appleもその安全性を主張しています。もし理性的に中立的な態度を取るのであれば、直ちに過度に不安がるべきではないでしょう。

 ただし、ご存じのとおり、“よく分かっていない物質”をむやみに安全と信じていればよいわけではないことも、歴史的な視点では証明されています。PFHxAに関しても、世界的に安全性を懸念した調査・研究が行われており、議論が進められていることは事実。先の論文などでも、PFHxAの毒性や経皮吸収に関しての懸念は示されてはいます。今後も注視しておきたい話題です。

 ちなみに、EUでは2026年10月から段階的にPFHxAが規制対象に追加されるとされています。こうした状況を踏まえて、来年あたりからフルオロエラストマー製のストラップバンドが、どのように展開されていくのか、気になります。

●スマホ新法の施行

 「スマホ新法」(「スマートフォンソフトウェア競争促進法」あるいは「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」)が12月18日に施行されました。これによって起こる変化としては、「iPhoneでアプリを購入・アプリ内課金をするときに、多様な決済手段を選択したり、App Store以外からもアプリを購入できたりするようになる」ということが重要です。

 App Storeの手数料が高いのは有名な話なので、別の経路で購入ができることで、購入時に発生する手数料が抑えられ、ユーザー負担、開発者負担が減るというのは魅力的な話。一方で、App Store以外からの購入には多様なセキュリティリスクがあることも、正しく認識しておかないといけません。

 例えば、これまでも「一旦アプリストアの審査を、“安全”として通過したアプリが、アップデートの際に、外部サイトでの購入に誘導するように変化し、誘導先のサイトでウイルス感染や情報漏洩を招く」という脅威が存在していました。外部サイトでのインストール・課金などが認められることになると、この手のリスクはより大きくなるでしょう。

 外部サイトで安く購入ができる──ということは、ユーザーが知識を付けて自分自身で身を守らなければならないということでもあると認識しておくことが重要です。要するに「いつも安心して使っていたアプリから、突然アップデートを促す通知が表示されて、それをタップして表示されたWebサイトで手順を進めたらウイルスに感染した、あるいは課金しようとして誘導されたWebサイトにクレジットカード情報を入力したら、不正利用された」──といったリスクシナリオを、頭に入れておく必要があります。

 とはいえ、日本国内の全てのiPhoneユーザーにこの水準でのセキュリティリテラシーを求めるのは現実的に不可能でしょう。この点に関して、2026年は一定の混乱を招きそうな予感がします。

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