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2026年01月27日 06:00 ITmedia ビジネスオンライン

価格とスペックが釣り合わず、失敗作とされた「BALMUDA Phone」が中国で話題になっている。同商品は2021年11月に発売し、初のバルミューダ製スマホとして大々的に話題を呼んだが、格安スマホ並みのスペックで10万円超という強気な価格設定だったため定着しなかった。
【画像】価格がスペックに見合っていなかったBALMUDA Phone
だが最近、中国のSNSでは丸みを帯びたデザインが評価を集め、中古品の価格が5000円未満から1.8万円台に上昇する事態が発生している。「電子ゴミ妹」などと呼ばれる、ジャンク品を求める女性層が注目しているようだ。
●相場の数倍でも、高機能なトースターがウケた
バルミューダは2015年に発売したスチーム機能付きトースター「BALMUDA The Toaster」以降、大ヒット作を生み出せていない。スマホ事業も撤退しており、スペックが評価される家電業界でデザイン偏重の姿勢が限界を迎えつつある。
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BALMUDA The Toasterの発売当初の希望小売価格は約2万4000円で、相場の数倍だった。スチーム機能が付いており、トースター上部の給水口に水を注ぐと内部が蒸気で満たされる仕組みで、外はカリッと、中はふんわりとしたパンが焼けるとして話題となった。
同社はPC周辺機器やデスクライト、扇風機などを手掛けるメーカーだったが、トースターの発売以降、高級家電メーカーとして認識されるようになる。BALMUDA The Toasterは安定した売れ行きを見せており、2025年11月のプレスリリースによると、シリーズ累計の出荷台数は国内外で250万台を超えた。
認知度向上によって他の製品も売れるようになり、全社売上高は2015年度の29億円から、2021年度にはスマホ販売も加わり、180億円を超えていた。最新の2024年12月期は120億円ほどである。
●5年も持たず、スマホ事業から撤退
2021年11月に満を持して発売したBALMUDA Phoneの当初価格は、SIMフリーモデルが10万4800円。トースターをヒットさせたバルミューダの初スマホとして話題を呼んだが、メモリは6GBで、ストレージは128GB。持ちやすさ重視で小型化したことによって電池持ちも他製品より見劣りした。
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結果的に格安スマホ並みのスペックが価格に見合わず、一部では失敗作として批判された。当時、iPhoneの販売価格も10万円前後であり、シェアを奪うには至らなかった。筆者の所感だが、BALMUDA Phoneは高くても4万円が妥当なラインである。
バルミューダは2021年度に「携帯端末関連」の売り上げとして28.5億円を計上した。しかし、2022年3月にはSIMフリー版の値下げに追いやられ、最終的に2023年度はわずか200万円となり、その後スマホ事業から撤退した。
●スマホ以外の家電は評価され続けるものの……
スマホ事業ではつまずいたバルミューダだが、家電は現在でも一定の評価を受けている。
ベンチャー時代から販売している扇風機「The GreenFan」は2万円台後半〜と高価だが、口コミは悪くない。筆者も量販店で試してみたが、その静音性と自然を再現したような風が心地よいと感じた。
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●「第2の稼ぎ頭」が生まれず、業績も右肩下がり
2023年9月に発売した「BALMUDA The Plate Pro」も、現在まで売れ続けている商品だ。
一般的なホットプレートは食材がこぼれないように周囲がフチで囲まれているが、同プレートは加熱部分が浮き上がっており、鉄板焼きレストランで自分が焼いているかのような感覚を楽しめる。バルミューダによると、他社品は40度以上の温度差が生じるのに対し、同製品はプレート全体に熱が届くため、温度差が小さいという。プレートを外すと、内部は電熱線がむき出しになっており、非常にシンプルな構造である。
バルミューダは他にもポットやコーヒーメーカーなどさまざまな家電を販売しているが、トースターに次ぐヒット作はまだ、生まれていない。BALMUDA The Plate Proも、2025年9月に累計販売台数が7万台に達したと発表しているが、数十、百万規模には至っていないのが現状だ。
業績も、2021年度をピークに減収が続く。2024年度の売上高は125億円、2025年度は当初125億円を予想していたが、98億円に下方修正している。
●ヒット家電が生まれない「根本原因」は?
過去10年間でバルミューダが生み出したヒット作は、BALMUDA The Toasterに限られる。続くヒット作を生み出せない背景として、デザイン偏重の姿勢が限界を迎えていると筆者は考えている。
創業者は独学でデザインを学んだ人物だ。2022年度末〜23年度末にかけてエンジニア数を87人から57人に削減しつつ、デザイナー数は大きく変化していない。試験研究費も家電メーカーにしては少なく、2023〜24年度は年間約3億円程度しか投じていない。
ユニクロと似た服が10万円以上でも売れるように、衣服や財布などの布製品はブランド力があれば高く売ることが可能だ。だが、BALMUDA Phoneが失敗したように家電や電子機器は価格相応のスペックが求められる。
BALMUDA The Toasterが売れたのは、パンをおいしく焼けるスチーム機能が評価されたためだ。しかし他の家電はデザイン面を訴求し、スペックが追いついていないように感じる。BALMUDA The Plate Proも、同価格帯で「ステーキを自動で柔らかく焼く」などの機能が付いていれば、もっと売れたかもしれない。トースターに代わるヒット作を生むにはデザイン偏重の姿勢を改め、スペックを重視した開発体制を築くべきだろう。
※下記の関連記事にある「【完全版】『バルミューダスマホ』はあっという間に撤退 売上は180億→125億…… 『トースター』に次ぐヒット作を生み出せない根本原因」では、配信していない商品写真とともに記事を閲覧できます。
●著者プロフィール:山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。
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