こうした熱量の高いファンに向け、2023年からInstagramのサブスクリプション機能を通じたメンバープログラムを開始。松浦氏のものづくりやブランドに対する考え、今後の構想といったステートメントのほか、日々の作業報告として工房での作業写真などを毎日投稿している。「売上よりも取り組みの意義や面白さに共感してもらえたら」という想いでスタートし、月額600円で、現在は300人近くの登録者を抱えている。
そして、今回立ち上げたマイヤー アンド ウェルチでも、これまでのものづくりの精神を踏襲。「Any weather, No glum mood(どんな天気でも、心地よく)」をコンセプトに、ファッション性・機能性・耐久性を等しく重視したコート、帽子、傘、鞄を揃える。デザイン面では服の普遍的な理論を備えた古着のディテールを参考にし、機能面では全商品に防水コーティングではなく高密度な防水生地を採用することで、防水機能の持続性を実現。また、松浦氏の日々の作業や移動を踏まえ、パスポートが入るポケットを配した。耐久性ではシューリペアでの経験から、壊れやすい金具などのパーツを極力排除し、「Less is more(少ない方がより豊か)」の美学を落とし込んだ。なお、アパレルのデザインは、「ビソウン(BISOWN)」を手掛ける中出由佳氏を迎え、松浦氏の構想を各アイテムに反映している。
唯一の販路として、まずは「センス・オブ・ヒューモア(SENSE OF HUMOUR)」での長期ポップアップを4月30日まで開催。常設の卸先やEC販売は未定で、ラインナップについても無理に増やす考えはないという。「靴と同様で、『修理しながら長く使う』ことが前提。物を増やして、沢山売るビジネスとは真逆ですね。焦らずに、必要としてくれる、然るべき場所と巡り合えたら売ろうと思うし、本当に必要で納得いく物ができたら新しいものを作る。僕らの思想に共感してくれる、必要としてくれる人たちに、少しずつ広まってもらうくらいがちょうどいいです」と理念を貫く。