ある日突然、固定資産税が6倍の悪夢も……富裕層だけが知っている「持ち家」のヤバすぎる末路

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2026年01月31日 21:40  All About

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住宅購入を「一生に一度の買い物」と考えるのは危険です。年間20万円だった固定資産税が、ある日突然120万円になるという悪夢のような事態も……。※サムネイル画像:PIXTA
「一生に一度の買い物」だからと、住宅購入に全力を注いでいませんか? しかし本当に重要なのは、買った後どうするか。

『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』(小林義崇著)では、ミリオネアの預金通帳を調べ上げてきた相続税担当の元国税専門官だからこそ知る、「普通の人」でも億単位のお金を手にする仕組みを解説しています。

本書から一部抜粋し、家を買う際に富裕層が必ず考える「出口戦略」の重要性と、固定資産税が6倍にもなる「空き家放置」の恐ろしいリスクを紹介します。

家は「手放すとき」まで考える

自宅を購入するとき、多くの人が「一生に一度の買い物」として、購入価格や住宅ローン条件をしっかり検討します。しかし、「最終的に家をどう手放すか」という出口戦略まで考える人は少ないでしょう。

たとえ有利な条件で自宅を買えたとしても、将来それを処分するときに税金面で損をしたり、買い手がつかずに資産価値が下がったりすれば、結果的には“失敗”になってしまいます。

その点、富裕層が不動産を買うときは、資産価値が保たれるかどうか、子や孫に相続させるか、といったように、出口戦略までしっかり考えています。

家族信託などの法的なテクニックを駆使して、不動産から得た収益を自動的に家族に分配するような仕組みを作っているケースも多く見られます。

一般の私たちがここまで大がかりに考える必要はありませんが、自宅などの不動産を買う場合、少なくとも「手放すときに困らないか」という視点は持っておくべきでしょう。

具体的には、次の3つをベースに出口戦略を考えることをおすすめします。

・いつ頃売るのか
・親族などに引き継ぐのか
・税金の扱いはどうなるのか

空き家放置の悲惨な末路

出口戦略を考える上で、絶対に避けなければならないのが、「家を空き家として放置する」ことです。現在、日本の空き家は900万戸を超え、深刻な社会問題となっています。

政府は住宅を居住用や賃貸物件として活用してもらいたいわけですから、空き家のまま放置することにより、さまざまな税制上のデメリットが生じるようになっています。

具体的には、自宅を売却したときに売却益から最大3000万円を控除できる、いわゆる「3000万円控除」という非常に強力な特例がありますが、この特例は、家に住まなくなってから3年を経過した年の12月31日までに売却しなければ適用されません。

相続による空き家を売却して3000万円を控除できる「空き家特例」という特例もありますが、こちらも相続開始から3年以内に売る必要があります。

これら2つの制度は所得税や住民税を大きく引き下げるものですが、たった3年ほど放置するだけで、本来払わずに済んだはずの数百万円もの税金を支払う羽目に陥ってしまいます。

もう一つは、「固定資産税の急増」という、より直接的なペナルティです。

所有する不動産が所在する市区町村から、管理が不十分な「特定空き家」などに指定されると、その翌年から土地にかかる固定資産税の優遇措置が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がります。

年間20万円だった固定資産税が、ある日突然120万円になるという、悪夢のような事態も現実に起こりえるのです。

さらに建物の老朽化が進み、周辺に危険がおよびそうな状態まで放置すると、行政による罰金を科されたり、強制的に解体される行政代執行を受けたりする可能性もあります。

行政代執行が行われた場合、解体費用は所有者に請求されますので、さらなる金銭的な負担を強いられることになります。

富裕層に学ぶ売却タイミング

こうしたリスクを避けるためには、住まなくなった自宅は放置せず、速やかに「売却する」「賃貸に出す」「子や孫に引き継がせる」といった判断を下す必要があります。

そして、どの出口を選ぶかによって、あなたが使える税制上の特例も変わってきます。

たとえば、ご自身が住んでいた家を売るなら「3000万円控除」、親から相続した空き家を売るなら「空き家特例」、子が住み続けるなら相続税を大幅に軽減できる「小規模宅地等の特例」といった具合です。

これらの制度は、相続の前に売るか、後に売るかといった状況によって、必要な条件が変わります。「相続が近づいてから慌てて調べる」では手遅れになりかねません。

そして税制だけでなく、不動産を手放すときは売却のタイミングを見極める冷静さも求められます。

以前、オーストラリアで不動産業を営む女性から聞いた話ですが、富裕層と一般の人は、意思決定の仕方に大きな違いがあるそうです。

彼女は、不動産市場を時計の針に例え、「富裕層は、市場が底値の6時頃にさりげなく買い、人々が熱狂する12時頃に売る。一方で、一般の人は12時を過ぎた高値圏で『もっと上がる』と慌てて買い、少し価格が下がり始めた2時頃にパニックを起こして投げ売りしてしまう」と語っていました。

これは不動産に限らず、あらゆる投資に通じる人間の心理と言えます。

家を買えば、いつかそれを手放す局面が訪れるものです。そのとき、不動産市場の針がどこを指しているのかを見極める視点が必要です。

税制や補助金のメリットを最大限引き出し、市場のタイミングを冷静に計り、「持ち家」をハッピーエンドで締めくくることができるよう、しっかり準備をしておきましょう。

小林義崇(こばやし・よしたか)プロフィール
1981年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月、東京国税局を辞職し、フリーライターに転身。書籍や雑誌、ウェブメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、お金に関するセミナーを行っている。
(文:小林 義崇)

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