写真もし義母から、夫と子どもにだけチョコが届いたら……あなたは笑って受け流せますか? それとも心がザワつきますか?
今回はそんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。
杉山佳苗さん(仮名・33歳)は、結婚4年目。夫と3歳の娘と、ごく普通の3人暮らしをしています。
◆バレンタインの日に格差を感じる義母からのプレゼント
そんなある日、義母から夫宛てにバレンタインのチョコレートが届きました。箱を開けると、立派なチョコがひとつ。そして、まるでオマケのように娘用のチョコがひとつ入っていたそう。
「え、私には? と思いました。普通こういう時には家族でどうぞ、という感じで大箱を贈らない? これじゃあ私にだけ食べるなと言っているのと同じなんだけど、と胸の中がザワザワしましたね」
差出人は義母。宛名はあくまで息子。そこに申し訳程度に添えられた孫。「嫁? そんな存在は最初から想定外です」と言わんばかりだと佳苗さんは感じました。
被害妄想か、それとも勘が鋭いのか、佳苗さんは「なんとなく悪意を感じ取った」と言いますが、感じ取るスピードがやや俊敏すぎる気もします。
◆義母に本音を伝えたところ……
そんな折、偶然義母に電話をかける用事ができた佳苗さんは、心のブレーキが壊れたかのように、つい本音を口にしてしまったそう。
「『チョコレートありがとうございます。ですが夫にも娘にも私があげますので、もう今後一切送ってくださらなくて結構です』と言ってやりました」
かなり直球で遠回し感ゼロのその言い方は、火にガソリンを注ぐ気満々のように思われても仕方がないかもしれません……。
「そしたら義母の逆鱗に触れたらしく『別にあなたにあげてないし、私は大切な息子と孫に送ったの! あなたには関係ないんだから黙っていて』とキンキン声で怒鳴られたんですよね」
そして佳苗さんは確信します。やっぱり、あのチョコは善意ではなく、明確な線引きだったのだと。
家族ではなく、息子と孫。義母の世界において“義理の娘”は最初から蚊帳の外。ここまでは、多くの人が「あるある」と頷く展開でしょう。
ですがここからが、佳苗さんの常識では測れないところでした。
◆佳苗さんの行動に、夫がまさかの発言
頭にきた彼女は、なんとそのチョコを両方とも食べ散らかしたそうで…。
「義母が息子と孫のためにわざわざ選んだチョコを、最も食べてほしくない私に雑に食べられているという気持ちよさが、市販のなんてことないチョコの味を引き立てていました」
このチョコは誰のものか? そんな理屈はこの際どうでもよくなってしまったのでしょうか。そんな復讐をして一時的に気が晴れても、冷静に考えるとダメージを受けるのは近い将来の自分だと分かります。
「帰宅した夫にワクワク顔で『お母さんがチョコ送ってくれたんだって?』と聞かれたので、正直に『私の分がなかったのでムカついて全部食べてやった』とありのままを話したんですよ」
すると返ってきた反応は、想像もしていなかったものでした。
「『なんで俺宛てのものを勝手に食べるんだよ! そんなの泥棒と一緒だからな! 楽しみにしていたのに……最悪だよ!』とものすごい剣幕で怒鳴られて」
義母の悪意には鈍感、チョコの消失には敏感な夫の態度に、佳苗さんは言葉を失いガッカリしてしまいました。
「なんとなく夫がマザコンなのは分かっていましたが、こんなに怒ることないと思いませんか?」
その気持ちも少しは分かります。ただし一方で「身勝手な理由でひとの物を食べてしまった」という事実も消えてはくれません。
そして義母への怒り、夫への失望、自分の行動への正当化が絡まり合い、そのまま夫婦喧嘩へと発展して揉めに揉めることになってしまったそう。
「その時に義母との溝よりも、実は夫との間にある溝の方が、ずっと深いのだということに気がついてしまって」
夫婦間のことは当人同士にしか分からないものですが、もしかしたらその溝をここまで広げてしまった原因の一端が、佳苗さんの“勢い任せな行動や発言”にあるのかもしれませんね。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop