【ミラノ五輪】スマイルジャパン、イタリアに涙の敗戦 若きエース輪島夢叶が感じた「足りなかったこと」

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2026年02月10日 11:00  webスポルティーバ

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 2月9日、ミラノ。ミラノ・コルティナ五輪、アイスホッケー女子日本代表"スマイルジャパン"は予選リーグ3試合目でイタリアと対戦し、2−3と惜しくも敗れている。枠内シュート本数では29本対23本、パワープレー(数的優位で戦える)の時間も長かったが、不用意に失点し、チャンスを決めきれなかった。

 これで日本は予選B組で1勝2敗。5チーム中3位以上で準々決勝進出となるが、そのためには「最終戦で首位スウェーデンを下し、ドイツがイタリアに負ける」と、条件は厳しい。しかし、首の皮一枚で残った。

「(2試合目のドイツ戦は序盤に3失点し、)イタリア戦も序盤で2失点したのは反省するところですが、前半で1点を返せたのは勇気づけられましたし、強い気持ちで戦うことができました」

 ディフェンスの小池詩織は、そう言って試合を振り返っている。多くの選手が悔しさに涙を拭うなか、キャプテンを務めるベテランは展開を冷静に考察した。

「試合前に"チャンスが来たら積極的にシュートを打っていこう"という話をしていて、序盤はそう話したとおり、2失点も返せる範囲のスコアリングチャンス(得点機会)がありました。ただ、追加点を取ることができず......。反省点は、(相手の)シュート力があるな、とは感じました。縦に行くスピードが速かったし、ターンオーバー(攻撃中にパックを奪われ逆襲されること)から失点につながったシーンもありました」

 その分析は芯を食っていた。今大会のスマイルジャパンを象徴する言葉でもあった。裏を返せば、そこに逆転や強化の道筋があるのかもしれない。

 第1ピリオド、スマイルジャパンは悪い入り方ではなかった。相手のプレスに対し、パックをコントロール。ドイツ戦の序盤でいきなり失点を繰り返した入り方を修正できていた。

 しかし12分34秒、イタリアのマティルデ・ファンティンのパワー、スピードで前に行かれてしまい、そのままファーサイドに流し込まれる。相手と入れ替わってしまうディフェンスの脆さが出た。18分51秒にも外側を回された後、ファンティンにミドルレンジから強烈な一撃を食らう。GKのサイズ、シューターへの寄せの甘さもあったが、単純にシュートのパワーを見誤ったということか。

【「動き的には悪くなかったのに...」】

 だが日本も22分48秒、フェイスオフから浮田留衣がスラップショットで豪快にネットを揺らす。

「あれで1点差になって、ほかにもスコアリングチャンスはあったので、決めきれたらよかったと思います。ただ、3ピリ(第3ピリオド)スタートの失点は防げたはずで......」

 浮田が語ったように、そのあとが続かず、再び失点を喫した。

 第2ピリオドはシュート本数15本対4本と圧倒しながら、逆転どころか、追いつけなかった。計3度のパワープレーを生かせなかったのも課題だろう。

 そして第3ピリオドの冒頭、味方同士が交錯し、相手にターンオーバーを許した。ディフェンスのリスクマネジメントも甘かった。うまさや素早さ、連係では負けておらず、むしろペースを握ったが、イージーな失点を浴びている。

 51分1秒には、志賀紅音の思い切りのいいショットがGKのブロックを弾かせ、ラインを越えた。VARでのゴール判定で勢いがついたかに見えた。再び1点差に迫ったが、猛攻もゴールは遠く......。

 そのなかで23歳の若きエース、輪島夢叶は才能の片鱗を見せている。小柄だが、クイックネスで優り、鋭いターンを使いながら大柄なイタリアの選手を翻弄し、パスをつなげていた。「俊敏性×連動」は日本アイスホッケー女子の生命線で、彼女の代名詞でもあり、希望の灯だ。

「動き的には悪くなかったんですが、"求められているスコア"っていうものに対して、そういうところはまだまだだったかなって思います」

 試合後の取材エリア、輪島は赤い目で泣き腫らしていた。フォワードとして得点できなかった無念さに苛まれながら、必死に言葉を紡いだ。

「スコアリングチャンスもチームとして何回もあったので、そういうところを決めきれたらまた違ったかな......いろいろ足りなかったな、と思います。(志賀)紅音ちゃんが1点を決めて、流れもこっちに傾いていたので、追加点がほしかったし、そこを取りきれないのが大きかったです。そこは、世界との差を痛感しました」

 輪島は自責の念が強かった。その強い野心があるからこそ、五輪最終予選では出場切符を勝ち取る得点を決められたのだろう。初めてのオリンピックは手探りだったはずだが、ドイツ戦は貴重な得点を決めたし、イタリア戦はシュートまでいけるところにセンスを感じさせていた。

 たとえば、通常より狭いリンクや長いリーチに苦労したドイツ戦からは、工夫も施していた。第1ピリオド序盤、輪島は左サイドでためを作って相手を引きつけた後、ラインの背後を走った野呂里桜にパスを通し、決定機を作っている。無理に突破を試みず、ターンや好パスを随所に見せ、相手を惑わせていた。

「明日も試合(スウェーデン戦)があるので、気持ちを切り替えて戦いたいと思います」

 輪島は言葉をつまらせず、気丈に言っている。

 2月10日、自力での準々決勝進出はなくなったものの、スウェーデン戦は乾坤一擲となる。強敵だが、勝算が立たない相手ではない。今後のスマイルジャパンを占う一戦となるはずだ。

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