
2026年、ベルギー発のプレミアムチョコレートブランド「ゴディバ」が創業100周年を迎えた。1926年にベルギー・ブリュッセルで誕生し、日本には1972年に上陸。以降、日本における高級チョコレート市場で、一定の存在感を築いてきたブランドだ。
100周年に合わせ、ゴディバ ジャパン(東京都港区)は1月8日から「100年の遊び心 コレクション」(3粒入り1944円、13粒入り6696円)を発売している。創業から現在に至るまでの歩みを、1粒ずつ異なるショコラで表現した商品だ。ゴディバがブランドの歩みや考え方を、1箱にまとめた構成となっている。
この100年で、ゴディバは何を変え、何を変えなかったのか。100周年記念商品に込めた思いと合わせて、ゴディバ ジャパン マーケティング本部 チョコレートカテゴリー部 エキスパートのレベッカ・ミンさんと、マーケティング本部 Communication & CRM マネージャーの内藤佐和子さんに聞いた。
●ベルギー発、100年続くプレミアムブランド
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ゴディバの歴史は、1926年にベルギーで創業した小さなショコラトリーから始まった。当時は今のように完成された箱入り商品が並んでいたわけではなく、量り売りが主流。お客がチョコレートを選び、小箱に詰めて持ち帰るスタイルだった。
素材や製法に重きを置いた商品づくりが、当時の市場で評価され、王室御用達として認知されるようになった。その後、欧州以外の地域にも展開を広げていった。
日本市場においては、1970年代に「プレミアムなチョコレート」として広がったブランドである。当時は他ブランドと比較して、1粒当たり3〜5倍の値段だったが、「父親が特別な日に買ってきてくれるもの」といったように、ギフト用途として購入される場面が増えていった。
●世界と日本で支持されてきた“定番の味”
ゴディバの歴史を語る際に、同社が象徴的な存在として位置付けているのが「プラリネ」だ。プラリネとは、一般的にローストしたナッツに砂糖を加えながら炒(い)り、すり潰してペースト状にしたもの。創業者であるピエール・シニア・ドラップス氏によってつくられた自家製のプラリネは、現在も同社の商品設計における基礎的な要素として位置付けられている。
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「ハート オブ ゴールド コレクション」などのアソートメント(詰め合わせ商品)では、プラリネの粒が継続的に採用されてきた。見た目やフレーバーは変化してきたが、定番の一角を占めている。
一方、日本市場では季節性を重視した商品も支持を集めてきた。バレンタインやホワイトデーはもちろん、月見や桜など、日本独自の季節感を取り入れた限定商品も、一定の人気を集めている。
100年の間で変わったのは、ヒット商品の形と消費者との距離感だという。創業当初は量り売りが主流で、チョコレートを選び、小箱に詰めて販売していた。それが現在では、完成されたギフトボックスとして提供する形が主流となっている。
また、かつては百貨店を中心とした「特別な日に買うブランド」だったが、近年はカフェやベーカリー「ゴディパン」などの新業態にも拡大。従来のイメージとのバランスを意識しながら、接点の拡大を進めている。
ただ、こうした変化は容易ではない。高級チョコレートとしてのイメージを保ちながら、接点を広げていくには、価格や売り場、商品構成のバランスが常に問われる。
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特に日本市場では、ギフト需要への依存度が高いだけに、日常的な利用との距離感をどう埋めていくかは、長年の課題でもある。
●100年で変わらなかったこと
一方で変わらずに大切にしてきたのが、「チョコレートを通じて幸せを届ける」という考え方だ。贈答シーンを前提とした商品設計は、現在もブランド戦略の軸の一つとなっている。
また、新しい素材や技法を取り入れる姿勢も、継続している。果肉を使ったショコラなど、100年前には存在しなかった素材や技法にも取り組み、新たな取り組みを重ねてきた。
「100年の遊び心 コレクション」は、そうした考え方を反映した商品だ。単なる人気粒の寄せ集めではなく、創業年である1926年から2026年までの節目となる年やストーリーを意識した粒で構成している。
ラインアップは3粒入り(1944円)、6粒入り(3564円)、10粒入り(5292円)、13粒入り(6696円)のアソートメントと、12粒入り(6264円)のグランプラスの計5種類。
全てのアソートに入っているのが、創業当時の製法を再現した復刻の一粒「レディ ノア」。馬に乗った女性のモチーフは、ブランドの原点を象徴する存在だ。加えて、金箔(ぱく)でつくったGマークのロゴ入り「ヘリテージ」や、プラリネを使った粒も複数入れている。
パッケージは花をテーマにしたデザインで、祝祭感と伝統を意識したデザインとした。戦後に創業者がチョコで幸せを届けようと乗っていた車「ピンクバン」や馬のイラストなど、ブランドの歴史や記憶を随所にちりばめている。
●次の100年へ向けて
100周年は、通過点にすぎない。伝統や定番を守ることと、新たな挑戦を続けること。そのバランスをどう取るかは、次の100年に向けた大きなテーマでもある。
2026年は「100年の遊び心 コレクション」に加え、1月15日にアニバーサリー商品の「スター シェフ コレクション ジュエル オブ ジ アース」を発売。今後も、さまざまな100周年企画を予定している。
2025年末には、チョコの量り売りやチョコレートドリンクのオリジナルフレーバーを楽しめる新業態など、新スタイルのゴディバショップを神奈川県と埼玉県でオープンしている。
高級チョコレートのイメージを持つ一方で、接点を広げつつあるゴディバ。次の100年に向けて変わらず「チョコを通じて幸せを届ける」思いやブランド価値を守りつつ、どのように変わっていくのか。どのようなかたちで市場との距離を縮めていくのかが問われる。
(熊谷ショウコ)
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