【男子バレー】西田有志「24時間じゃ足りないくらい」 バレー「探求」の旅は今年も続く

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2026年01月09日 10:20  webスポルティーバ

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 2025年12月27日、大阪。大同生命SVリーグ首位攻防戦、昨季レギュラーシーズン1位だった大阪ブルテオンは、王者サントリーサンバーズ大阪の本拠地に乗り込んだが、セットカウント3−1で敗れている。

 ブルテオンは、地球の裏側のブラジルで世界クラブ選手権を戦い、準優勝した直後だった。予選ラウンドから前回大会王者サダ・クルゼイロを下し、イタリア・世界最高峰セリエA王者のペルージャとフルセットで渡り合っている。決勝では再びペルージャと激闘を演じた。連戦の疲労だけではない。45時間の長旅と強烈な時差が襲う。

 帰国後のサントリー戦はぶっつけ本番だった。

「ケガをしないのが第一でした」

 ブルテオンの西田有志(25歳)は試合後に淡々と語っている。世界クラブ選手権では主将としてチームを日本史上最高位に押し上げたが、この日の一戦は冷静に捉えていた。いたずらに勝つことに焦っても、代償が大きい。戦略的判断だった。

「今日(サントリー戦)は勝つことがメインでしたけど、マストではなかったと思っています。帰ってきて二日で、練習もできていない。全員が時差ぼけで、アップしても眠気が抜けないほど。それでも、(主力を休ませながら、第3セット以降は西田もベンチに下がった)これだけできたのはプラスでしかない」

 コート上の西田は熱意や活気に満ち、ゴリラのドラミングのようなパフォーマンスもあって、本能型にも見えるかもしれない。ただ、実際の彼は哲学的思考を好み、求道的なところが多分にある。論理的アプローチで、正解を導き出す。

――コートでは豊かな感情がエネルギーになって、西田選手を突き動かしているように見えますが......。

 インタビューでそう話を振ったことがあった。左利きオポジットとして、豪快なスパイクは野性的で、問答無用に人の心を動かす。今シーズンも、得点数は日本人では宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)と1、2を争っている。

「そこは僕のプレースタイルと大きく関係していると思いますね。プレーヤーとして感情を出すのは大切ですし、とくに意識しているわけじゃないですけど、自分のなかで大事にしているのは間違いありません。バレーが生き生きとする流れって、そういう選手が生み出すものでもあるし、点数をとって生み出せるものでもあって。逆に感情のコントロールのところで、フラストレーションが溜まってしまうこともあるかもしれません」

【理不尽な環境のなかでプレー】

 西田の言葉は禅問答のようだった。言葉を尽くすことで、言葉以上の「考えるよりも感じる」という境地に立とうとしているのかもしれない。

「入り込みすぎている場合は、どう一歩引いて俯瞰できるか。それを意識せずできるようになるには、自分には経験がもっと必要ですね。次のステップは、そこがカギになるかなって」

 それは無我の悟りに近い。いずれにせよ、彼自身は自らを修練することに喜びを得ている。たとえば今シーズンは、彼独自のサーブを追い求めている。

「人それぞれですが、自分はボールを芯で捉えるようにしています。芯を捉えるとボールは回転せず、無回転になって、狙ったコースに入ってから変化するんですよ。回転させるか、無回転か、を考えた時、自分は回転がかかっていないほうが(ボールが)重いなって。サッカーも、無回転シュートがキーパーの手を弾いて入っちゃうというシーンを見ますし、その理屈を考えたら......。まあ、いろんなタイプがいるのが、バレーの面白いところで」

 非常に明快な理論だった。そこで年内最後の試合後、どこまで無回転サーブが完成に近づいているのかを聞いた。

「よくはなってきていますが、ひとつひとつ環境のなかで調整していかないといけない。やれることはたくさんあって、まだやりきれていないところもたくさんあり、もっとやらないといけません。ただ、まだリーグも中盤に入っていないので、焦らずに、中盤に入ったら準備できるように」

 そう言う西田はバレーの世界で正解を求め続ける。きっと何かをつかみかけたら、さらに大きな正解を求めることに転じるのだろう。つまり、ほとんど永遠に正解を探し続けるのだ。

 ブラジルでの世界クラブ選手権では、理不尽な環境のなかでのプレーとも対峙し、銀メダルという結果を残した。

「決勝で(石川祐希が所属する)ペルージャに勝てなかった(セットカウント0−3)理由は突き詰めたいですね。ただ、移動がすごくて、なかなか脳が起きない(苦笑)。まずは調整してから次に進んでいけるように......」

 西田はそう言って、こう続けている。

「ブラジルは試合のセットによって、空調が変わるんですよ。映像だとわからないと思うんですけど、たとえば僕らの決勝のペルージャとの試合、1、2セットは追い風だったんですが、3セット目はチェンジコートしたら、レフト側からライトへの風に変わっていました。僕らがトスをあげると、ボールが2、3個ずれる。そこでの調整は難しくて、言い訳にしちゃいけないと思うし、そう思っているんですけど、"言い訳してもいいやろ"っていうくらい、ブラジルの環境はエグかったっす!」

 最後、西田は明るく言った。彼はとことん考えてバレーをしている。もっと言えば、「バレーを生きている」に近い。実際、彼は「バレーしかしていない。24時間じゃ足りないくらい」と明かしている。

 12月28日の2025年最終戦、ブルテオンはサントリーに0−3でストレート負けを喫した。西田は自らのフェイントが拾われ、スパイクを決められたあと、再びボールを呼び込んでスパイクを叩き込んでいる。コンディションが整わないなかでも自分をコントロールした成果は、これから出るだろう。

 2026年も西田はバレーを探求し続ける。

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