ソフトバンク、短期解約を繰り返す「ホッピングユーザー」を抑制 その理由は?

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2026年02月10日 06:10  ITmedia Mobile

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ソフトバンクの宮川潤一社長

 いわゆる「ホッピングユーザー」が増加し、解約率の上昇や収益性の低下に結びついている――。


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 ソフトバンクが2月9日に開催した「2026年3月期第3四半期の決算説明会」で、宮川潤一社長はスマートフォン契約数が四半期ベースで「純減」に転じた背景について、短期解約を繰り返すユーザーへの対策を強化した結果であることを明らかにした。


●過去最高益の裏で起きた「異変」とは?


 同社が2月9日に発表した決算は、連結売上高が前年同期比8%増の5兆1954億円、営業利益は同7.6%増の8841億円と増収増益を達成。過去最高益を記録する好調な内容だった。


 しかし、その内訳を見ると、主力であるコンシューマー事業のスマートフォン契約数に異変が起きていた。累計契約数は3196万件と前年同期比で2%増加しているものの 、直近の第3四半期(10〜12月)単独で見ると、10万件の純減(新規契約から解約を引いた数)となっていたのだ。


 宮川氏はこの数字について、「我が社の始まった以来の歴史かと思うが、このようなグラフをお見せするのはお恥ずかしい限り」と述べつつも、これは「意思を持って取り組んだ結果」であると強調した。


●ホッピングユーザーを「入り口からブロック」――大胆な抑制策


 純減の要因は、同社が「ホッピングユーザー」と呼ぶ、キャッシュバックや端末値引きを目当てに短期間でキャリアを乗り換える層への対策強化だ。


 これまで同社は、通信料収入(ARPU)の低下を契約数の拡大で補う成長モデルを続けてきた 。しかし、積極的な獲得競争の結果、短期解約を前提としたユーザーが増加。宮川氏は「これは決してこのまま放置できない。サステナブルな経営とはいえない」とし、2025年9月から構造改革に着手したことを明かした。


 具体的には、転売目的や短期解約が疑われるユーザーの獲得を、契約段階で抑制する措置を講じている。例えば、多数の回線を一気に申し込むケースを断ったり、ホッピングの可能性がある顧客を「入り口からブロック」したりする工夫を行っているという。


 この施策により、見かけ上の獲得数は「ガクっと減っている」(宮川氏)ため、第3四半期は純減という結果になった。しかし、これは質の低い契約を意図的に排除したためであり、6カ月程度経過すれば全体の解約率低下や獲得費のコントロールといった効果として表れてくると予測している。


 目先の契約数よりも、長期的な収益性と顧客基盤の質を重視するソフトバンクの方針転換。2025年度通期の業績予想も上方修正されており 、構造改革を進めながらも最高益の更新を目指す構えだ。


●なぜ、ホッピングを助長? 実は「2万円還元」の抜け穴が……


 総務省が2026年1月14日に開催した「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」でも、短期解約を繰り返すユーザーへの対策が焦点となった。


 背景にあるのは、電気通信事業法における利益提供のルールだ。通信契約の継続を条件としないSIMのみ契約については、2万2000円までの利益提供が可能だ。大手3キャリアを中心に、新規契約よりもMNPを優遇し、上限額いっぱいの還元を行うケースが常態化している。


 一方で、同法では通信の「継続利用」を条件とした利益提供を禁止している。この「縛り禁止」の規定が、皮肉にもホッピングを助長する抜け穴となった。ユーザーは契約して多額の還元を受け取った直後に解約しても、制度上のペナルティーを課されないためだ。結果、特典目当てで渡り歩く一部のユーザーだけが得をし、短期解約に伴うコスト負担がキャリアの経営を圧迫するという不公平な構造があるのだ。


 ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの大手4社はそろって、ホッピング行為について対策を講じつつも、規制による対策も必要である旨を訴えている。


 過度な乗り換え優遇が招いた市場のひずみは、業界全体で是正される局面に来ている。



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