箱根駅伝の“足元争奪戦” トップ独走のアディダスに逆襲を狙うミズノ、海外ブランドも名乗り上げ

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2026年01月02日 07:50  ITmedia ビジネスオンライン

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アディダスのレース用シューズ「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1」

 1月2〜3日の2日間にわたり放送される箱根駅伝は、平均視聴率30%に迫る正月のキラーコンテンツだ。それゆえにスポーツブランドの戦いも熱い。特に近年は、出場選手210人の“足元”がターゲットになっている。


【勝者は?】箱根駅伝の“足元争奪戦” トップ独走のアディダス、各ブランドの現在地は?


 現在、その先頭を走っているのがドイツに本社を構えるアディダスだ。前回の箱根駅伝において、シューズシェア率でトップを独走してきたナイキを逆転。2024年大会の18.3%から倍増となる36.2%と大躍進している。


 その原動力となったのが、2023年9月に発表された8万2500円のレース用シューズ「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1」だ。


 ウォーミングアップなどを含めてフルマラソン1回分で最大のパフォーマンスを発揮できるように設計された革新的なモデルで、最大の特徴は従来のレース用シューズより40%軽い片足138グラム(27.0センチ)という超軽量にある。


 前々回はごく少数しか製作されなかったため、着用者は3人のみ。しかし、青山学院大学の黒田朝日選手(2区)と太田蒼生選手(3区)が快走したことで注目を浴び、前回は40人以上が履いていた。なかにはメルカリで購入した選手もいたという。


 そして前回は花の2区で区間記録を上回ったリチャード・エティーリ選手(東京国際大学)、吉田響選手(創価大学)、黒田選手(青学大)、4区で区間賞を獲得した太田選手(青学大)らが快走した。


 また世界に先駆けて日本で販売された「ADIZERO ADIOS PRO 4」で、3区の本間颯選手(中央大学)、8区の塩出翔太選手(青学大)、10区の小河原陽琉選手(青学大)が区間賞を獲得。6区の野村昭夢選手(青学大)は従来の区間記録を30秒も更新する56分47秒という驚異的なタイムで山を駆け下りて、金栗四三杯と大会MVPを同時受賞した。


 箱根駅伝の最速シューズの座をアディダスから奪い取るのは至難の業といえそうだ。


 アディダスは「EVO 1」の後継モデルとなる「ADIZERO ADIOS PRO EVO 2」を2025年4月に発売。次世代フォームテクノロジーを前足部に3ミリ増量して、エネルギーリターン(シューズから地面へと伝わるエネルギーの反発力・効率性)が5%向上したという。アウトソールのグリップパターンも新しくするなど、前作よりパワーアップ。重量は前作と同じ138グラム(27.0センチ)で、価格も同額の8万2500円だ。


 そして2025年11月に開催された、全日本大学駅伝における出走者のシューズでも前年比でブランドシェアを拡大。かつてのナイキのように突き抜けた存在になっていくのか注目したい。


●3強の背中追う、「世界で最も成長スピードの速いスポーツブランド」


 前回の箱根駅伝のシューズシェア率はアシックスが25.7%、ナイキが23.3%、プーマが11.9%と続いた。アシックスはアディダスのスーパーシューズより軽い、129グラム(27.0センチ)の「METASPEED RAY」が話題だ。


 米国の多国籍企業であるナイキは前回、発売前だった「ヴェイパーフライ 4」のプロトタイプで吉居駿恭選手(中大)が1区を独走。後続に1分32秒差をつけるダントツの区間賞を獲得した。それから5区で区間賞・区間新の快走で3度目の往路優勝を成し遂げた若林宏樹選手(青学大)も同モデルを着用していた。今回も一般発売前のモデルが登場するかもしれない。


 プーマは2022年大会から少しずつシェアを拡大。前回は「ディヴィエイト ニトロ エリート 3 EKIDEN GLOW」というモデルを着用した桜井優我選手(城西大学)が9区で区間賞に輝いた。ブランドとして箱根駅伝の区間賞は初めてだった。


 それから前々回が初出場となったOn(オン)も強烈なインパクトを残した。前回の着用者は1.4%(3人)だったが、当日変更で7区に投入された佐藤圭汰選手(駒澤大学)が着用。故障上がりながら、区間記録を1分近くも塗り替える1時間43秒という異次元のタイムを叩き出したのだ。


 2010年にスイスで誕生したオンは「世界で最も成長スピードの速いスポーツブランド」と呼ばれており、近年は日本での人気も高い。箱根駅伝では2024年大会で駿河台大学がオンのユニフォームで出場している。


 そして2025年は国内トップランナーとのアスリート契約が目立っている。4月に契約した三浦龍司選手(SUBARU所属)は東京世界陸上で大活躍。男子3000メートル障害でメダルを争い、8位入賞を果たした。


 11月20日に契約した水本佳菜選手(エディオン所属)は女子陸上競技ではアジア初の「Onアスリート」(同ブランドのシューズやウエアを着用して競技活動をするトップアスリートの総称)となった。11月23日のクィーンズ駅伝(全日本実業団女子駅伝)は、1区で後続を16秒以上も引き離す快走でチームの初優勝に大きく貢献している。


 箱根駅伝では学生長距離界のスピードキング・佐藤圭汰選手(駒大)だけでなく、10000メートルで27分43秒92の自己ベストを叩き出した折田壮太選手(青学大)の活躍も期待されている。


●影が薄かったミズノもシューズ争いに参戦


 前回はミズノ、ニューバランス、ブルックスの着用者が1人ずついた。このなかで注目したいのが「まるでワープするような速さで未来のレースシーンを変える」というコンセプトでシリーズを展開したミズノだ。


 2025年12月19日、ミズノ史上最軽量となる137グラム(27.0センチ)の「HYPERWARP PURE」、ストライド型(歩幅を伸ばすことでスピードを上げる)のランナーに向けた「HYPERWARP ELITE」、安定感を重視した「HYPERWARP PRO」の3モデルを発売。フットウェア企画の担当者が「このハイパーワープを起点に、ミズノランニングは変わります」と宣言するほど、本気度が伝わってくる。


 ミズノは東京国際大、日本大学、神奈川大学、日本体育大学にユニフォームを提供しているが、新モデルシューズをどこまでプッシュできるのか。


●新興ブランドも続々


 前回は出走者がいなかったフランス発祥のホカは、2024年に第一生命グループと、2025年にコニカミノルタとパートナーシップを締結。箱根駅伝への本格参戦も近いかもしれない。


 現時点で日本国内ではさほど流通していないが、今後は中国ブランドの LI-NING(リーニン)の動向にも注目したい。


 日本長距離界のカリスマといえる大迫傑選手が2025年10月にリーニンとの契約を発表。12月7日のバレンシアマラソンでは、そのシューズで2時間4分55秒の日本記録を打ち立てた。大迫選手はオリンピックに3度出場。ナイキの厚底シューズを国内に広めた実績もある。


 日本での認知度は低かったリーニンだが、大迫選手が快走したことで、多くのランナーから熱視線を浴びている。同社が箱根駅伝をターゲットにする日も遠くないだろう。世界中のメーカーが参入することで、箱根駅伝のグローバル化も進むかもしれない。



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