【ミラノ五輪】坂本花織が団体戦でも死力を尽くしたわけ「全員がほぼ完璧な演技をしたというのは本当にすばらしい」

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2026年02月10日 07:10  webスポルティーバ

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【受け取った「よすぎるバトン」】

 ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート団体。坂本花織(シスメックス)は、初日(2月6日/現地時間、以下同)の女子ショートプログラム(SP)では世界女王のアリサ・リュウ(アメリカ)を抑えてトップとなり、順位点10点を獲得し、納得の表情を見せていた。8日のフリーの連続出場については、坂本自身が「団体戦で金メダルを獲るために」と覚悟を持っての決断だった。坂本は経緯をこう説明する。

「団体戦のメンバーに選ばれた時にはショートかフリーか、はたまた両方なのかというのは正直、自分では決めきれませんでした。それで(日本スケート)連盟には『りくりゅう(三浦・木原)の動向次第で回答します』という形にしていた。連盟から『片方だけでいい』と言われたらどちらかを頑張るし、『両方出てほしい』と言われたら(その要請を)受ける覚悟はずっと前からしていました。年末に『両方』と言われたので、腹をくくりました」

 団体2日目のアイスダンス・フリーダンスが終わった時点で日本は、アメリカに5点差をつけられての2位だった。その後、ペアの三浦・木原がSPに続き、フリーでもトップの演技を見せる。

「自分がウォーミングアップを始めた頃、ちょうどりくりゅうがアップを終えて上がってきて、その時に龍一君が『カオちゃんにいいバトンを渡すからね』と言ってくれた。その渡されたバトンがよすぎるバトンだったので、『すごっ』と思って(笑)。『自分もちゃんとやらないとな』という気持ちになりました」

【SPに続きフリーでもトップ】

 アメリカに2点ビハインドで迎えた女子フリーの演技。順当な流れなら坂本が1位になってもアメリカとは1点差をつけられたまま、最後の男子フリーの佐藤駿にバトンを託すことになるという、厳しい予想だった。

 だが、女子の演技に入ると少し流れが変った。坂本の前に滑ったアンバー・グレン(アメリカ)が、序盤のトリプルアクセルを含めた3本のジャンプで細かいミスを連発。138.62点と、140.17点のアナスタシア・グバノワ(ジョージア)を上回れない得点にとどまったのだ。

 そのなかで坂本はSPと同じく冷静な滑り出しをした。落ち着いた重厚感がある大きなスケーティングを見せ、完璧なダブルアクセルを跳んで観客席を沸かせると、SPでは「エッジ不明瞭」と判定された3回転ルッツもきれいに跳んで、2回転トーループをつけて加点を得るジャンプにした。

 1位を確信したような歓声や拍手が送られるなか、後半は少し崩れた。連続ジャンプにした3回転フリップは4分の1回転不足になり、ダブルアクセルからの3連続ジャンプは、セカンドの3回転トーループをつけられずに2回転トーループをつけるだけにとどまる。それでも、次のコレオシークエンスからはしっかり立て直し、流れを途絶えさせない精神力を見せた。

 演技後は思わぬミスに驚くような笑い顔も見せていたが、得点は148.62点をマーク。SPに続いて順位点10点を獲得し、大きな役割を果たした。

【納得の演技で勝ち獲った銀メダル】

 坂本は得点に続き、暫定順位が表示されると涙を流して喜んだ。ポイントをアメリカと同点にしただけではなく、暫定ながら勝利数差でアメリカを抜いて1位に立ったからだ。それは4年前、(ロシア・オリンピック委員会のドーピング違反による)繰り上げ銀メダルとなった北京五輪後から目指してきた光景だった。

「北京の時から、りくりゅうや(鍵山)優真君と『ミラノオリンピックでももう一回メダルを獲れるように頑張ろう』という話をしていた。北京でメダルを獲れた時から、団体戦も個人戦と同じくらいに重要な試合だなという位置づけに変わってきた。

 体力面で心配されるとは思うけど、やっぱり日本が勝つためには『この人しかいない』という戦力として自分たちを使ってくれるのがうれしいし、自分たちも(その期待に)応えたい。私の演技が終わった段階でメダルがほぼ確定したのは、4年前よりみんながさらに成長できたからだと思うし、本当にいいメンバーがそろったんだなというのがすごくうれしかった」

 結局、結果はアメリカに1点差の2位に終わったが、アメリカを追い詰めて一時トップに立った銀メダルは価値のあるものだ。五輪前に話していた「繰り上がりではなくて、正真正銘の銀メダル以上を獲りたい」との言葉を現実にした坂本は、北京五輪との違いをこうも話した。

「今や(団体戦も)メダルが狙える位置に日本がいて......。北京の時のメダルはけっこう"奇跡"な感じだったけど、今回は本当に優勝を狙って頑張ってきた団体戦なので、4年前とはやっぱり気持ちも全然違います。個人戦くらいに今は団体戦も大事カテゴリーなので、そのなかで全員がほぼ完璧な演技をしたというのは本当にすばらしいことだなと思いました」

 納得の演技での銀メダル獲得は、2月17日からの個人戦・女子シングルにも必ずつなげるーー。団体戦でメダルを手にした坂本の表情からはそんな決意も感じられた。

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