画像提供:マイナビニュース廃食用油などを集めて作る持続可能な航空燃料「SAF」の使用が広がっている。国産SAFの本格生産に取り組むコスモ石油はこのほど、山口県下関市との間で「廃食用油の資源化」促進に向けた連携協定を締結。持続可能な循環型社会の形成と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めていく。
官民連携で挑む脱炭素の枠組み
コスモ石油は2026年2月6日、山口県下関市との間で持続可能な社会の実現に向けた廃食用油の資源化を促進するための連携協定を締結した。締結式には下関市の前田晋太郎市長、コスモ石油マーケティング取締役常務執行役員の岡田忠志氏、日揮ホールディングス専務執行役員 TCOの秋鹿正敬氏、レボインターナショナル炭素源循環推進部 次長の栗山博明氏、SAFFAIRE SKY ENERGY最高執行責任者COOの西村勇毅氏が出席した。
今回の協定は、家庭や事業所から排出される廃食用油を回収し、国内で持続可能な航空燃料である「SAF」(Sustainable Aviation Fuel)として活用する仕組みを整えることが目的だ。これまで廃棄物として処理されてきた油を資源と捉え直し、国産SAFの製造につなげるための官民連携の枠組みとして機能させていく。
締結にあたり西村氏は、国産SAFの本格的な製造ラインの整備状況に触れた上で、「廃食用油を資源として循環させ、航空燃料という新たな用途へ結びつけるには、市民一人ひとりの行動変容が欠かせない」と話した。
共同提案者として参画した岡田氏は、脱炭素先行地域における取り組みの一環として、いかに地域資源の循環を形にするかを重視してきたと説明。今回の連携は、家庭から出る廃食用油を実際に循環させるための実効性ある活動として進めていく考えだ。
SAFは従来の航空燃料と原料が大きく異なる。化石燃料に頼らず、廃食用油や木、草、都市ごみ、微細藻類といった非化石資源から製造が可能だ。原料の違いは二酸化炭素の削減効果に直結し、なかでも廃食用油を用いた製造は効率が良く、削減効果も高いことから注目を集めている。
世界的にSAFの需要は急速に高まっており、ヨーロッパを中心に供給や使用の義務化が加速している。EUでは昨年から2パーセントの供給義務が開始され、日本でも官民協議会での議論を経て、供給義務化の方針が発表された。
一方で、供給事業者は欧米に偏っており、東南アジアにあるプラントも欧米企業がオーナーを務めているのが現状だ。日本国内には今のところ、本格的な製造を担うプレイヤーがほとんど存在していない。
こうした状況を受け、コスモらは製造体制の構築を進めている。コスモ石油は大阪・堺製油所内にプラントを建設し、2025年から供給を開始した。このプラントは日揮ホールディングスが建設を手掛けており、年間最大3万キロリットルの生産能力を持つ。原料の調達は大型タンカーで特定地域から運ぶ従来の手法ではなく、全国の事業者から廃食用油を買い取り、各地から集約する形式を採用しているという。
下関市役所から始まる資源の循環
下関市との連携では、廃食用油の回収からSAFへの加工、販売までを一体で運用する。家庭の廃食用油は2026年2月6日から下関市役所での回収をスタートし、今後は生活施設からの排出についても調整を続ける。
事業系についても回収を強化し、広く市民や事業者に活動を知ってもらうための施策を展開する。集まった油はSAFFAIRE SKY ENERGYのプラントで加工し、コスモ石油マーケティングを通じて販売する予定だ。
橋本 岬 2014年に法政大学大学院を中退後、女性ファッション誌の編集者を経てフリーランスに。得意ジャンルは、IT、スタートアップ、エンタメ、女性の働き方。2022年4月から2023年2月までカナダに語学留学。 この著者の記事一覧はこちら(橋本 岬)