孤立・孤独を防ぐ。 LINEを使ったNPOの見守りサービスを自治体が活用へ

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2026年01月06日 12:54  TBS NEWS DIG

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現役世代も全体の3割に 「孤立死」の現状

2025年4月、内閣府の有識者会議が、「孤立死」について、初めての推計を発表しました。

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自宅で誰にも看取られず亡くなる「孤独死」という言葉もありますが、ここでは「孤独に亡くなり、死後8日以上経って発見され、生前、社会的に孤立していた」とみられる人を「孤立死」と定義しています。

「孤立死」は高齢者が多いのですが、15歳〜64歳の現役世代も3割ほどいるということで、世代問わず「孤立・孤独対策」が課題になっています。

孤立・孤独対策に自治体だけでなく民間との協力も

神奈川県の厚木市は、高齢者や障害者の孤立死、孤独死を未然に防ごうと行政だけでなく、例えば、新聞配達や弁当宅配などの民間事業者と「地域見守り活動に関する協定」を結び、見守り活動にこれまで取り組んできました。

そして、12月23日(火)には、東京・江戸川区の特定NPO法人「エンリッチ」と、通信アプリLINEを活用することで協定を結びました。

エンリッチの代表理事、紺野功さんは10年ほど前、独身で一人暮らしだった当時51歳の弟が亡くなり、死後10日ほどして見つかりました。

紺野さんによると、弟はセルフネグレクト状態で、親族とは疎遠。
ひとりで自宅で仕事をしていて、地域とのつながりもほとんどなかったとみられます。

「弟のように亡くなる、現役世代の人を減らしたい」とNPOを立ち上げ、まず始めたのが、通信アプリLINEを使った無料の「見守りサービス」です。

登録した人には、エンリッチから定期的に安否確認のメッセージが来ます。
来たら「OK」をタップして、無事を報告します。
一定期間反応がないと、エンリッチから利用者本人に電話したり、親族に通知したりします。

手軽にできることもあり、始めて7年で、登録者は2万人を超えました。

見守り活動には色々な方法がありますが、今回、協定を結んだ厚木市の地域包括ケア推進課主幹兼福祉政策係長の内田美穂子さんは、こういうサービスに注目した理由について話します。

厚木市 地域包括ケア推進課主幹兼福祉政策係長 内田美穂子さん
「LINEは、自分で返そうと思えば返せる。通知が来た時に自分でアクションを起こすのが、本人の意思も介在しているやり取りということもあり、私の中でいいなって思いました」

エンリッチのサービスには無料の「見守りサービス」の他、グループ、集団で利用する有料の「安否通知サービス」「つながりサービス」があります。

厚木市が導入を目指すのは、「安否通知サービス」です。
このサービスは、自治体や社会福祉協議会などが、LINEの公式アカウントを取得して、見守りサービスの場を提供するプラットフォームです。
その中で、市内の様々な組織や団体が、見守る人、見守りの対象になる人で「チーム」を作り、その中で、見守りサービスを運用します。

無料のサービスと同じように、定期的にLINEで安否確認を通知し、OKを返す。
返事がなかったら、実際に様子を見に行ったりします。
これまでに、千葉県我孫子市や、北海道栗山町の社会福祉協議会などが導入しています。

孤独死・孤立死を生まない、地域社会の緩やかなつながりをつくるきっかけに

NPO法人エンリッチ 紺野代表理事
「昔のような、近所に世話焼きな人がいるという状況です。そういう人間関係は今はあまり好まれませんが、10年前よりも、スマホやアプリが高齢者も含め広く普及してきたので、行政も入って地域で使いやすいサービスをと考えたんです」

「単なる離れた家族の間だけではなく、地域社会において、単身者の方々を支える町会や自治会とかあるいは民生委員の方が活用することが可能になりますし、一定の距離を保ちながらも、つながれる、最悪の事態を早期見つけられるという、ほどよい距離感での関係構築ということを目指した仕組みです」

厚木市地域包括ケア推進課の内田さんも、様々な困難を抱えて地域に暮らす人をゆるやかにつなげるツールの一つになると期待しています。

厚木市 地域包括ケア推進課主幹兼福祉政策係長 内田美穂子さん
「エンリッチ利用者のアンケートで、精神障害がある人が、メッセージが来ることで誰かとつながってるっていう実感が得られている、などの感想があります。地域には高齢者だけではなく、いろんな人たちがいるので、そういう人たちの、どこかとつながってるっていうきっかけになるといいのかなと思っています」

紺野さんも「孤独死、孤立死を完全に防ぐことはできないが、孤独・孤立を生まない地域社会を作る」ためにも、自治体がこのサービスを活用することに期待しています。

NPO法人エンリッチ 紺野代表理事
「近所づきあいを深めていきましょうとか言っても、何かきっかけがないとそこに発展し得ない。で、『こんなものあるんだけど知ってる、ちょっと使ってみない』、『なんだか通知が来るらしいんだけど、OKすればいい』みたいなところで、一声かけるところから、まず関係を作る、一歩としての役割があると思っています」

厚木市では、2026年度にエンリッチの「安否通知サービス」の実証実験を行い、2027年度からの本格導入を目指しています。
その準備として、地域包括支援センターや社会福祉協議会、障害者の相談機関や不動産事業者への協力の呼びかけが始まっています。

今後、地域社会にどういう変化をもたらすか、注目される取り組みです。
     
TBSラジオ「人権TODAY」担当: 崎山敏也記者

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