
日本時間2月1日、ドジャースタジアムで行われたファン感謝イベント『ドジャーフェスト』に出席した大谷翔平。
“家族”が主人公の絵本が発売
「日本代表として、優勝すること以外は目指していないので、そこを目指して頑張りたいなと思っています」
3月6日に初戦を迎えるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への思いを語った。
「大谷選手はWBCでの二刀流について“まだわからない。まずはDHとして準備したい”と明言は避けていましたが、直後にロバーツ監督は“WBCでは投げない。これは彼の判断”と明かしていました。
2月6日、公式に登録選手が発表され、大谷選手は前回大会の二刀流登録ではなく、DHとして登録。大会規定では投手や二刀流登録の選手以外が、投手として登板することに大きな制限が設けられているため、打者のみでの出場が決定的となりました」(スポーツ紙記者、以下同)
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2023年の前回では二刀流の活躍で優勝に導き、MVPも獲得した大谷。今回は打者だけとはなるが、世界一連覇には欠かせない存在。
メジャーリーグのワールドシリーズ3連覇との“ダブル世界一”に向けて準備を進めているところだが、アメリカでは、愛する“家族”が主人公の絵本が発売された。
「現地時間2月3日に大谷選手も共同著者として名を連ねた、愛犬のデコピンを主人公にした絵本『DECOY SAVES OPENING DAY』の販売が開始されました。
現地テレビ局の『NBC NEWS』に出演した大谷選手は“自分とデコピンの物語を娘に読んであげられる本があればと思った”と、2025年4月の長女誕生が出版のきっかけだったことを明かしていました」
大谷の“デビュー作”は、メジャーリーグの開幕戦で始球式を任されたデコピンが、家に忘れてきたお気に入りの“ラッキーボール”を球場に届けようと奮闘する物語となっている。
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発売から1日で、アメリカのアマゾンの書籍ランキングでトップテン入り。日本では『デコピンのとくべつないちにち』のタイトルで2月20日に発売されるが、予約段階ですでにアマゾンの絵本売れ筋ランキングでトップになっている。
日米で話題沸騰となっているデコピンの絵本。その作画を担当したイラストレーターのファニー・リムさんに制作の裏側を聞くことができた。
デコピンを描くにあたって注意したこと
「デコピンを描くにあたって、まずは大谷選手のSNSに投稿された動画や写真、そして2024年8月に行われたデコピンの始球式の映像など、実生活における描写を研究しました。
姿勢や表情、タイミングを少し誇張することで、絵本の中でのキャラクターに温かみを込め、デコピンの外見を忠実に再現することで、幼い読者にもデコピンの感情が明確に伝わるようにしました」
創意工夫を凝らしたイラスト。その中でも特にデコピンを思う大谷の気持ちが描かれている場面は……。
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「デコピンが、大谷選手に向かって走る始球式の場面のイラストに表れていると思います。大谷選手の喜びや自信、信頼感を捉えて、大々的なイベントを個人的な感動の場へと昇華させています」(リムさん、以下同)
スーパースターと、その愛犬の物語を描くという重大な責務を全う。苦労やその先に感じたものがあるとも。
「最大の課題は、大谷選手のように広く尊敬されている人物に関連する本のイラストを担当するという責任感でした。大谷選手にとってデコピンがどれほど大切な存在であるかを確実に表現したかった。この絵本の制作を通じて、デコピンへの気遣いや動物保護活動への熱意を感じ、思慮深くて謙虚な人だという印象が強くなりました」
この本の著者の収益は全額、動物保護施設に寄付されるという。大谷は『NBC NEWS』のインタビューで、
「今思えば、デコピンにもっとおいしいごはんを買ってあげるために、少し交渉しておけばよかったかも。次は、そうします」
と冗談を言い、笑いを誘っていたが、これだけ注目される絵本の著者の収益が寄付されるとなれば、大きな社会貢献であることは間違いない。
世界的に影響力のある大谷が社会貢献につながる絵本を出すことは、どんな意義や価値があるのか。
出版文化において画期的
『大谷翔平はなぜ、壁を越えられるのか?』(光文社)などの著書がある作家・出版プロデューサーの西沢泰生さんに聞いた。
「花巻東高校時代に東日本大震災を経験している大谷選手は“自分の活躍で社会に何か貢献したい”という思いが強い。2025年11月に、子どもや動物への福祉をテーマにした『大谷翔平ファミリー財団』を設立しており、今回の絵本も財団のテーマのひとつである“動物福祉”への貢献という意味で大きな意義があると思います」
大谷自身が著者となり、愛犬を描く絵本。これまでのアスリートの絵本とは一線を画すものだ。
「過去に出版されたプロ野球選手の絵本といえば、王貞治さんを描いたものなどが思い浮かびますが、内容は伝記物語でした。伝記以外では、イチローさんと愛犬の一弓を描いた『イチローとイッキュウ』(文芸社)がありますが、原作者はイチローさんではありません。
今回は大谷選手が共同著者として原作にかかわっており、これは世界的にも珍しい例。出版文化において、画期的な企画だと思います。この本の成功によって、活躍しているアスリートが子どもでも読むことができる本を出し、その収益を社会に還元する、というムーブメントが起こるかもしれません」(西沢さん、以下同)
野球だけでなく、人間性も愛されている大谷だからできることだという。
「大谷選手の“得意であり、大好きな野球”を純粋に究めようとしている姿は、見ているとワクワクしたり、パワーがもらえます。それに加えて超人的な活躍をしても、偉ぶることがありません。今回の絵本も、主人公は自分ではなくてデコピン。そういった自然な謙虚さも大谷選手の魅力です。
さらに、デコピンも今や大谷選手と並ぶ大スター。人気のデコピンが始球式のボールだけでなく、世界中に“愛”を届ける。その愛に応えて動物保護へ気持ちよく寄付する。そんな共感と賛同の輪が世界中に広がるのではないかと思います」
“絵本作家”となり、社会貢献活動をする。大谷が新たな才能の片鱗を見せた。
