画像提供:マイナビニュース連休が明けた途端、体が重く、だるさが抜けない──その結果、「正直、仕事に行きたくない」と感じてしまう人は少なくない。ただしこの感覚は、単なる疲労や怠けの問題とは限らない。長期休暇中の生活リズムの変化によって、脳や体にどんな影響が起きているのか、クリニックフォア監修医の内科医・渥美 義大先生に聞いてみた。
連休明けの“だるさの正体”は生理的な反応
――長い休暇のあとに、多くの人が“だるさ”を感じるのは、身体側ではどんな変化が起きているからなのでしょうか?
長い休暇のあとに多くの人が感じる“だるさ”は、単なる疲労や怠けではなく、連休中の生活リズムから日常モードへ体が切り替わる過程で起こる、一時的な生理的反応と考えられます。
人の体は、決まった時間に寝起きし、食事をとり、体を動かすことで、体内時計や自律神経の働きを整えています。しかし長い休暇中に、就寝・起床時刻が不規則になったり、活動量が大きく変わったりすると、体内時計のリズムがずれやすくなります。
その状態で仕事や日常生活が再開すると、本来は朝に優位になるはずの交感神経の切り替えがうまくいかず、脳や体が「活動モード」に入りにくくなることがあります。その結果、頭がぼんやりする、体が重い、集中しづらいといった“だるさ”として自覚されます。
また、休暇中の食事内容や飲酒習慣の変化、運動量の低下も、睡眠の質やリズム、体内時計に影響し、だるさを強める要因になります。これは特定の病気というよりも、生活リズムの変化に体が適応しようとする過程で起こる反応と捉えると分かりやすいでしょう。
だるさを加速させる、休み中にやりがちな行動とは?
――正月の典型的な生活(長時間の座位、暴飲暴食、寝だめ、昼夜逆転、運動不足)で、特に“だるさ”に直結しやすい身体的ダメージはどれでしょうか? その理由を教えてください。
正月の生活習慣による“だるさ”は、どれか一つが原因というより、複数の要素が重なって起こると考えられます。そのうえで、多くの方がやってしまいがちな、特にだるさに直結しやすい正月の生活習慣を挙げると、主に次の3つが考えられます。
○睡眠リズムの乱れ(寝だめ・昼夜逆転)
最も影響が出やすいと考えられるのは、睡眠リズムの乱れです。
寝だめや昼夜逆転によって体内時計がずれると、自律神経の切り替えがうまくいかなくなることがあります。本来、朝は交感神経が優位になって脳や体が活動モードに入りますが、この切り替えが遅れると、頭が重い、体が動きづらいといった“だるさ”として感じられることが考えられます。
平日の睡眠不足を補おうとして休日に長く寝る人も多いですが、睡眠を「ためる」ことは難しく、むしろ生活リズムの乱れにつながることがあります。むしろ平日と休日の就寝・起床時間のズレによって生じる、いわゆるソーシャル・ジェットラグが、連休明けの不調を助長することがあります。
○飲酒が続くことによる回復力の低下
次に影響が大きいのが、飲酒が続くことです。
アルコールは眠気を誘う一方で、睡眠が浅くなり中途覚醒が増えるなど 、睡眠の質を低下させます。そのため、長く寝たつもりでも体や脳の回復が不十分になり、翌日の疲労感や倦怠感が残りやすくなります。
○長時間の座位による身体活動の低下
三つめは、長時間座ったまま過ごすことによる活動量の低下です。
体を動かさない時間が続くと、下半身の大きな筋肉が使われず血流が滞りやすくなります。その結果、むくみや重だるさを感じやすくなることがあります。こうした状態では、体が「動き出すスイッチ」を入れにくくなります。
また身体活動が低下すると眠気が起こりにくくなるなど睡眠にも影響し得ます。
だるさを軽減する、仕事始め前にオススメな行動
――「連休明けのだるさを軽減するために、仕事始め前日〜初日にかけて無理なくできる、体調を整えるケアがあれば教えてください。
連休明けのだるさを軽減するために大切なのは、短期間で体調を完璧に戻そうとすることではなく、体を仕事モードへスムーズに移行させる準備をすることです。仕事始め前日から初日にかけては、次のようなシンプルなケアで十分です。
まず、起床時間を平日に近づけることを意識してください。睡眠時間の長さよりも起床時間の方が体内時計への影響は大きく、前日に普段と近い時間に起きるだけでも、翌朝のだるさの軽減を期待しやすくなります。夜更かしを完全に避けられなくても、起きる時間は整えるようにしましょう。
次に、前日は体を回復させることを優先する意識を持ちましょう。特にアルコールは睡眠の質を下げやすいため、控えめにすることが望ましいです。食事も量や楽しさより、消化の負担を減らすことを意識すると、翌朝の重だるさが出にくくなります。
そして仕事始め初日は、体を無理に動かそうとせず、「動き出すきっかけ」を作ることがポイントです。朝に数分のストレッチや軽い歩行など、血流を促す程度の動きでも、脳と体のスイッチは入りやすくなります。
連休明けのだるさは、異常というよりも体が生活リズムを取り戻そうとしている過程で起こるものです。無理に頑張るより、助走をつける意識で過ごすことが、結果的に回復を早めます。(岩木華子)