限定公開( 9 )

「電話番号、教えてくれる?」──大人世代が若かりし頃、知り合った相手との連絡先交換と言えば、紙に書いた電話番号でした。携帯電話が身近な存在になるまでは、その番号が「家電」(いえでん)なのは当たり前で、相手のお父さんが電話に出るのか、相手が出るのか、緊張しながら呼び出し音を聞いたものです。
携帯電話を持つようになっても、やはり交換していたのは電話番号です。携帯電話を近づけて、赤外線で電話番号を交換するときはドキドキする瞬間でした。その後、メールが使えるようになり、「センター問い合わせ」を繰り返してメールの受信を心待ちにした思い出がある人も多いでしょう。
そしてスマートフォンの時代になり、以前のように電話番号を交換する機会は減ってきたのではないでしょうか。ほとんどの人が友人の連絡先としてLINEのアカウントを交換するようになったからでしょう。
言うまでもなく、国内においてLINEの普及率は高く、総務省の調査によれば、2024年時点で94.9%に達しています。全ての世代でLINEが使われており、確かに電話番号を交換するよりも通話やメッセージを無料で利用できるLINEアカウントを交換した方が便利です。
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LINEがサービスを開始した当初は若者がLINEに飛びつき、スマホを振ってアカウントを交換する「ふるふる」を使って「友だち」を増やしていました。その後、IDやQRコードを使って「友だち追加」できるようになり、世代を超えて便利なツールとして利用されています。
……ところが意外なことに、Z世代は初めて知り合った人にLINEを聞かれると、「LINEはちょっと……」「まだLINEは早いよね?」といった反応をします。なぜなら、LINEは極めてプライベートなツールとして認識されており、仲良くできるか分からない人と交換するものではないというのです。
では、何を交換するのか。それは「Instagram」です。
●Instagramは複数アカウントで気軽に運用
なぜLINEではなく、Instagramのアカウントを交換する(教え合う)のでしょうか。その理由を解き明かすには、Z世代がInstagramをどのように使っているのか把握しなければなりません。
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Z世代のInstagram利用率は、サイバーエージェント「2025年Z世代SNS利用率調査」によると71.6%です。上の世代(54.5%)よりも高いことが分かります。
Instagramは「フィード」や「ストーリーズ」で友人と交流する以外に、「DM」(ダイレクトメッセージ)でメッセージを交わせます。24時間で消えるストーリーズには日常のちょっとした出来事も投稿しており、コメントするとDMとして相手に送られます。「このご飯おいしそう。どこ?」「それはね、〇〇だよ。ところでこの前、A子に会ったよ」というように、ストーリーズから会話が発展していくこともよくあります。
また、友人と交流するだけでなく、公式アカウントが発信する情報をチェックしたり、ショート動画「リール」でメイク法を学ぶなど、Instagramを開く機会もかなり多めです。もっとも使っているアプリで連絡を取る方が楽であることは間違いありません。
そんなに身近なInstagramなら、余計に初対面の人とつながることに抵抗を覚えそうですが、実はZ世代は「Instagramのアカウントを複数持つ」ことが当たり前なのです。
Studyplusトレンド研究所の調査によると、高校生が持つInstagramのアカウント数は1人当たり「2アカウント」が26%、次いで「3アカウント」が22%となっています。続いて1つしかアカウントを持っていない人が15.9%です。
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複数アカウントを運用している人は、誰に見られても困らない「メインアカウント」、そして親しい友人とつながる「サブアカウント」、趣味でつながる「推し活アカウント」など、用途別にアカウントを切り分けています。
最近はメインアカウントを非公開にしている人も多く、名前やプロフィールのの記載は最小限にしています。例えば、名前は「み」と1文字にして、プロフィールには何も記さず、プロフィール画像もデフォルトのままだという人も少なくありません。
投稿も何も残さない、もしくは1、2件程度に留めており、一見したところ個人を知るための情報がほぼ分からないアカウントになっています。もはやInstagramでフォロワー数やいいね数を稼ぎたいという人はごく一部で、Instagramは自分の知り合いと深く交流するために使っているのです。
サブアカウントは仲が良い少数の人だけとつながるアカウントです。こちらはほとんど非公開になっており、素の自分を出せる場として利用しています。定期的にフォロワーを整理するなど、公開範囲を厳密に管理しています。
●LINEアカウントは慎重に交換する
彼らZ世代が初対面の人と交換するのは、Instagramのメインアカウントです。メインアカウントは誰に見られても問題がないプロフィールや投稿をしているからです。
Instagramを交換すると、相手の様子が分かるようになります。「誰をフォローしているのか」「どんなストーリーズをアップするのか」などを見て、人となりを推測します。DMでの会話ももちろんしますが、ストーリーズからDMに発展することもあるため、気軽に少しずつ関係性を深められます。
こうしてInstagramで交流していくうちに、もし相手とは気が合わないと感じたらミュート、もしくはそっとフォローを外します。
一方、LINEは「重さ」があります。Z世代は人とつながることにかなり慎重です。もしLINEで初対面の人とつながって、相手とどう接していいのか分からない場合、会話のきっかけがつかめず困ってしまうことも。
また、LINEは通話もよく使われるので、積極的な相手に「通話しよう」と言われて戸惑うこともあります。
ブロックに関しても、LINEはお互いに追加し合う仕組みなので、ブロックすると相手を拒否した印象が強く残ります。また、ブロックしても、相手には自分のプロフィール画面を見続けられてしまいます。相手のLINEから自分を消すにはアカウントを作り直すしか方法がありません。
LINEは家族や古くからの友人、サークルやアルバイト先との連絡などに使っているため、簡単にリセットできません。連携したアプリやSNSログイン、LINEコインなども無効になるため、アカウント削除は避けたい人がほとんど。気軽に交換するものではないのです。
こうして「まずはInstagram。親しくなったらLINEも交換」という流れが構築されているのが現状です。
つまり、LINEをゲットすることは重要なステップアップでもあります。Instagramでつながっているだけでは普通の関係性ですが、LINEもつながっているとなると強固なつながりになります。
筆者は以前、「体育祭で憧れの先輩の写真をいっぱい撮って、送りたいからとLINEもらった!」と喜んでいる女子高生と話したことがあります。LINEでつながるために写真を撮って、思い切って話しかけたとのこと。その後、2人がどうなったのか分からないのですが、こうした甘酸っぱい思い出にもLINE交換は一役買っているようです。
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