常勝軍団レアル・マドリードが崩壊。シャビ率いた首脳陣と選手の間で何が起きたのか

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2026年02月11日 06:50  週プレNEWS

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1月28日のベンフィカ戦で2-4と逆転負けを喫し、レアル・マドリードのエースであるエムバペはひざまずいて悔しがった


1月28日のベンフィカ戦で2-4と逆転負けを喫し、レアル・マドリードのエースであるエムバペはひざまずいて悔しがった

常勝を義務づけられたサッカー界随一のビッグクラブ、レアル・マドリードの迷走が続いている。その象徴的な試合として批判を浴びたのが、1月28日(現地時間。以下同)に行なわれた欧州チャンピオンズリーグ(CL)のグループフェーズ最終節、対ベンフィカ戦だ。

【写真】シャビ・アロンソ前監督に不満を示すヴィニシウス

ドロー以上ならほぼストレートでラウンド16に駒を進められる状況で迎えたこの試合で、レアル・マドリードは幸先よく先制したにもかかわらず、前半のうちに逆転を許すと、後半のアディショナルタイムには相手GKにゴールを許して2-4でまさかの敗戦。順位も9位に転落し、一転、ラウンド16進出のためにはプレーオフを戦わなければならない状況となった。

「今日はわれわれが目指すべき姿とは程遠かった。90分間しっかりやり抜くことができなければ、このレベルでは勝てない」。試合後、そう語って敗戦を振り返ったのは、今年1月12日に就任したばかりのアルバロ・アルベロア新監督。この試合で2得点を決めたエースのキリアン・エムバペも「プレーに一貫性がないのが問題だ。今日は良くても明日はダメ。そんなことでは優勝できない」と吐き捨てた。

とりわけ結果以上に批判の的となったのが、各選手が自由にプレーするあまり組織として戦えていなかったことと、選手たちから勝利への意欲が感じられなかったことだった。プレーオフ出場権獲得のために最後の最後まで必死に戦っていたベンフィカとは、そこが対照的だった。

名門クラブは、なぜこのような状況に陥ってしまったのか。いったい、チーム内で何が起きているのか。

そもそも今季のレアル・マドリードは、無冠に終わった昨季の反省から、これまで数多くのタイトルに導いた名将カルロ・アンチェロッティとたもとを分かち、新進気鋭のシャビ・アロンソを新監督に招聘。

クラブOBでもある新指揮官は、ドイツのレバークーゼンを率いた2023−24シーズンにブンデスリーガ史上初の無敗優勝を達成するなど、再建役としてはうってつけの人物とされた。

その期待に応えるべく、シャビ・アロンソはラ・リーガ開幕から順調に白星を重ね、序盤からライバルのバルセロナと首位争いを演じるなど、順調な滑り出しを見せていた。

特に、FWにも前線からの守備を課し、現代サッカーで勝つために必要なエッセンスを完璧ではないにせよ植えつけながら、スター選手が組織として戦うことの意味を結果でも表現できていたことを、周囲も高く評価した。

個々のハードワークが欠かせないモダンな戦術が、ついにスター軍団にもインストールされるかもしれない。ファンが期待を寄せたその矢先、ある出来事をきっかけに、シャビ・アロンソのかじ取りが暗転してしまう。


昨年10月26日、バルセロナ戦で交代を命じるシャビ・アロンソ前監督(右)と、それに不満を示すヴィニシウス(左)

その事件は昨年10月26日、宿命のライバルであるバルセロナとの直接対決「エル・クラシコ」で起こった。

2-1でレアル・マドリードがリードしていた後半72分にシャビ・アロンソが選手交代を行なうと、交代を命じられたブラジル代表のヴィニシウスが「俺なのか? いつも俺だ。このチームを出ていく!」と叫び、不満を爆発させながらロッカールームに直行。

その後、スタッフの説得によりベンチに戻ったが、指揮官とスター選手との間に大きな亀裂が生じることになった。

試合後、メディアやサポーターから批判を浴びたヴィニシウスは、SNSで謝罪を表明。しかし一方で、クラブは自らのエゴによりチームの規律を乱したヴィニシウスに対し、特別なペナルティを与えることはなかった。

クラブの首脳陣が、監督の求める規律よりもスター選手の立場を守る姿勢を取ったことで、指揮官の求心力が急激に低下。

この事件以降、ピッチ上での規律も乱れ始め、CL優勝候補でもあるリバプール戦の敗戦を皮切りに、それまで公式戦で1敗しかしていなかったチームは昨年11月の公式戦6試合で2勝3分1敗と、成績も低迷するようになった。


新監督に就任したのは、下部組織を指揮していたアルバロ・アルベロア(左)。スター軍団をまとめることに専念している

そういう意味では、年明けの監督交代は起こるべくして起こったと言えるだろう。表向きには、「双方合意」とクラブは発表したが、実際はシャビ・アロンソが解任されたとみるのが妥当。そして、クラブが後任に指名したのは、現役時代にレアル・マドリードでシャビ・アロンソと共闘したアルベロアだった。

それまでレアル・マドリードの下部組織で指導していた人物を内部昇格させた格好だが、事の経緯から察しても、アルベロアにできることは限られていた。

すなわち、シャビ・アロンソを反面教師に、できるだけ選手たちに自由を与えて気持ち良くプレーさせること。それこそが、この特別なチームをよみがえらせる唯一とも言える方法だからだ。

実際、アルベロアが監督に就任すると、チームの雰囲気はガラッと変わった。シャビ・アロンソ時代に課された細かい戦術的要求から解放された選手たちは、自由を取り戻して楽しそうにプレーするようになった。

アルベロアも「選手たちの持ち味に逆らうことはできない。むしろそれを生かすべきだ」と語り、下部組織を指導していたときのようなチーム戦術を捨て、選手たちに気持ち良くプレーしてもらうためのマネジメントに専念している。

ただし、それだけでは戦術が高度化する現代サッカーで結果を出すことが難しくなっているのも事実。格下相手には個人の能力でごまかすことができても、相手のレベルがCLや国内の上位チームとなれば、苦戦は必至。前述のベンフィカ戦がその典型例で、現在はこの問題をどう解決するかが問われている。

果たして、アルベロア監督は解決策を見いだすことができるのか。現状、まだその兆しは見えておらず、名門クラブの先行きは不透明なままだ。

取材・文/中山 淳 写真/ゲッティイメージズ アフロ

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