被災住民、地元にマルシェ創設=「温かいものを」炊き出し契機に―能登地震2年・石川

0

2025年12月31日 07:31  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

「とうげマルシェ」。クラウドファンディングで集めた資金を活用し建設した=21日、石川県輪島市
 能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市道下地区で11月、食堂とスーパーを兼ね備えた「とうげマルシェ」が設立された。代表社員で被災者の柴田寿美香さん(60)は「皆に温かいものを」と炊き出しを始めて以降、仲間の輪を広げ、念願だったマルシェを実現させた。仮設住宅で暮らしながら、夫の清光さん(60)や地域住民らと運営に励んでいる。

 「店ができて本当に良かった」。初めてこの店を訪れ、卵や鶏肉を買った元農家の黒杉良子さん(91)は笑顔を見せた。地震で自宅が全壊。同地区の仮設住宅で暮らすが、足が不自由だ。近くにあるこの店に「安心や」とつぶやく。

 店には1日約70〜100人が訪れる。同地区には高齢者が多い上、他に営業するスーパーはないため、必要に応じて送り迎えも無料で対応する。重さなどに配慮し、コメは1キロずつ販売するといった工夫も凝らす。

 小学校の給食調理員だった柴田さんは、2024年元日の地震で自宅全壊などの被害を受けた。しかし、「皆が温かいものを食べたら元気になる」と近所の仲間に声を掛け、翌2日から炊き出しを開始。仲間らと「スーパーや住民が集まる場所があったらいいね」と話したことを機に、同3月に「とうげマルシェをつくる会」を結成した。

 炊き出しで培った人脈を生かし、設立に向けた研修として東日本大震災で被災した宮城県女川町の商店街など各地の復興事例を視察。「必ず復興できるんや」と強く感じた。

 今夏にクラウドファンディングで全国の計527人から約2000万円を集め、自己資金も投じて念願をかなえた。「地域と密着し、住民の声を取り入れた店にしたい」と意気込んだ。 

買い物を済ませ、店を出る黒杉良子さん。これから「とうげマルシェ」のスタッフと車で帰路に就く=24日、石川県輪島市
買い物を済ませ、店を出る黒杉良子さん。これから「とうげマルシェ」のスタッフと車で帰路に就く=24日、石川県輪島市


店内を案内する柴田寿美香さん。「道下産」のコメを販売しているという=21日、石川県輪島市
店内を案内する柴田寿美香さん。「道下産」のコメを販売しているという=21日、石川県輪島市
    ニュース設定