金融庁と東京証券取引所が改訂作業を進めているコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の原案が14日、判明した。取締役会について「現預金を投資に有効活用できているかを含め、不断に検証を行うべきだ」との役割を明記し、上場企業がため込んだ現預金を成長投資に振り向けるよう促す。月内に開く有識者会議に提示する。
指針の改訂は2021年以来、5年ぶり。原案をたたき台に有識者会議で議論した後、パブリックコメント(意見公募)を経て、今夏までに正式決定する。適用時期は移行期間を考慮し、今後調整する見通し。
指針の改訂案は、ルールで企業が取るべき行動を詳細に規定するのではなく、「原則」を示して企業に行動を促すという考え方を徹底。原則については、実施するか、実施しない場合には投資家などに理由を丁寧に説明するよう求める。その上で、「解釈指針」によって、原則の考え方や背景を補足する構成となっている。
改訂案では、原則として取締役会は経営資源の配分が適切かどうか「不断に検証を行うべきだ」と強調。解釈指針では、現預金の有効活用の検証を含め、企業の持続的成長に向けた実効的な監督を求めた。配当などによる過剰な株主還元をけん制する狙いがあるとみられる。
投資先の検討に当たっては設備や研究開発のほか、人的資本や知的財産、M&A(合併・買収)などを例示。経営戦略や経営計画と整合性を取る形で、投資方針を分かりやすく具体的に開示すべきだとした。
改訂に際しては、企業の開示負担などを考慮し重複部分を削除するなどスリム化も実施する。一方で、有価証券報告書の株主総会前の開示、取締役会事務局の機能強化といった企業側の負担につながるような要素も新たに盛り込んだ。
高市早苗首相は企業統治改革に意欲を示しており、昨年の参院予算委員会では、企業の行動に関して「株主に目を向ける行き過ぎた傾向があった」と指摘した。その上で「企業が経営資源を株主の還元のみならず、働いている方も含め適切に配分することを促していく」と語った。