テレビアニメ『葬送のフリーレン』第2期場面カット(C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 テレビアニメ『葬送のフリーレン』第2期(毎週金曜 後11:00)が現在放送中。国内外で高い評価を受けた第1期から約2年を待たずに実現した続編に、フリーレン役の種崎敦美(※崎=たつさき)、フェルン役の市ノ瀬加那、シュタルク役の小林千晃はそれぞれどんな思いを抱いたのか。「うれしいより怖い」という率直な胸中から、第1期での芝居の葛藤、そして第2期で深まりゆく3人の“信頼感”と関係性の変化まで語ってもらった。
【画像】変化したのは関係性だけじゃない…『葬送のフリーレン』第2期場面カット 本作は、週刊少年サンデーで連載中の同名漫画を原作とした、魔王を倒した勇者一行のその後を描く“後日譚ファンタジー”。魔法使いのエルフ・フリーレンが、勇者亡き後の世界で、新しい仲間達と共に新たな冒険を繰り広げるストーリーだ。
■第2期決定には”怖さ”も?キャストが明かす本音
――第1期の放送から2年経たずに第2期放送ということで、視聴者としてもこんなに早くやってくれるんだっていう気持ちがありました。改めて、第2期が始まると聞いたときの気持ちを教えてください。
小林:本当にすごい反響を世界中の方々からいただいていたので、勝手に心のどこかで“やるだろうな”とは考えていて。それが実現したので、驚きというのはそこまでなかったんです。でもやっぱりうれしいというのはすごくありました。
市ノ瀬:私も“いつかやるだろうな”、“原作が続く限りはアニメも続いていったらいいな”とは思っていて。でも、やっぱり「やります」って直接お話をいただいたときは、実感と、原作のどこまで描かれるんだろうっていうワクワク感みたいなものが湧いてきました。
種崎:私も“うれしい”もあるんですけど、第1期が本当にすばらしかったので、正直なところ第2期はうれしいよりもちょっと“怖い”という感覚で。世界中の皆さまの期待に応えられるものをまた作り上げていくというプレッシャーが勝(まさ)ってしまいました。第1期のようなクオリティを、熱量を、もう1回集中させていく覚悟を持って臨まないとなと思いました。
――第1期で演技へのアプローチを悩んだ場面はありましたか?
小林:僕の演じるシュタルクが初登場したのは第5話だったので、途中からの参加でした。いざアフレコするとなったときに、自分の持ってきたシュタルクでどこまでやっていいのか、このお2人のお芝居に極限まで合わせて、もっと寄り添った方がいいのかとか、そのバランスはすごく悩みました。第5話の後半からの登場だったので、前半はじっくりと耳を傾けつつ、「どうしようかな」って思っていた気がします。
でも迷った結果、自分の中で答えは出なかったんですよね、後ろで見ている間は。まずはマイク前でお2人の横に立ったときに出たとこ勝負だなと。その上で「もうちょっとこうがいい」「こっちの方がいい」っていうのは、信頼している監督や音響監督に委ねようという気持ちで、思い切って立ってみました。
市ノ瀬:フェルンは、シュタルクが入ってきてからは“ツン”な部分が増えてきたので、どこまで踏み込んでいいのかなというのは、台本や原作を読みながら考えました。でも、考えても自分の中でぐるぐるしているだけだったので、現場でのお芝居の空気感を大切にしつつ、とにかくやってみようって…。そうしたら、思いのほか自分の想像していたフェルンじゃないものが出て、こうした現場で生まれるものがお芝居のよさだなと思いました。
種崎:温度感や空気感については、自分も一番家で悩んだんですけど、これも同じく、現場に行ってみなさんと掛け合ってみないとわからないなと思いました。ヒンメルのセリフにもあって、ヒンメル役の岡本信彦さんもよくおっしゃっていることなんですけど、第1話のアフレコに行って「なんとなく」が大事だなっていうことに気づいてから割と楽になりました。現場の空気感は大事です。
■変化した関係性 フェルンとシュタルクの現在地
――キャラクターらしさを表現するために、空気感以外で大事にされていたお芝居のポイントはありますか?
小林:第2期に関して言うと“信頼感”ですかね。作中でも第1期のときよりも年月を重ねていて、戦闘でも背中を預けて一緒に戦ってきたので、ちょっとしたフェルンとのやり取り1つとっても、第1期の頃よりビクビクしすぎないとか、へこみすぎないとか、長いこと一緒に行動してきたゆえの会話とかは、“意識した”と言ったらまた違うんですけど、大切にしたいなとは思っていました。
市ノ瀬:私は、いい意味での普通っぽさと言いますか、飾らずに、“1人の女の子”というところを大事に演じたいなと思っていました。戦闘シーンは今まで培ってきたすごい力を発揮しているシーンがいっぱいあるんですけど、日常のシーンではちょっと不器用で素直じゃない等身大の女の子らしさ、飾らないかわいらしさみたいなものを意識させていただきました。一級魔法使いになってもフェルンはフェルンかなって。
種崎:フリーレンは、体にもお芝居にもあまり力を入れすぎないことです。1000年生きているからこそ、いろんなところの力が抜けているのかなと第1期のころから考えてやっていました。さっき千晃さんもおっしゃっていましたけど、意識しようと思ってしたというのはあまりなくて。自然とそうなっていった感じなので、ヒンメルに倣ってではないですが、やはり「なんとなく」がこの作品のポイントでもあるのかもしれません。
――第1期も後半になってくるとキャラクターが一気に増えましたが、印象的な掛け合いはありましたか?
小林:一級魔法使い試験の第一次試験後に谷山紀章さん演じるヴィアベルに会って「おまえ、すごくいいな」って絡まれるくだりとか。シュタルクって、ザインとかもそうですけど、年上の同性を兄のように慕う傾向があって、逆に、子供とかお年寄りとか女性とか、非戦闘員みたいな方々には親しくしてもらえる。人なつこいというか、周りに人が集まりやすい性格なんだと思うんです。だから今思うと、最初の方でヴィアベルに翻弄されて「なんなの〜!」って叫んでいるシュタルクは意外とめずらしかったなって思います。
市ノ瀬:ザインが出てきて4人でパーティーを組んで冒険してからは、ザインにシュタルクのことを話したり、今までフリーレンとかには話せなかったことを話せる“お父さんみ”を感じさせる人が現れたことによって、フェルンがより子供っぽく感じる瞬間もあったなと思います。甘えるまではいかないですけど、無意識に頼る部分が…主にシュタルクのことで(笑)。
小林:フェルンは、フリーレンといるとやっぱりお母さんポジションに行かざるを得ないけど、さらにしっかりしている人がいるから、ちょっと新しい一面が出てきたのかもしれないですね。
種崎:バランスが少し変わった気がします。ずっとハイターと過ごしていたフェルンにとって年上の男性は頼りやすいんだと思います。
小林:たしかに。逆に同い年ぐらいとか、年下の男性との距離の詰め方とか関わり方がわかんないのかもしれないですね。それはシュタルクにも言えることですけど。
種崎:一級魔法使い試験のときに、本当にたくさんのキャラクターが出てきたんですけど、生きている時間とか力の差なのか、ずっと余裕で、誰と話していてもフリーレンは変わらない。でも、あれだけたくさんの人と触れあって会話して、試験も受けている中で、常にフェルンのことを気にしているんだなって。特に言葉にしているわけじゃないんですけど、他のキャラクターと触れ合うことで、どれだけフェルンのことを思っているかを知った第1期の後半でした。
――フリーレンの複製体と戦うときも本当にフェルンの話ばかりする印象がありました。
種崎:原作を読んでいるときは気づかなかったんですけど、演じながら「あれ?ずっとフェルンのこと考えてる」って思いました。
小林:ゼーリエと話しているときもそうですよね。間接的にフェルンがいる。
――第1期から比べて3人の関係性や掛け合いのテンポで変化を感じたところはありますか?特にフェルンとシュタルクに関しては「もう付き合っちゃえよ!!!」ってザインが言っていた通り、ちょっとそんな雰囲気も…。
小林:そうですね。共通の話題としていつもフリーレンの名前を出しちゃうとか、長い時間一緒にいるからこそ気づいてしまったこととかもあったりして。ただただ会話をしていたときは普通にいい雰囲気になっていたのが、逆にいろんなところに目が向いて気がつくようになって、ちょっとぎこちなさが生まれているのが、すごくリアリティがあるなと思いました。
市ノ瀬:シュタルクがあえて口にした言葉にフェルンも乗っかってくれて、ちょっと子供を見ているような気持ちで、なんだか応援したくなっちゃう(笑)。
小林:市ノ瀬さんからして、2人がってこと?
市ノ瀬:そうなんですよ。演じているときはフェルンですけど、演じた後にまた原作を読み返したりとかすると、すごくもどかしくて。そのぎこちなさが、本当にこの2人らしくていいなってすごく思って。このままでいてほしい気持ちと、ザインが言っていた言葉の両方が同じくらい存在します。
――小林さんがおっしゃったように、近しくなったからこそ生まれるもどかしさに変わってきてもいますよね。
小林:そこは表裏一体だなって思いますね。関係性とか距離感が近くなればなるほど気づくことが多くなって、気を遣ってしまったりとか、これは言わない方がいいかなとか、そういうことが生まれてくる。でもシュタルクの成長は感じました。あれだけ気を遣わずに平気で言っていたのが、ある程度はフェルンのことも慮れるようになったという成長を感じつつも、その成長があることでより特別な関係になるときには、かえってそれが邪魔になってしまうなと思いますし…不思議ですね。
――種崎さんはフリーレンとして、2人との関係に変化は感じていますか?
種崎:それぞれに求められたことは返しますけど、多分フリーレンはザインみたいに「もう付き合っちゃえよ!!!」とかは思ってないと思います。ただ険悪なのだけやめてくれよって思ってる(笑)。シュタルクへのアドバイスは割と的確だったりして、でもそのアドバイスを元にとったシュタルクの言動で、フェルンがモヤモヤしちゃったりとか、もはや何もしない方がいいのでは?みたいな(笑)。人間って難しいです。