【箱根駅伝2026】「危機感しかない」創価大・榎木和貴監督、有力高校生が入学する来季は「根性の部分も鍛えていかないと...」

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2026年01月05日 17:50  webスポルティーバ

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【往路でも復路でもブレーキ】

「もう危機感しかないです」

 第102回箱根駅伝を総合8位で終えた創価大の榎木和貴監督は、渋い表情でそう言った。

 目標は3位以内――。

 榎木監督は、5強(青山学院大、駒澤大、中央大、國學院大、早稲田大)による優勝争いが予想されるなかでも、当初の目標を下方修正せずに初志貫徹で臨んだ。

「昨年の箱根が終わったあと、エースの吉田響(現・サンベルクス)が抜けるので、このシーズンは耐える1年で、目標も『優勝』と欲張らずに『3位以内』としたんです。今回、確実に3位以内に入れば、来年の箱根は優勝を争えるところまでいけるかなと思っていました。でも、簡単にはいかなかった。正直、かなり厳しかったです」

 往路は、2区のスティーブン・ムチーニ(3年)が区間5位の走りでチームの順位を14位から7位に押し上げた。続く3区の織橋巧(3年)も区間9位でチーム順位(7位)をキープして、トップの中央大との差は2分56秒、6位の順天堂大とは26秒差、5位の國學院大とは49秒差。4区は、主力のひとりである山口翔輝(2年)なので、5位までは十分捉えられる計算だった。だが、その山口の走りに勢いがなかった。

 昨年5月に関東インカレのハーフマラソン(2部)で3位、11月の世田谷246ハーフマラソンで青学大勢を抑えて優勝するなど実績を重ね、榎木監督も自信を持って4区に置いた。だが、区間15位に沈み、チーム順位も8位に後退した。

「4区から(順位を)上げていくぞと思っていたのですが、その山口が全然でしたね。仕上がりがよかったので、後ろから青学大が来ても普通についていくのかなと思ったのですが、簡単に離れてしまって、チームとしては厳しい状況に置かれてしまいました。往路は、5強に遠く離され、不完全燃焼は否めないです」

 往路は8位。トップの青学大とは5分54秒、3位の中大とは4分18秒の差がつき、目標達成はかなり厳しくなった。

 それでも榎木監督は強気だった。

「6区に小池(莉希・3年)、7区に石丸(惇那・4年)を置いています。まずは小池が起爆剤となって57分台でいってくれると後半区間につながります。このふたつの区間で流れを取り戻していきたいです」

 その復路、6区の小池は榎木監督の期待通り、56分48秒の区間賞の走りで青学大との差を27秒詰めた。7区の石丸でさらに前を追うぞという展開になりかけたが、まさかの区間17位に終わり、流れを止めてしまった。

【シードを守るような走りになってしまった】

 8区の衣川勇太(1年)が区間11位で踏ん張るも、9区の榎木凜太朗(2年)が区間18位、アンカーの齊藤大空(3年)が区間17位に沈み、8位から順位を押し上げられなかった。

「小池で追い上げモードをつくれたはずなのですが、石丸が出水中央高の後輩(玉目陸・順大2年)と併走することになり、完全にオーバーペースで入ってしまった。自分のペースで21kmを走るという事前の計画が崩れてしまいました。あそこまでオーバーペースでいくと、もう修正のしようがなく、結果的にブレーキになって往路の4区と同じように流れを切ってしまったのが痛かったですね」

 今シーズンの創価大は、出雲駅伝にベストメンバーの6人が出走し、史上最高の3位になった。ミスなく走れば上位校とも互角に戦えることを証明し、自信にもなった。だが、全日本大学駅伝では流れを取り戻した矢先の6区でミスが生じて7位。今回も同じことが起きた。

「ウチはミスが出たら難しくなります。そこは選手ももっと意識すべきところですね。走り自体についても、青学大をはじめ上位チームは区間記録にチャレンジするようなアグレッシブな走りをしています。自分たちはそこに全然絡めていません。(上位を狙うというよりは)シードを守るような走りになってしまい、まだまだだなと思いました」

 今回の箱根駅伝は、強豪校の選手たちのアグレッシブな走りが全体のレベルを引き上げ、区間記録が続出した。5区の黒田朝日(青学大)は驚異的なタイムをたたき出した。ほかにも区間新が1区、2区、8区、10区で生まれ、高速化が進んだ。

「これは大変なことです。往路は(1km)2分50秒ペースで、復路は2分55秒から3分切りを目安に準備させてきました。でも、甘かったですね。それじゃ、まったく戦えなかった。次から復路は、最低でも2分55秒を切る準備をしていかないといけない。

 今いる選手だけでそれを実現していくのは大変ですが、次のシーズンからは有力な1年生が入ってきますし、小池たちが最上級生になります。うまく融合させて、各区間で区間記録を狙うくらいのチームづくりをしていかないと、優勝はもちろん、3位以内にも届かないでしょう。そういう意味では、練習や年間スケジュールなども見直すところに来ているのかなと思います」

【来春には複数の有力高校生が入学予定】

 近年、シード常連校に定着した創価大にはこの4月、高校トップレベルの目安となる5000m13分台の選手が複数名、入学する。これまでのように、持ちタイム14分30秒前後の選手を育成するのとは異なる練習プランで強化を進めていく必要がある。

 それと同時に、既存の選手のレベルを上げ、箱根で区間記録を狙い、戦えるチームをつくり上げていかなければならない。過去の成功体験にとらわれることなく、柔軟に取り組みを変えていくことが求められそうだ。

 それは榎木監督にとっても難しい挑戦になる。もし、うまくいかなければ、「創価大は14分30秒前後の選手を育成するのはうまい。でも、13分台の選手は育たない」というレッテルを貼られかねない。

 また、6区で区間賞を獲得した小池が「個々の熱量に差がある」と指摘したように、現状は「自分が優勝させる」という強い意欲が見られる選手と、そうした意欲が見えにくい選手のどちらもいる。だが、強豪校の選手はそれぞれが主役であることを自覚し、「自分が走るんだ」という強い意欲がチーム内に満ちている。

「そこがウチの課題でもあります。『やってやるよ』という表面的な部分での盛り上がりはあるんです。でも、実際にスタートラインに立って走り出した時、その熱量を持って走り出しているのかというと、そこはやっぱり他大学とは違うかなと。そこまでの気持ちでは走れていない。

 今のウチの選手は、高校時代に強いところでもまれていないのでおとなしいんですよ。でも、例えば衣川は、高校時代に厳しさにもまれてやってきているので、しっかりとまとめきる走りができています。厳しいなかでもまれていかないと、本番で力を発揮するのが難しいですね」

 チーム内で競い合う厳しさを求め、戦える選手を育成するために、何をすべきだと榎木監督は考えているのだろうか。

「根性の部分も鍛えていく、昭和の指導もしていかないといけないのかなと思っています」

 勝負の世界に生きる以上、ある程度の厳しさはあってしかるべき。それをどうチームに落とし込んでいくのか。次のシーズンは、危機感を覚えた指揮官の手腕が問われることになる。

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