今から金や銀を買うのはチャンス?それともハイリスク?「買い手」の違いに注意

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2026年02月04日 17:10  All About

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歴史的な上昇を見せていた金と銀が急落しました。個人投資家の多くの方が「すわ、押し目買いのタイミングか!」と考えているかもしれませんが、同じ貴金属でも金と銀はまるで「買い手」が違いますので、注意が必要です。冷静に判断しましょう。※サムネイル画像:PIXTA
歴史的な上昇を見せていた金(ゴールド)と銀(シルバー)の価格が急落したことが話題となっています。急落した局面で投資家はどのように考えたらいいのでしょうか。金と銀は、どちらも代表的な貴金属ですが、現在の相場の状況や投資対象としての性格には大きな違いがあります。今回は、金と銀が上昇していた背景と今後の可能性をご説明します。

金と銀はなぜ上昇していたの?

まず、金と銀の現在の相場状況について整理します。金は近年、歴史的に見ても高い水準で取引されています。背景には、基軸通貨である米ドルの信頼性低下や、世界的なインフレ、地政学リスクの高まり、トランプ大統領の言動に対する警戒感、そして、各国中央銀行による金の購入などがあります。金は「安全な資産」としての評価が高く、経済や金融に不安があるときに買われやすい特徴があります。

では、銀はどうでしょう。今回の銀の上昇は、銀固有の材料ではなく、金の上昇に「連れ高」したと見られています。極端な表現ですと「金が歴史的な急騰となったため、比較的安い銀に資金が向かった」といった状況です。しかし、金以上に短期間で大きく上がることもあれば、急に下がることもあるなど、価格の変動が激しい金属と言えます。今回の急落も金より大きな下落率を記録しましたので、銀本来の特徴が見事に表れています。

これから金と銀に投資する前に知っておきたいことって何?

それでは、金と銀は今後、投資するうえでどのような点に気を付けたらいいでしょう。金と銀に共通する点として、株式のような配当や、債券のような利息が出ないことが挙げられます。利益を得るには価格が上がる必要があるため、購入するタイミングが重要になります。また、市場の雰囲気や投資家心理によって価格が動く点にも注意が必要です。

一方、金と銀には異なるリスクがあります。金は比較的値動きが安定していますが、歴史的には既に高値圏にあるため、短期的には価格が調整する可能性があります。銀は市場規模が金と比較すると格段に小さく、工業需要などの影響を強く受ける性質があるため、景気の変化によって価格が大きく動くリスクがあります。

同じ貴金属なのに「買い手」が違うの?

ここで重要なのは、金と銀の決定的な違いである「買い手」です。金は、各国の中央銀行が外貨準備として保有しています。近年、多くの中央銀行が米ドルなど特定の通貨への依存を減らすために、金を積極的に買い増しています。中央銀行は短期売買を目的としないため、この買いは長期的に金価格を支える要因になります。いわゆる「ドル離れに伴う金買い」です。

さらに、米国のステーブルコイン発行体がステーブルコインの裏付けとして金を保有する動きも見られます。これは、ステーブルコインの信頼性を高める目的で、価値が比較的安定している金を裏付け資産として使う考え方です。このように、金は伝統的な金融の世界だけでなく、新しいステーブルコインという分野でも重要な役割を持つようになっています。

一方、銀にはこのような中央銀行やステーブルコイン発行体による大きな買いはほとんどありません。銀は金と比べて市場規模が小さいことから、ヘッジファンドなど機関投資家の存在感が強い傾向にあります。つまり、銀は投機的な投資を展開するプロ投資家の売買に個人投資家が翻弄されるケースが多いのです。

投機的な銀は静観か?

まとめると、金は「不透明感が強まった際に買われる金融資産としての性格が強い金属」ですし、中央銀行やステーブルコイン発行体といった長期の買い手が存在することが、金価格の安定性を高めています。こうした買い手は投機ではなく何かしらの理由があって買っているので「値上がりしたのですぐに売却」は考えにくい存在です。

一方、銀は「工業金属としての性格が強い貴金属」のため、景気や産業動向によって価格が大きく変動するほか、一部のプロ投資家が投機的な運用を行っているので個人が投資するには難しい対象と言えます。

金と銀はともに大きく上下するなど値動きはありますが、「買い手」が明確に違うことを理解したうえで、自分の投資目的とリスク許容度(なくなってもいい資金かどうかなど)に合った判断をすることが重要です。

文:田代 昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
(文:田代 昌之(金融文筆家))

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