「採用しても、辞めていく」 人手不足を乗り切る「外部リソース活用」3つの要点

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2026年02月11日 16:50  ITmedia ビジネスオンライン

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なぜ今「採用」よりも「外部活用」なのか。その理由と、企業が陥りがちな落とし穴を解説(写真提供:ゲッティイメージズ)

 人手不足が、多くの企業にとって「前提条件」になりつつあります。


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 背景には労働人口の減少、転職サービスの発達による転職志望者の増加、退職代行の利用増加などがあります。さらに若年層を中心とした勤労意識や責任感の減退などもあり、企業が人手を確保、定着させるハードルは日に日に高まっています。


 このような状況の中、外部リソースの活用に目を向ける企業もあります。人手不足の解消はAIやDXを活用しようという文脈で語られることも多いです。しかし、実態としてはAIやDXを活用しなくとも人手不足が解消されるのであれば簡単に解決できる問題も多く、その手段として外部リソースが着目されてきているわけです。


 なぜ外部リソースが選ばれるようになったのか。その背景と、活用を誤った場合に起こりやすい課題について整理していきます。


●人手不足は「一時的なトラブル」ではない


 かつて人手不足は、景気や業界特性によって波のある課題として捉えられていました。しかし現在は、特定の業界に限らず、多くの企業で恒常的なものとなっています。


 企業支援の現場でも、「採用を続けているが追いつかない」「現場の負担が減らない」「管理職がプレイヤー業務に戻らざるを得ない」といった相談が増えています。特徴的なのは、業績が悪いわけではなく、むしろ仕事はあるにもかかわらず、人が足りずに回らないというケースが多い点です。


 この状況下では、現場の努力や工夫だけで乗り切ることに限界が見え始めます。残業で補う、属人的な対応で何とか回すといった方法は、短期的には機能しても、長期的には現場の疲弊や、業務が集中した社員の離職を招きやすいからです。人手不足は一時的な問題ではなく、経営や業務設計をする上での前提として向き合うべき問題だと言えるでしょう。


●「採用強化」の死角 なぜ人を増やすと現場が疲弊するのか


 社内の人的リソースが増えれば解決する問題が多い反面、ただ採用にチカラを入れればいいわけではないのが、昨今の実情です。その背景には、採用コストや育成負荷の増大があります。募集広告費や人事工数は年々増え、採用後も即戦力になるまでには相応の時間と支援が必要です。


 さらに、せっかく育てても定着しないという課題もあります。人材の流動性が高まる中で、一定期間で退職してしまうケースすらあります。結果、業務が特定の人に依存し、属人化が進みやすくなります。属人化が進むほど、引き継ぎや業務改善は難しくなり、結果として現場全体の負荷が増していきます。


 つまり、社員を増やすこと自体が、必ずしも業務を楽にするとは限らない構造になっているのです。人が増えれば管理や調整の負担も増え、マネジメントコストも膨らんでいきます。採用や内製だけに頼る前提そのものを、見直す必要が出てきています。


●DX・AI導入がかえって「仕事を増やす」ケースも


 人手不足への対応策として、AIやDXに期待を寄せる企業も多くあります。一方で、「ツールを導入したものの成果が出ない」という相談も後を絶ちません。その原因の多くは、技術そのものではなく、業務設計にあります。


 本来、AIやDXは業務を代替・効率化するための手段です。しかし、業務の目的や役割、プロセスを整理しないままツールを導入してしまうと、「何のために使うのか分からない」「現場で使われない」といった状況も生まれます。結果として、AIやDXが新たな業務負担を生むケースすらあります。


 こうした状況の中で、外部リソースの活用も数多くの選択肢の一つになっています。単なるコスト削減や一時的な人手補完としてではなく、「人を採用できない前提で業務を成立させるための判断」として選ばれるケースが出てきています。


 外部に業務を切り出すことで、業務内容や成果物、役割分担を明確にせざるを得なくなります。その過程で、「本来やるべき業務は何か」「社内で抱える必要があるのか」といった問いが自然と浮かび上がります。結果として、業務の整理や優先順位付けが進むケースも少なくありません。


 外部リソースには必要なタイミング・範囲で活用できる柔軟性があります。固定的な人員を増やすのではなく、業務単位で設計できる点は、人手不足が常態化する環境においてメリットを持っています。


 さらに、外部リソースは、多くの場合「その道のプロ」であることも利点です。育成コストをかけずに、むしろ外部業者から先進的なやり方を学べる可能性があります。AIを活用したりDXを推進したりするには、自社で試行錯誤しなければいけません。一方、外部リソースでは一緒に最適な業務設計をすることも可能になります。


 単なる「作業の外注」ではなく、業務をどう設計し直すかを一緒に考えるパートナーとして機能させる観点も重要になっています。


●「外注すれば楽になる」という大きな勘違い


 一方で、外部リソースを活用しても成果につながらないケースも存在します。その多くは、「任せれば何とかなる」という誤解から生じています。目的や役割、成果基準を十分に定めないまま依頼すると、認識のズレが生じやすくなります。


 例えば、「とりあえず任せたが、思っていた結果と違う」「どこまでやってもらえるのか分からない」といった不満は、丸投げに近い状態から生まれがちです。外部リソースは万能ではなく、あくまで設計された業務を実行する存在です。


 社内で曖昧(あいまい)なままになっている業務を、そのまま外に出しても、課題は解決しません。むしろ、問題が顕在化しやすくなるだけです。外部活用は「代替」ではなく、「分担」であるという認識が欠かせません。


●業務設計で日頃から抑えるべき3つのポイント


 人材不足が前提となる時代では、「全てを社内で抱える」発想そのものがリスクになる可能性もあります。業務を分解し、役割ごとに最適な担い手を選ぶ。その一部として外部リソースを組み込むことで、無理のない体制を作れます。


 重要なのは、外部に任せるかどうかではなく、業務が回る構造をいかにして設計するかです。この視点を持つことで、外部リソースは単なる応急処置ではなく、持続的な経営判断の一部として機能するようになります。


 外部リソースを活用するには「何を任せるか」という業務設計が欠かせません。設計する際には、日頃から以下のようなポイントを抑えることが重要です。


(1)各業務の成果を定量的に把握する


 「どの業務が、どんな数値で推移していれば平常運転なのか」を把握するようにしましょう。そうすることで、数値の推移から担当部署がうまく機能しているかを把握でき、同様に外部リソースを活用した際にも判断基準にできます。


(2)資産となる業務とそうでない業務を切り分ける


 企業の競争力の源泉となる業務と、そうでない業務を切り分けましょう。前者を社内に残し、後者をアルバイトやパート、派遣社員、そして外部リソースなどに任せることが重要です。


(3)常に担当者の離職を想定する


 ある業務を担当している社員が離職したら回らなくなる状態を放置するのは、その業務の属人化を許しているということです。どの社員が離職しても、すぐに別の社員でその業務を回せるようにすることで、外部リソースへの移管もスムーズになります。


●組織の設計図を書き直そう


 人手不足が常態化する中で、採用や内製だけに頼ることは、ますます難しくなっています。とはいえ、外部リソースに任せれば全てが解決するわけではありません。


 目的や役割、成果基準を整理しないままでは、期待した成果は得られにくいでしょう。重要なのは、業務全体をどう設計するかという視点です。


 人材不足を一時的な問題として捉えるのではなく、前提条件として受け止める。その上で業務を再設計し、必要に応じて外部リソースを組み込むことが、これからの現場に求められる姿勢といえるのではないでしょうか。


(エッジコネクション社長 大村康雄)



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