限定公開( 1 )

貝殻や流木、シーグラスなど海岸にはさまざまなものが漂着します。
そんな漂着物を収集・観察する「ビーチコーミング」を趣味としているあるXユーザーの、足かけ6年にわたる“前人未到の成果”が話題を集めています。
Xユーザーの「Denny」さんがこのほど投稿したのは、玄界灘沿岸を歩いて集めたチャンギ(朝鮮将棋)の駒たち。それも1つ、2つではなく、なんと1セット分の14種、32駒。漂着した駒だけで、誰かと一局打てる状態にしてしまったというのです。
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投稿されている駒は色やデザインがすべて微妙に異なっているので、あらゆるセットの駒がバラバラに漂着したという可能性が高そうです。そんなに将棋セットが海に落ちること、あります……?
メーカーの工場や輸出用の船で何かトラブルが起きたのだろうか、対局で負けたら駒を海に捨てなければいけないローカルルールがあるのだろうかなど、駒が漂着した背景に思いを馳せずにはいられません。
玄界灘は九州の北西部に広がる海域で、朝鮮半島までの距離は約150km。海流の影響もあり朝鮮半島から物が漂着するというのは珍しくないようですが……それにしてもゲーム1セット分の道具が揃うとは。本人も投稿に綴っている通り、“前人未到”の成果と言えそうです。
Dennyさんの投稿はXで3.7万件を超すいいねを集め、コメント欄や引用欄には「これはまさに奇跡!」「はぇ〜すっごい……」といった声が寄せられています。さらに取り扱っているのがチャンギということもあって、韓国語でのコメントも多く見受けられました。
普段は「漂着物学会」の会員として活動をしているというDennyさん。足かけ6年をかけてコンプリートしたという“漂着物チャンギ”について、きっかけなどを詳しくうかがってみました。
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−− 漂着物学会は、どんな活動をされているのでしょうか?
漂着物学会は漂着物を愛する有志によって2001年に設立され、海辺の漂着物を学術・芸術等、多方面から研究・収集し、会誌、会報、研究発表会等を通じて会員同士の交流をはかる活動を行っています。
−− 最初にチャンギの駒を拾ったときのことについてお聞かせください
記憶に残っているなかで最初にチャンギの駒を手にしたのは海岸清掃をやっている途中でした。
八角形のプラスチックに「包」の文字が刻まれていて、いったい何に使われるものだろうと真剣に悩みました。その時は点心(小籠包とか)と交換できるトークンみたいなもの?と思いましたが、正体が判明するまでとっておこうとポケットに入れました。
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−− 単体で見たら何がなんだか分かりませんよね……そこからどのようにして1セットを揃えるまでに至ったのでしょうか?
自分が手に入れた「謎のモノ」がチャンギの駒とわかるまでには数か月かかりました。
ある日、ふと過去に読んだ有名漫画(HUNTER×HUNTER)を思い出し、「ボードゲームの駒ではないか?」とひらめき、謎のモノの正体は外国の将棋の駒だったという答えにたどり着きました。
−− 「軍儀」ですね。確かに駒のデザインがちょっと似ているかも。答えにたどり着いた瞬間は、どんな気持ちでしたか?
その時の『未知なる漂着物が未知でなくなる瞬間』はカミナリに撃たれたかのように衝撃的で、一気に漂着物の探求の面白さに魅了され、チャンギの駒がゴミではなく宝物へと変わりました。
それからも海岸清掃のたびに手に入れる機会に恵まれ少しずつ集まるようになっていきました。
−− 駒を集め始めたころ、1セット分が揃うと思っていましたか?
まさか1セット分揃うなんて微塵も思っていませんでした。
海岸清掃のご褒美程度にしか考えていませんでしたが、少しずつ数が増えてきて専用のケースを作ったら急にコンプリートしないといけないような謎の使命感が芽生えてしまいました(笑)
−− 集めている間の6年間の心境についてお聞かせください
(本格的に集め始めてからは)「明日は拾えるかな?」なんて、まるで子供のころの遠足ぐらいワクワクしながら毎日を迎えていました。
−− 最後の1駒を見つけたのはXに投稿した日でしょうか?
最後の1駒を見つけたのは投稿した2026年1月17日です。
−− 最後の1駒を見つけた瞬間の様子と心境についてお聞かせください
もちろん嬉しかったです!それと同時に安堵しました。
というのも、あと一枚でコンプリートできるとなってからが長かったです。1年以上かかりました。
−− コンプリートが近づくとダブりも増えていきますもんね……
そもそも行くたびに拾えるものではなく、体感的に3回行って1枚拾えるくらいの確率のなかで来る日も来る日もすでに持っている駒を引き続けてきたので「やっとこれで終われるー!」といった解放感に近い喜びの気持ちでいっぱいになりました。
−− 収集を行っていた場所は、チャンギ駒に限らず韓国のモノがよく漂着するのでしょうか?
私の住む福岡の玄界灘沿岸では韓国からの漂着物が多くみられます。もちろん韓国限定ということではなく、インドネシアやフィリピン、ベトナム、台湾、中国など、東南アジアから東アジア一帯の様々な国の漂着物を観察することができます。
北朝鮮の軍服のボタンも見つけたことがありますよ!
−− 北朝鮮の軍服のボタン!?それはまた、なんともドラマがありそうな……これまでで一番印象に残っている漂着物があれば、お聞かせください。
私が経験した中で最も印象的だったのは南房総で10m級のザトウクジラの漂着に遭遇したことです。
この時もXに投稿し多くの反響をいただきました。
一般(?)のユーザーからはクジラに注目したコメントをいただきましたが、ビーチコーミングを趣味とするユーザー達はクジラそっちのけで、クジラにしか寄生しない珍しい「オニフジツボ」にコメントが集まったことが面白くて本当に変わった人達だなと笑ってしまいました。
−− 今回の件を通じて漂着物事情を知った方々に向けて、何か伝えたいことはありますか?
私たちが住む日本は黒潮がもたらす恵まれた海流のおかげで様々な文化を取り入れて発展することができました。
現代となっては外国からの漂流ごみに悩まされていますが、この海流があってこその日本だと思うと諸外国の漂着物も愛らしく感じてしまいます。
海洋ごみは国際的な問題です。日本にいれば被害者意識しか芽生えませんが、別の国が同じ気持ちで私たちを見ているかもしれません。
私が玄界灘で外国の漂着物を目にした時「この海流が日本をここまで豊かに育ててくれたんだ」と感謝をもって拾い上げるようにしています。
これからも決して目くじらを立てることなく平和的に国際的な海洋ごみ問題と向き合っていければと思っています。
<記事化協力>
Denny さん(@De2_trash_rush)
漂着物学会 公式HP
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026012202.html|
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