
ワークマンの「MEDIHEAL(メディヒール)」は、「リカバリーウェア」と呼ばれる商品の一つ。発表時から個人的に気になっていたが、人気のため品薄で、これまで購入する機会に恵まれなかった。それが年末に運良く入手できたので、使用感をお届けしたい。
ワークマンの説明によると、メディヒールは身体から放出される遠赤外線を、独自の技術で繊維に練りこんだ高純度のセラミックスが輻射することによる遠赤外線の血行促進作用により、疲労を回復する環境を整えるという。ラインアップには、男女の部屋着に加え、寝具やサポーターなどもある(一部は一般医療機器ではない)。
昨年末、たまたま最寄りの「ワークマン女子」に行った時、壁に吊り下げられたメディヒールの箱を見つけた。商品は女性用しかないが、LLサイズの仕様を確認すると、身長170cm、ウェスト87cmまでと、男性でも着られそう。着てみて窮屈だったら家族にあげればいい、ということで思い切って購入した。なお、LLで上下がそろうのは「グレージュ」という色のみだった。
●着心地は良し、薄くても暖かいけど……
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早速、寝間着として使用してみた。これまで真冬用の部屋着として愛用してきたPlayStationロゴ入りの厚手のトレーナーに比べると生地は薄いが、今のところ寒いと感じたことはない。むしろ軽快で肌触りも良く、部屋着としてはかなり気に入っている。
問題は、グレージュという色だった。ベージュに近いので肌着のような印象で、女性用なので仕方ないとはいえ、成人男性が小さめのサイズを着ると、見た目は完全にモモヒキ。昭和の頃、おじいちゃん達が着ていたアレにしか見えない。
まあ、他人に見せるものではないので良しとする(筆者の都合により着用時の写真は掲載しておりません)。
さて、肝心の疲労回復効果や筋肉の疲れ軽減効果があったかというと……正直いって、全く分からなかった。あるいは薄手でも暖かいという点は遠赤外線効果なのかもしれないが、そんな気がする、という程度だ。
にわかに脚光を浴びているリカバリーウェアだが、そもそも繊維に何かを練り込む技術は以前からあり、研究もされてきた。例えば2018年の論文「プラチナ加工繊維が神経筋、全身および主観的回復に与える影響」では、衣料品メーカーのVENEXが開発したウェアを検証している。
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筋力トレーニングを行った13人の男性に商品もしくは比較用のプラセボ製品を着用して休憩してもらい、回復状況を調べた結果、有意な差は出なかったという。ただし被験者の主観では効果的で、回復促進の可能性を示唆したため、論文は「さらなる研究が必要」と結論づけている。
他の論文もあたってみたが、多くは目を見張るような効果は確認できていない印象だった。もちろん、これらの多くはアスリート向けの製品で、練り込んだ物はメディヒールとは異なるため単純に比較はできない。ただ、こうしたアプローチが学術的にどのような位置にあるのか知る上では参考になりそうだ。
●「一般医療機器」という言葉の罪
もう一つ、触れておきたいのが「一般医療機器」という言葉についてだ。多くのリカバリーウェアが一般医療機器をうたっていて、なんだか良い効果が得られる気がする。
しかし、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)のWebサイトによると「一般医療機器(クラスI)」は「不具合が生じた場合でも人体へのリスクが極めて低いと考えられるもので、PMDAへの届け出を行うことで製造販売が可能」となっている。
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「届け出のみ? 効果検証は……」と思ったら、自己認証と書いてある。つまり一般医療機器を名乗るのに第三者機関による検証や公的機関の審査などは必要なし。何らかの効果を保証するものでもない、ということだ。
なるほど。確かにワークマンの商品パッケージには「メディヒールとは、一般医療機器の届け出をした疲労回復ウェアです」と書いてある。ちなみに、「管理医療機器(クラスII)」は第三者による認証が必要で、「高度管理医療機器(クラスIII)」になるとPMDA自体が審査を行うという。
クラスII以上と違い、届け出だけで名乗れる「一般医療機器(クラスI)」が、企業のマーケティングに利用されている。そんな状況を見ていると、制度や言葉を変えるべきかもしれないと思う。
一方で、その効果を実証できたリカバリーウェアのメーカーは、一般医療機器といった言葉より、第三者機関による検証結果なり査読付き論文へのリンクなりを掲載すると良い宣伝になりそうだ。
●ワークマンをオススメする理由
もしリカバリーウェアに興味がある人が「購入してみたい」と言うのであれば、上下3800円でそろうワークマンはオススメだ。何しろ肌触りが良く暖かいのは確実なので、仮に疲労回復効果などは感じられなかったとしても、普通に安価な部屋着として活躍してくれる。
ただしサイズと色には気を付けてほしい。間違えると、寝間着姿の自分を見て家族が笑い出す事態になる。
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