【ミラノ五輪】アリサ・リュウ「金メダル破損事件」の背景 「サステナブル」はいいけれど......

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2026年02月13日 12:00  webスポルティーバ

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 2月6日に開会式が行なわれたミラノ・コルティナ五輪では、連日のようにさまざまなドラマが生まれている。眩しい舞台でアスリートたちが渾身の戦いを見せる。そこで何かを勝ち取る、勝ち取れないは、あまり関係ない。懸命な姿そのものがヒーロー、ヒロインである。

 しかしながら、そんな彼らの感動に水を差すような出来事もいくつか起きている。

 フィギュアスケート団体で金メダルを勝ち取ったアメリカ代表のアリサ・リュウは、はしゃいでジャンプしたとき、留め具が外れてしまい、リボンとメダルが別々になってしまったという。彼女は自身のインスタグラムでキュートな笑顔を振りまきながら、「私のメダルにリボンは必要ありません!」と発信。あくまで不満を訴えているのではなく、かわいく冗談めかしているので、むしろ癒される動画でもある。

 だが、メダルが破損してしまったケースは何もアリサだけではなかった。

 アルペンスキー女子滑降で金メダルのブリージー・ジョンソン(アメリカ)、スキー女子複合20キロで銀メダルのエバ・アンデション(スウェーデン)、バイアスロン混合リレー銅メダルのユストゥス・シュトレロー(ドイツ)などが、それぞれが「メダル破損」を報告している。シュトレローは、みんなで喜び飛び跳ねている時に急にメダルが落下して損傷した模様で、直後に留め具とつなぎ直そうとして、本人は顔色を失っていた。

 大会組織委員会はこの件に関して謝罪し、原因究明を約束する一方で、「一部の問題」とも言っている。しかし、メダルは選手たちが心血を注いでつかみ取った勲章であって、たとえひとつでもよろしくはない。それが複数あるということは、製品チェックのプロセスで何らかの欠陥があったということだ。

「サステナブルな設計、構造になっていた」

 そんな説明もあるようだ。「サステナブル」というのは「リサイクル金属を用いるなど、環境負荷の低減を重視」を指し、どうやら留め具の部分が外せるようにもなっていたのがその理由だというのだが、リボンに対してメダルが重すぎるという指摘もあり、説明としては十分ではないだろう。

【コストカットは必要だが......】

 一昨年のパリ五輪でもエッフェル塔の廃材を使ったことでメダルが変色するというウソのような問題が出た。再利用は大事なことだし、お金をかければいいというわけではないが、これでは大舞台に挑み、メダルを目標とする選手への敬意を欠いているのではないか。

「サステナブル」「エコロジー」......。

 どんな大会であれ、関係者がこういった言葉を使う時はよくよく吟味すべきである。運営側がそれを旗印にするのは、単なるコストカットにすぎないことが往々にしてあるからだ。

 一方、フィギュアスケート団体では、表彰台に上がった選手たちが靴のブレードを損傷する"事件"も起こっている。銀メダルを獲得した日本人選手たちも、「刃こぼれした」と話しており、ザラザラとした表面でブレードを傷つけてしまったという。フィギュアスケートはほんのわずかなエッジの感覚が演技を大きく左右する。選手たちはその後、刃の研磨を受けたというが、これから個人戦が続くだけに看過できない事態だ。

 これは単純に、台の上をコーティングする作業を怠ったことが原因だとされる。こちらも組織委員会が謝罪することとなった。

 ちなみに、今回のオリンピックでのメディアに対するホスピタリティは極めて限定的である。

 たいていのオリンピックではメディアに対し、運営側から何らかの記念品のようなサービスがある。水筒やボールペンなど、それが本当にほしいかどうかは別にして、心尽くしを感じさせる品物だ。20年前、同じイタリアのトリノ五輪を取材したときは、リュックやスキンケアグッズやノートやペンやポーチなどお土産セットのようなものが出ていた。

 また、メディアセンターでは、日夜働く記者たちのために、ミネラルウォーターやホットコーヒーだけでなく、軽食が用意されていることが多い。しかし、ミラノではお湯があって、インスタントのコーヒーやティーパックがあるだけ。軽食どころか、水のペットボトルもない(なぜか一度だけ、アイスホッケー会場でスポーツ飲料のペットボトルがあった!)。

 最近の国際大会でいえば、パリ五輪ではバナナなどのフルーツやシリアルチョコバーなどが用意されていた。

 オリンピックの開催に膨大な経費がかかることは大きな問題になっている。どこから経費を節約するかと考えると、確かにメディア対応は一番簡単に削りやすいポイントなのかもしれない。

 しかし、選手を称えるためのメダルまでケチったら、それは大会自体のクオリティの話になってしまう。資金に限りはあるのだろうが、お金はかけるべきところにはかけるべきだろう。

このニュースに関するつぶやき

  • サステナブルと書いて手抜きと読む。SGDsだのEVだの再生可能エネルギーだのみんなそうだが、もうこういう環境詐欺は卒業すべきだと思うがね。
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