日大藤沢DF榎本来輝 [写真]=金田慎平 第104回全国高校サッカー選手権大会3回戦が2日に各地で行われ、日大藤沢(神奈川)は2−1で聖和学園(宮城)に競り勝ち、準々決勝へ進出した。
今大会の日大藤沢の生命線はセンターライン。185センチあり、ボールをしっかり収めることができる1トップの有川啓介、2列目中央でライン間に顔を出してボールを引き出すMF平島翔海、高いレベルでボランチのポジション争いをする杉崎万泰、野口慶人、中村龍剛といった選手たちが揃う中、後方から彼らを動かすのがDF榎本来輝だ。
初戦となった2回戦の浜松開誠館(静岡)戦では、左右の足で強くて速いグラウンダーのパスをどんどん縦につけた。ときには有川へのロングボールを蹴り、センターバックながらコーナーキックのキッカーも務める。聖和学園戦では相手が3ボランチを採用し、中央のスペースを閉める対策をしてきたことで、中央からの崩しの回数は減ったが、「その中でもどう攻撃を仕掛けるかというところで、相方の入谷(友陽)とコミュニケーションを取りながらうまく前進できたのでよかった」と、想定通りにシンプルに外を使いながら中を空ける展開ができたと振り返る。
持ち味のキックは「お父さんに『両方やった方がいいんじゃない?』と言われて始めた」小学1年生からの個人練習。「公園でネットへ向かって左右の強いキックをとにかく蹴る」ことで磨き、「小学3、4年生くらいにはほぼ左右差はなくなっていました」と、両足でそん色なく蹴ることができるのが魅力だ。
その榎本、ロールモデルは「パウ・トーレスです」と、左利きのスペイン代表CBの名前を挙げる。ビジャレアル在籍時代に「運べるし、対角も蹴れるし、ドリブルではがせるし、ちょっと自分と似た特徴があるので、プレーをとにかく見ながら勉強」するようになったという。2023年にアストン・ヴィラへと移籍したが、プレミアリーグでのプレーも追いかけているようで、「パウ・トーレス選手を目標にしながらということです。自分はラ・リーガが好きで、バルセロナにはパウ・クバルシという自分たちと同い年くらいの選手もいて、その年齢でバルサのスタメンで戦っていると考えると本当にすごいと思いますし、そういう選手を見ながら頑張っていきたいと思います」と、パウ・トーレスだけでなく、同じ2007年生まれながら世界のトップで戦っている選手にも刺激を受けている。その理由は「将来スペインでサッカーをやりたいと考えている」からだ。
今大会、強い気持ちで臨んでいる理由があり、その一つに中学時代に横浜F・マリノスジュニアユース迫浜に在籍していたものの、ユースに昇格できなかったことがあるという。「中学の時にマリノスでプレーしていたんですけど、ちょっとけがをしてしまい、ユースに上がることができなくて。ユースの人たちとは今も仲がいいですが、その悔しさを持ってバネにして高校サッカーにぶつけて、必ず見返してやろうという思いでやっているので、満足はまだしてないですけど、日本一を取ってマリノスの関係者に伝えられたらと思います」と高い意欲を示す。
ベスト8の相手はインターハイ王者の神村学園。榎本は「世間では神村さんの方が上という声もあると思いますけど、自分たちは逆に火がつくので、反骨心を持ちながら、必ず国立の舞台に立って日本一になりたいと思います」と、ここでも反骨精神を燃やす。「自分たちがやってきたことをとにかく信じて、特に今年はディフェンスラインも身長がありますし、跳ね返すところでは負けないと思います。相手にはプロ内定選手もいますけど、そこにも負けないくらい、強い気持ちがあれば絶対勝てると思うので、はじき返して、コミュニケーションを取ってやっていきたいと思います。とにかくビビらず、受け身にならず、自分たちのサッカーを信じて、どんなに強い相手でもボールを保持しながら得点を取って必ず勝ちたいと思います」と力強く宣言し、第93回大会以来となる学校最高成績のベスト4をまずは目指して、神村学園戦に向かう。
取材・文=小松春生