
「東大ランナー」が強さの裏側を語った。
第102回東京箱根間往復大学駅伝が来年1月2、3日に行われる。今回から選考方法が変わった関東学生連合チーム(オープン参加)も注目どころの1つ。2年連続選出となった秋吉拓真(東大4年)と、初選出の本多健亮(東大大学院2年)は国内最難関の国立大学に在籍しながら予選会で結果を残し、連合入りの“合格”をつかんだ。
2人とも高校時代は無名だった。しかし、私学の実力選手が繰り広げる激戦のハーフマラソンで、秋吉は日本人5位の個人12位で文句なしの個人枠1番手。本多は個人111位で同5番手として選出を決めた。
日々の学業や研究活動など多忙を極める国立大の学生が、なぜ、長距離で勝負強さを発揮できるのか−。
工学部機械情報工学科で、義足を使うアスリートの運動解析を研究する秋吉はこう応えた。
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「陸上の練習って、何時間も、何時間も走れるものじゃないので。そう考えるとそんなに時間を取らない。うまく1日に走る時間をしっかり確保しておけば練習はできる。そういう意味では勉強と両立しやすいスポーツですね」
東大では強豪校のようにメンバーがそろって行う全体練習は週に何度もできないという。そのため、コーチが組んだメニューを各々でこなすのがルーティンだ。大学院生の本多も「授業やインターンなら休んでもOK」と話すように、学生個人のライフスタイルに応じて鍛錬を積むのが“東大式”だ。
大学院生になれば、1日の研究時間は長い時に10時間を超えることも。「実験がうまくいかなくなると、『今日は練習、行けなかったな』という日もある」と本多は苦笑いで振り返る。
それでも、登下校の時間をジョグに活用すれば、研究の合間にテニスボールやゴルフボールを使って体のケアをする。「スキマ時間」を見つけてはパフォーマンス向上につなげていく。柔軟かつ計画的なスケジュール管理は東大ランナーの最大の強みとも言える。
高校入学時にサッカーから転向した秋吉は、今では中長距離4種目で東大歴代トップ記録保持者に。高校時代は5000メートル15分台と全国高校総体(インターハイ)に遠く及ばなかった本多も前回9区の古川大晃に続く大学院からの連合入りをかなえた。
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文武両道で学生最高峰の舞台への切符をつかんだ2人。陸上の魅力は「タイムが伸びるのが面白い」と共通していた。今年も赤門コンビが箱根路の沿道を沸かせる。【泉光太郎】
◆秋吉拓真(あきよし・たくま)2003年(平15)5月23日、兵庫県生まれ。六甲学院中・高で高1から陸上競技を始めた。3年時は兵庫県高校総体5000メートル9位と全国高校総体出場ならず。東大進学後、3年時に関東学生連合で8区に出走。卒業後は大学院に進み、実業団のM&Aベストパートナーズにも所属して競技を続ける。173センチ。
◆本多健亮(ほんだ・けんすけ)2001年(平13)5月19日、東京都生まれ。中1に陸上短距離を始め、父親の転勤に伴い、渡米後は長距離に転身。ボストンのクラブに所属し、クロスカントリーなどを走り込んできた。帰国後、麻布高では全国大会出場に届かず。東大を経て大学院でも競技を継続し、今季は1万メートルとハーフマラソンで自己ベストを更新した。167センチ。
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