「肩身が狭いです」若者にブームの赤提灯やスナックで“居場所を失った”中年の嘆き。“自然な会話”もご法度に

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2026年02月13日 16:11  日刊SPA!

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※写真はイメージです
首都圏を中心に展開する居酒屋チェーン「それゆけ!鶏ヤロー!」が、一部店舗で「40歳以上お断り」とする方針を打ち出したことで大きな話題を呼んでいる。渋谷店や池袋店では、店頭に「入店は20〜39歳の方限定」「ここは若い世代の居酒屋です!」「アンダー40専門店」といった張り紙が掲げられている。
一部報道によれば、年齢制限の理由について、客層が若いなかで、その嗜好と店の雰囲気を一致させるためなのだとか。だが、その結果として、いわゆる“おじさん世代”は、酒場から締め出される形となっている。今回は「若者が増えた酒場で、居場所を失う中年たち」の実態に迫った。

◆平成レトロブームの裏側で戸惑うおじさんたち

「最近は平成レトロブームだか何だか知りませんが、赤提灯や横丁に若者が増えてきて、正直、肩身が狭いですよ……」

そう語るのは、都内在住の40代会社員・大橋さん(仮名・48歳)。令和に入った頃から、Z世代を中心に広がってきた平成レトロブーム。80年代後半〜2000年代初頭のファッションや音楽、カルチャーが再評価されるなか、その波はかつて中年男性の“居場所”だった酒場にも押し寄せている。

「この前、行きつけの赤提灯に行ったら、20代くらいの若い女性が2人で入ってきたんです。店に入るなり『エモい!』って言いながら、店内の写真を撮り始めて……。普段は若い子なんてほとんど来ない店なので、常連たちもなんとなく気を遣って、撮影の邪魔にならないように端に寄る感じになりました」

さらに、思わぬ形で“場違い感”を突きつけられたという。

「たまたま僕が写真に入っちゃったみたいで、『すみませ〜ん』って言われて。写り込まないように隣のお客さんにさらに身体を寄せましたよ。悪気はないのはわかるんですが……」

似たような経験は、一度や二度ではない。

「別の日には、横丁の立ち飲みで、若いグループが『昭和感ヤバい』『TikTokでバズりそう』なんて話しながら動画を撮っていて。店そのものが“観光地”みたいな扱いになってる感じで、常連としては複雑でした。さらに『おじさんたちも味あるよね』なんて会話が聞こえてきて。今度は勝手に被写体にされているみたいで、正直、いい気はしなかったですね」

大橋さんは、若者が来ること自体を否定したいわけではない。ただ、かつてはゆっくり過ごせた場所が、いつの間にか“気を遣う場所”に変わってしまったことに戸惑いを感じているという。

◆スナックでママを独占する若者たち

「若い子たちが来ることは別に悪くはない。でも、もう少しマナーの意識は持ってほしいな……と思うときがあります」

そう苦笑するのは、都内在住の会社員・佐藤さん(仮名・52歳)。数年前から若者にスナックブームがきている影響で、馴染みの店でも居心地の悪さを感じるようになったという。

「この前、仕事帰りに寄ったら、店の半分くらいが20代の男女グループで埋まっていました。ママには『少し前からスナックブームがあって、若い子が来てくれるようになったのよ』と言われました。普段は常連客とママがワイワイ話すような店なんですが、その日はそのグループの子たちが、ママにずっと人生相談のような話をしていました。他の男女はカラオケに夢中でマイクを離さないから、あぶれた常連さん同士の会話も聞こえない。

後日、ママには『この前はごめんね〜』と謝られました。スナックは昔から“おやじたちの憩いの場”だったはずなのに、いまはそうではなくなってきているのかと思うと、ちょっと寂しいような複雑な気持ちになります」

◆若い一見客に気を遣う店員に常連客は違和感

一方で、おやじたちの孤独感は関西でも広がっている。大阪の立ち飲み屋での体験を語ってくれたのは、府内の配送会社に勤務する澤部さん(仮名・45歳)だ。

「夜勤明けは、いつも京橋で朝から営業している立ち飲み屋に寄って帰るんです。同じように夜勤明けの常連客と並んで他愛もない話をするのがささやかな楽しみです」

ところが最近、その光景にも変化が出てきたという。

「立ち飲みブームの影響なのか、若い女性の姿が目立つようになってきました。それも、スーツケースを引いてきて、夜行バスか何かで旅行に来た感じの子たちです。狭い店なのでスーツケースがあるとさらに窮屈になる。彼女たちは気にする様子もなく、写真を撮ったり、スマホで配信をしたりして盛り上がっていましたが……」

さらに澤部さんが気になったのはその後だ。

「他の常連が声をかけたところ、相手はあからさまに嫌そうな表情をしていました。“ナンパ”のように受け取られてしまったみたいで、普段ならそんなことは言わない店員まで『ナンパはだめですよ〜』と注意し始めて……。声をかけた知り合いは気まずそうに会計を済ませ、そのまま帰っていきました。一見の客だから気を遣ったのかもしれませんが、立ち飲み屋は、知らない客同士でも自然に会話が生まれるのが醍醐味のはず。なんだか、店の雰囲気そのものが変わってしまったように感じましたね……」

昔ながらの酒場で、肩身を狭くしている中年たち。平成レトロブームのなかで、いまの若者たちに合わせた空間づくりをすることは、店によっては、合理的な選択かもしれない。しかし、店によっては、かつての常連たちが“場違いな存在”になりつつあるのも事実だろう。

<取材・文/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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