
楽天グループは、2月12日、2025年度通期および第4四半期の決算説明会を開催した。
2025年通期の連結売上収益は、前年比9.5%増の2.5兆円となり、29期連続での増収を達成。特に前年比19%増となったフィンテックセグメントが成長に寄与した。モバイルセグメントの損失改善も貢献し、連結Non-GAAP営業利益は前年比992億円増の1063億円で増益を達成。連結EBITDA(減価償却前の営業利益)は、前年比33.7%増の4359億円となり、過去最高額を更新した。
以降は楽天モバイルに関する説明を中心にレポートする。
●冒頭で楽天モバイル1000万回線突破とEBITDA通期黒字化を報告
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プレゼンテーションを行った三木谷氏は、冒頭のサマリーで、楽天モバイルの全契約回線数が1000万回線を突破したこと、また楽天モバイルがEBITDA通期黒字化を達成したことを説明した。
楽天グループは今後、3つの領域に注力するという。1つ目は、楽天モバイルとエコシステムのシナジー拡大。楽天モバイルを契約したユーザーのグループ内サービス利用率が向上することは、従来も示されてきたが、より魅力を実感してもらえるように、クロスユースのベネフィットを改善・拡大していくという。また、データやショップといった楽天モバイルの資産を活用して、グループサービスの販促、新たな価値提供も推進していくとした。
2つ目はAI活用の加速。2026年度から全事業部門にチーフAIオフィサーを設置し、より広く専門的なAI活用を推進していく。3つ目は人材開発の強化。「100年企業として持続的に飛躍していくための組織づくりに注力する」と三木谷氏は語った。
●モバイル事業では初のEBITDA通期黒字化を達成
楽天モバイル、楽天シンフォニーが属するモバイルセグメントの売上収益は、前年同期比9.6%増の4828億円。Non-GAAP営業損失は、前年同期から471億円改善した。モバイル事業の成長に加え、楽天シンフォニーの収益性改善もあり、モバイルセグメントとして初のEBITDA通期黒字化を達成した。
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2025年12月末時点、楽天モバイルの全契約回線数は1001万回線に達した。契約と同じ月に解約した回線数を除いた調整後MNO解約率は1.46%、ARPUは2860円。楽天シンフォニーの12月末時点の顧客数(PoC、MoUを含む)は74顧客。RANなどの販売パートナー数は17社となっている。
楽天モバイルの第4四半期の売上収益は、契約回線数やARPU増加に伴うサービス売り上げの増加と、デバイス売り上げの増加が貢献し、前年同期比24.9%増の1018億円となった。Non-GAAP営業損失は、前年同期からは54億円の改善となった一方、販促力強化のための先行投資に伴って前四半期から損失が拡大し、408億円の営業損失となった。今後は再び継続的な損失縮小を見込んでいるという。EBITDAは通期の黒字化を達成した。
第4四半期のMNO回線数は59万回線の純増。楽天エコシステムからの獲得が好調なことや、デバイスの拡充、「Rakuten最強U-NEXT」などのコンテンツ促進が奏功し、若年層を中心とするデータ利用量の多いユーザー層で特に増加している。
今四半期のMNO解約率は、前四半期比で0.13ポイント上昇して1.46%。短期間で動くユーザーへの対応として、2025年11月から、累計5回線以上の契約に契約事務手数料がかかるようにしたことで、2025年12月の月次の解約率は、10月や11月と比べて改善しているという。「マーケット状況を注視しつつ、引き続きネットワーク品質の向上に努め、解約率の低減を目指す」(三木谷氏)。
●ホッパーには「業界として対応が進んでいくことを望んでいる」
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なお質疑応答で、総務省の有識者会議で話し合われている「ホッパー(MNPによって短期間で解約・契約を繰り返すユーザー)」と呼ばれる短期解約者や端末購入プログラムについて考えを聞かれた三木谷氏は、「ホッパーについてはあまり良いことではないので、業界として対応が進んでいくことを望んでいる。購入プログラムについては、どういう形になるのか分からないが、楽天モバイルの特徴は比較的低コスト体質なこと。十分対応可能ではないかと考えている」と回答した。
また、1000万回線を突破し、次の目標を尋ねられた三木谷氏は次のように語った。
「若年層や都市圏は比較的強いと思っていますが、シニアのマーケットシェアが非常に低い。シニアの方々に対して手厚いサービスを提供していきたい。地道に伸ばしていくというのが大きな戦略。しっかりとしたサービスを安定的に提供していくことが極めて重要だと思っています。私の口から地道っていう言葉はあまり聞かないかもしれませんが(笑)、地道にやっていきたいと思います」
ARPUは、前年同期比3円増の2860円。今四半期は、コンシューマーよりARPUが低い法人回線の獲得が進んだことで、前四半期よりも減少したと説明した。前年同期と比較すると、データARPUやオプションARPUなどで増加が見られ、今後も上昇トレンドが継続すると見ている。ARPUに関しては「各種施策によりデータ、オプション、広告と多面的な向上を図っていく」(三木谷氏)と語った。
3月からは春の新生活に合わせて、「Rakuten最強U-NEXT」の新たなキャンペーンを開催する。また、楽天モバイルの契約で楽天銀行の預金を上乗せするボーナス金利を2月から提供している。Rakuten最強U-NEXTの契約者には、より大きな金利が上乗せされている。
●2026年はネットワーク強化の年に 2000億円強の設備投資も
データ利用量の多い若年層のユーザーが増加しており、三木谷氏は「改めて2026年はネットワーク強化の年として重点的に対策を行っていきたい」との意気込みを語った。
楽天モバイルはKDDIのネットワークも借り受けながら運用しているが、特に都市部を中心に契約者数が急激に増えており、「トラフィック増加分はしっかり自社のネットワークでさばき切るよう、設備の増強を行っていきたい」と語る。
そこで、2026年度は2000億円強の設備投資を計画している。
「昨年(2025年)は当初計画していた1500億円の投資額には届かなかったが、今年(2026年)は工事業者との綿密な協力体制の構築はもちろん、社内の人的リソースも集中させ、基地局建設を加速していく。要望が多い繁華街や地下鉄の対策に重点的に取り組む。繁華街は5G基地局を整備してトラフィックを分散し、地下鉄は帯域幅の拡張を引き続き推進していく」(三木谷氏)
山手線の各駅で5Gネットワークの強化を進めている。2025年12月時点で主要18駅の5G対応を完了。2026年前半には残りの駅についても完了を見込んでいる。
地下鉄については、5MHzから20MHzへの帯域幅拡張に取り組んでいる他、5G Sub6やMassive MIMOなどを使った対策も推進していくという。
楽天シンフォニーについては、2025年度通期でNon-GAAP営業利益の黒字化を達成。低マージンであるハードウェアの納入から、高マージンであるソフトウェアと、そのカスタマイズ、保守を中心とした収益構造へとシフトしているという。クラウドについてはGoogle Cloud Marketplaceを通じて販路を拡大し、各種サービスにおける収益基盤の拡大を図っていくとした。
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