【プロレス】藤波辰爾が明かす、棚橋弘至の引退セレモニー裏話 すべてを出しきった「社長」にエールを送った

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2026年01月26日 07:10  webスポルティーバ

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藤波辰爾インタビュー 後編

(前編:ウルフアロンの新日本デビュー戦は何点? 「僕自身も技を受けてみたい」と対戦に意欲>>)

【引退セレモニーでの棚橋とのやりとり】

 新日本プロレスの棚橋弘至が、1.4東京ドーム大会で引退した。超満員札止めとなる4万6913人が会場を埋め尽くすなか、AEWで活躍するかつてのライバル、オカダ・カズチカとの33分03秒に及ぶ激闘に敗れ、26年間のレスラー人生にピリオドを打った。

 ラストマッチ後の引退セレモニーでは、同期入門の柴田勝頼をはじめ、今はAEWで活躍するケニー・オメガ、ウィル・オスプレイ、ジェイ・ホワイト、飯伏幸太も登場し、プロレス界を牽引したエースを称えた。そのなかで、棚橋がファン時代から憧れた新日本プロレスの先輩、藤波辰爾も花束を贈った。

 そんな藤波が、リング上で棚橋に贈った言葉や武藤敬司との"ハプニング"の裏話を披露。さらに、新日本プロレスの社長として生きる"第二の人生"にエールを送った。

 棚橋の引退試合を東京ドームで見た藤波は、超満員のドームに感動を覚えた。

「あれだけのお客さんがドームに集まったのは、猪木さんの引退試合(1998年4月4日)以来だと思います。それは本当にすごいことで、感動しましたよ。いかにファンに愛されてきたかの証だし、『棚橋がやってきたことが報われたなぁ』と思いました。もちろん棚橋自身もそう感じたと思うし、僕もあらためてプロレスファンに感謝したいなと思いましたね」

 引退セレモニーで花束を手渡した際には、ふたつのことを伝えたという。

「まずひとつは、『新日本プロレスをここまで守ってくれて、ありがとう』という感謝の言葉。僕は新日本をやめた人間ですけど、(アントニオ)猪木さんが旗揚げした時からずっと新日本で闘ってきた僕にとっては"ふるさと"ですし、その思いは変わらないんです。大変な時代もあったと思いますが、棚橋が先頭に立って引っ張ってくれて、今年で54年目を迎えるわけですから、そこへの感謝を伝えたかったんですよ。棚橋は、『ありがとうございます』と答えてくれました。

 もうひとつは、『本当に引退していいのか?』ということ。その問いには、棚橋は黙っちゃいましたね(笑)」

【藤波、武藤からつながってきた「ベビーフェイス」とは?】

 セレモニーでは棚橋が師と仰ぐ武藤敬司もリングインした。そこで記念撮影を行なう際に、武藤がスマホを取り出し、藤波も巻き込んで自撮りを敢行。予期せぬハプニングに、ドームが笑いに包まれた。

「武藤がいきなり携帯を出して撮りはじめたから、『俺も入ったほうがいいのかな?』と思ってね」

 自撮りすることは知らされていなかったそうだが、「彼はあの場面を、自分のSNSに載せたかったんでしょ(笑)」と、武藤の思惑について語った。実際に武藤は、その3ショットを公式Xにアップ。多くの「いいね」を獲得した。

 セレモニーに招かれた藤波と武藤について、棚橋はかねてから「自分は藤波さん、武藤さんからつながってきた、新日本プロレスの正統的なベビーフェイスを受け継いできた」と敬意を表してきた。藤波は新日本の"ベビーフェイス"について、どう捉えているのか。

「僕自身は、ベビーフェイスという意識はあまりないんですよ。猪木さんから『自分の気持ちに正直に闘いに挑め』と言われていたので、その気持ちを大切にしてきたってことなんです。だから、きれいな技、きれいな試合をするレスラーがベビーフェイスということじゃないと思う。怒りを露わにすることもあるし、状況によっては、イスとか凶器を手にすることもありました。

 だけど、猪木さんがそうであったように、必要のない動きはやらなかった。リングを四方から見ているお客さんに手に汗握って見てもらうには、自分の気持ちに正直に闘うことが基本ですし、棚橋もそこを受け継いできたと思いますね」

【社長に専念する棚橋へのエール】

 当初は戸惑ったという、自身との「表現」の違いについても語った。

「表現の方法が、我々と棚橋は違ったね。僕らは猪木さんの影を追ってきたから、試合以外でお客さんにアピールすることはやらなかった。だから、棚橋がマイクを持ってお客さんに『愛してま〜す!』って言った時は、最初は『何を言ってんだ』と思ったし、正直、意味がわからなかった。

 でも、彼がそれを続けたことで、『愛してま〜す!』が今の時代のファンとマッチした。彼が心底、プロレスが好きで、ファンを愛していることも理解できましたね」

 棚橋は引退試合のなかで、かつてのライバルだった柴田のフィニッシャーであるPK、さらに中邑真輔のボマイェを繰り出した。

「『自分が闘ってきた歴史を表現したかったんだろうな』と思いましたね。すべてを出し尽くした、すばらしい試合でした」

 そんなエースを"介錯"したオカダの成長も目を見張ったという。

「オカダは、アメリカに行ってひと皮むけた印象がありましたね。技が洗練されていてシャープだったし、オーラがあった。棚橋の引退試合が決まった時、僕は『対戦相手はオカダになればいいな』と思っていたんです。彼には、棚橋と闘ってきた歴史があるから。

 中邑も適任と思ったけど、彼はWWEに所属しているから、なかなか難しいと思っていました。だから、オカダしかいないと思ったし、実際にそうなってよかった。オカダには、アメリカでもっと成功してほしいですね。そのためには、体をもうひと回り、ふた回り大きくしてほしい。そうなれば"鬼に金棒"になると思います」

 棚橋は今後、新日本プロレスの社長に専念し、団体、さらにはプロレス界全体を牽引する。藤波は最後にエールを送った。

「現役時代と同じ熱さで新日本を引っ張ってほしい。社長だから経営面はもちろん重要。だけど、机に座って帳簿の数字だけを見るんじゃなくて、マッチメイクも率先してやってほしい。プロレスラーとしての熱い魂を失わずに選手を引っ張ってほしいですね」

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