
大相撲の元横綱・白鵬翔氏(40)が主催する国際相撲大会『第16回白鵬杯』が2月7日・8日の2日間、東京・江東区の『トヨタアリーナ東京』で開催された。今大会は初の2日間開催となり、約20カ国、約1700人が参加。注目を集めたのは、新設された小・中学生向け「女子の部」と高校生以上の男女「成人の部」の実施である─。
『白鵬杯』に女子部門、相撲をオリンピックへ
昨年6月に日本相撲協会を退職した白鵬氏にとって、本大会は退職後初の開催となった。会場が両国国技館から『トヨタアリーナ東京』へ移転したことで、国技館では難しかった女子の部の実施が可能に。これまで女子選手から「参加したい」との要望が多く寄せられていたといい、今回ついにその声に応える形となった。
白鵬氏は閉会後、「女子と成人の国際大会が増えていかなければ五輪というものはない。第一歩として非常に大きな取り組み」と意義を語り、「集まった350人の女の子たちに未来があるんだな、と。もう道が決まったなという気持ちで見ていた」と感想を述べた。
白鵬氏が最終目標として掲げるのは、相撲の2036年五輪での正式種目採用だ。国際オリンピック委員会(IOC)が五輪種目採用の条件として「男女平等種目」を重視していることは広く知られており、女子相撲の普及が課題となっている。2022年ワールドゲームズ女子無差別級で銀メダルに輝いた今日和選手も、「できない理由を探すのではなく、チャレンジ精神を持って取り組んでいく。相撲の教えです」と語っているとおり、相撲を五輪競技にする夢を掲げる女子選手も少なくない。
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「白鵬杯では国技館での開催時、女子の部を新設しようとする動きはあったものの、『土俵の女人禁制』が壁となり実現に至らなかった経緯があります。今回、会場変更により女子部門を新設したことは五輪競技化への事実上の一歩目といえますね」(相撲ライター)
玄人ファンの間では賛否が分かれる
白鵬氏の相撲五輪競技化について、相撲ファンの間では「女子選手カッコよかった。是非オリンピック種目になってほしいですね」という歓迎の声がある一方で、往年の好角家の中には伝統を重んじる観点から「五輪の種目になったら神事でもある大相撲の力士の価値が下がる」と慎重な見方を示す声も。
実際、相撲の五輪競技化に向けたハードルは高い。IOCが求める男女平等種目の条件をクリアするためには、女子を含めた国際大会を継続的に開催し、競技人口を増やす必要がある。日本女子相撲連盟によれば、国内の女子相撲競技人口は約2000人(2022年時点)に増加したとされるが、それでも他の競技と比較すると圧倒的に少ない。さらに深刻なのは、実業団まで相撲を続ける女性はわずか数人しかいないという現実である。
また、伝統を重んじるであろう日本相撲協会との関係も課題として残る。相撲協会を退職する時期に白鵬氏は「相撲協会を内部から変えていく夢は、諦めました。これからは、外からがんばりたい」と語っていただけに、夢実現に向けて「協会内部からの反発もあるのでは」といった見解も出ている。
白鵬杯に参加し、成人の部重量級で優勝した阿部なな選手(金沢学院大付高)は「会場も大きくて楽しかった。相撲が五輪種目になったらうれしい」と期待を込め、成人の部軽重量級で3位の元世界女王・長谷川理央選手(慶應大)は13年ぶりの白鵬杯出場に際して「注目してもらえる試合が増えるのはいいこと。相撲は全部面白いと思っているので女子だけ、男子だけじゃなくて、一緒になって盛り上がっていったら」と相撲の普及に期待を込めた。
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16回目にして新たな一歩を踏み出した白鵬杯。伝統と革新、国内と世界、賛成と反対…さまざまな視点が交錯する中で、白鵬氏が乗り越えなければいけないハードルは高い─。
