「スーツケース放置」空港の困りごとを解決? 衣類を7分の1にする装置が効く理由

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2026年01月31日 08:20  ITmedia ビジネスオンライン

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スーツケースが一変! 7分の1になる衣類の前と後

 衣類を自動で手のひらサイズに圧縮できるサービスが登場した。SJOY(東京都江東区)が開発した、最大7分の1まで圧縮する「Pocket Tips(ポケット チップス)」だ。インバウンド客の急増に伴い、スーツケースの放置が社会問題化する中、空港や観光地の課題を解決する「新たなインフラ」になるだろうか。


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 近年、スーツケースの放置は急増しており、成田国際空港によると2021年度の338件から、2024年度は1000件を超えた。関西国際空港でも2024年度には過去最多を記録するなど、全国的に深刻化している。


 主要な観光地の路上でも放置が常態化しているほか、ホテルでも客室に置き去りにされるケースもある。大阪観光局が実施した調査によると、宿泊事業者のうち8割超が「放置が問題になっている」と回答した。


 放置の原因は、旅行中に荷物が増えることで持参したスーツケースに収まりきらなくなり、日本で大型の新品に買い替えて古いものを廃棄するケースが多いとされる。


 対策として、空港によっては有償または無料で引き取るサービスを実施しているが、周知不足や利用率の低さが課題となっている。


 この問題に対し、パッキング作業そのものを効率化し、スーツケース内のスペースを確保する手段として登場したのがPocket Tipsだ。従来の圧縮袋と異なり、衣類をブロック状に圧縮する。


 圧縮は約1分で完了し、Tシャツなら最大8枚まで一度に処理できる。圧縮した衣類は洗濯するか、広げて15分程度かけておけば元に戻る仕様だ。


●利用者の「満足度」と「再利用意向」が9割


 Pocket Tipsの開発には、4年を要した。元々は家庭での衣類収納を目的に構想し、当初の試作機は手動で衣類を圧縮する仕組みだった。その後、資金を集め自動化に成功。2024年に空港の課題解決を目指すスタートアップ支援プログラム「terminal.0」へ参加したことをきっかけに、空港での実証実験につなげた。


 2024年11月の羽田空港を皮切りに、2025年に那覇と熊本で実施。2026年1月には、成田と羽田の両空港で実証実験を行い、両空港で3日間ずつ行われた1月の実験では、合計で数百人が利用した。


 実験では設置台数を1台に絞り、無料で提供した。ビフォーアフターの写真を掲示して視覚的に訴求したほか、スタッフが横について操作をサポートした。衣類を投入してボタンを押すだけというシンプルな操作性が奏功し、幅広い層が利用した。


 同社が実施したアンケートでは、満足度と再利用意向がともに90%以上に達した。「500円でも使いたい」と答えた人が半数以上に上ったという。


 「1人1回程度の使用を想定していたが、平均2回以上使われていた。衣類が圧縮される様子を見て、あれも、これもと追加で持ってくる人が多かった」とSJOY代表の川口相美さんは語る。一方、設置台数が限られていたため「待ち時間が長く感じた」など、今後の課題も見えた。


●航空会社の遅延防止にも期待


 実験では、設置場所を日によって変えて効果を検証した。荷物を整理整頓するリパック台の付近や土産物店の近くなど、場所によって利用者の反応を探った。


 利用した人からは「スーツケースを買おうと思っていたが、買わなくて済んだ」などの意見のほか、「スペースが空いたので、追加で土産を買った」という声が寄せられた。スペースの創出が、空港内での購買意欲を刺激する副次的効果も確認できた。


 実験に協力した空港や航空会社からも、高い評価が寄せられている。空港側はスーツケースの不法投棄対策として有望視しているほか、航空会社からは機内持ち込み手荷物の削減効果に期待する声が上がった。


 衣類を圧縮してスーツケースに収めることで機内に持ち込む荷物が減り、搭乗時の頭上収納への出し入れ作業が減れば、出発時間の遅延防止にもつながるためだ。


●海外からもオファー


 2月末には、羽田空港で有料の実証実験を予定している。価格はワンコイン程度を想定しており、事業化に向けた重要なステップとなる。


 また、すでに海外からも引き合いが相次いでおり、アジアや欧米の空港から具体的なオファーが届いているほか、国内ではホテルや運送業者からも関心が寄せられているという。物流の効率化が課題となる中、圧縮技術への関心は高い。


 一方で、課題もある。1台当たりの製造コストは数百万円で、量産化にはさらなる資金が必要だ。加えて、問い合わせが増えており人材確保も深刻化。川口さんは「海外の空港からも複数のオファーが来ているが、十分に対応しきれていない状況」と説明する。


 同社は、圧縮機を単なる便利機能ではなく「生活インフラ」に育てることを目指す。「衣類を畳む、掛けるだけでなく、『圧縮する』という選択肢も定着させたい。ゆくゆくは洗濯機に圧縮機能が備わる未来を考えている」(川口さん)


 その第一歩となるのが、空港での実装だ。従来の引取サービスとは異なり、圧縮サービスは荷物が増えた“その場”で解決策を提供し、放置を未然に防ぐ「予防」の仕組みといえる。2月末の有料実証を経て、空港インフラの新たなスタンダードとなり得るだろうか。


(カワブチカズキ)


※下記の関連記事にある『【完全版】「スーツケース放置」空港の困りごとを解決? 衣類を7分の1にする装置が効く理由』では、配信していない豊富な写真とともに記事を閲覧できます。



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  • 御不要のスーツケース置き場を設けて、そこに置いてもらうようにした空港もあったよね。とりあえずそれをやりましょう。それでも放置スーツケースは完全には無くならないだろうけど。
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