
世界を振り回し続けるトランプ大統領ですが、中東・イランへの軍事攻撃に踏み切る可能性を示唆しています。一体、何が起きているのか?両国が直接衝突すると日本は、世界はどうなるのか?中東を取材しつづけている須賀川さんとともに紐解きます。
【地図で見る】“イラク戦争以来の規模感”中東地域における米軍配備
中東に米軍艦艇が集結で高まる緊張中東に向かって海上を進むアメリカ軍最新鋭の空母、「ジェラルド・フォード」。
今、中東地域には、2隻の空母など10を超える艦艇が集結し始めています。
アメリカメディアによると、トランプ政権が近く、イランに対して軍事行動に踏み切る可能性があるというのです。
アメリカ トランプ大統領(19日)
「合意に応じるか、そうしないなら彼らにとって不幸な結果になるだろう」
「合意」とは、核開発をめぐるアメリカとイランの協議のことです。
2025年6月、イランの核施設などに攻撃を行ったイスラエルとアメリカ。
イランの核開発を制限したいアメリカは、2月に入り、イランとの協議を再開しましたが、合意に至っていません。
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専門家は、軍事行動の可能性について…
元イラン大使・関西学院大学 齊藤貢 客員教授
「今日の時点で(軍事行動の可能性は)70%ですね。イランに圧力をかけたらイラン側が降りるだろうと期待したが、全然降りてこないと。ただここまで(トランプ氏は)拳を振り上げてしまったので」
実際、アメリカ政府は、中東・レバノンの大使館員の一部と家族に国外退避を命じました。レバノンにあるアメリカの施設が、報復攻撃を受けることを警戒したものだとみられます。
報復合戦で国際社会がパニックに?「日本にも影響」現実味を帯びてきた軍事行動。ただ、米軍の制服組トップからはこんな懸念も。
「イランへの攻撃に踏み切ると、兵士が危険にさらされ、作戦が困難に直面する」
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こうした見通しを、アメリカ軍のケイン統合参謀本部議長がトランプ大統領らに伝えたと、ワシントン・ポストが報じました。
報道を受けて、トランプ大統領は自身のSNSに「ケイン氏がイランとの戦争に反対しているとの報道があるが、100%の誤りだ」と投稿。
トランプ氏がここまで強硬な姿勢を崩さないのは、11月に控える中間選挙への焦りから、という見方もあります。
では、もしアメリカが軍事行動に踏み切ると、イランはどう対抗するのでしょうか。
元イラン大使・関西学院大学 齊藤貢 客員教授
「アメリカが1発殴ってきたら、5発くらい殴り返して、『イランに攻撃すると痛い目に遭うぞ』というのを見せたい、見せると思う。だから非常にアメリカにダメージが起きる形」
さらに、イランの反撃次第では世界情勢に大きな影響を与えかねないと指摘します。
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元イラン大使・関西学院大学 齊藤貢 客員教授
「(イランは)サウジアラビアやUAEなど、対岸のアラブ産油国の石油輸出関連施設を直接いきなり攻撃するんじゃないかと思われる。国際社会がパニックになる。これは非常に日本にも影響があるし、非常に心配している」
アメリカ政府高官が「最後のチャンスになる可能性が高い」と話すアメリカとイランの次回の協議は、26日に迫っています。
アメリカの本気度見える米軍配備 “イラク戦争以来の規模”小川彩佳キャスター:
イランをめぐる情勢が、また緊迫してきています。実際にアメリカが、イランに対して軍事行動に踏み切る可能性はどれだけあるのか、また今どれだけ切迫してるのでしょうか。
前JNN中東支局長 須賀川拓さん:
今アメリカは、イランの周りにかなりの数の最新鋭の空母、そしてイージス艦などのミサイル駆逐艦を展開しています。これは「イラク戦争以来の規模感」と言われています。
さらにもう一つ、イランの主力兵器はミサイル、特に遠くの国を攻撃するための「弾道ミサイル」です。
これを探知するために、アメリカは「AWACS・E-3」という極めて高度な早期警戒管制機を運用しています。ただすごく高価な機体なのでそれほど台数を持っていないのですが、その大部分が、いま中東に集結しています。
アメリカ軍が全世界で展開している作戦というのは他にもあるわけですから、その辺りを全部停止して「AWACS・E-3」を中東に集結させていると言っても過言ではありません。
そうなると、どういう状況なのか何となくわかってくるのではないかと思います。
小説家 真山仁さん:
完全にもう戦争が始まりますよね。最近トランプ大統領が、急に何かをやり出すことが多いですよね、突然、他国の大統領を捕まえてきたり。「これは冗談でしょ」と言えなくなってきている頻度が上がっています。
小川キャスター:
中東地域でのアメリカ軍の配備を見ると、今後起こりうる衝突の大きさ・規模もこれまでと全く違ったものになる可能性もありそうです。
前JNN中東支局長 須賀川拓さん:
この部隊が動くことももちろんそうですが、これだけの部隊が動くということは、偶発的な事故が起きる可能性も出てきます。
過去にも1988年のイラン・イラク戦争のときに、イランから飛んできた旅客機、いわゆる民間機をアメリカの当時最新鋭だったイージス艦が戦闘機と誤認して撃墜し、民間人300人以上が亡くなっています。
極めて不幸なボタンの掛け違いが仮に起きてしまうと、取り返しのつかない報復の応酬に繋がってしまうことが懸念されます。
藤森祥平キャスター:
26日にスイスで行われる、イランとアメリカの核協議が大きなポイントですね。
前JNN中東支局長 須賀川拓さん:
偶発的な衝突とは別の次元で、イランがしびれを切らす可能性があります。つまり、今まではこうした核協議があるときに、イランとアメリカでそれぞれがやり合って、多少の被害を出して何となく収めるということはありました。
今回は、イラン側の報復によってアメリカの犠牲が出る可能性があります。そうなると、さらに拡大する可能性があります。
小説家 真山仁さん:
これだけあれば、少しでも何か動くとアメリカに犠牲が出るというのは当然ではないでしょうか。
前JNN中東支局長 須賀川拓さん:
ベネズエラの件では起きませんでした。そのためトランプ大統領は、かなりいま自信を持っている可能性もあります。イランがちょっかいを出してくることを待ってるわけではないです。
藤森キャスター:
2025年はイスラエルからイランに攻撃があり、イランがやり返して、今度はアメリカがイランを攻撃して、イランがカタールのアメリカ軍を攻撃する、という形で複雑に絡み合いました。
前JNN中東支局長 須賀川拓さん:
中東が火の海に包まれる可能性があります。
小川キャスター:
いま緊張が高まっているこの段階でも、日本への影響は避けられないのでしょうか。
前JNN中東支局長 須賀川拓さん:
日本の原油の9割はこのホルムズ海峡を通っています。国民生活がいきなり破綻することにはなりませんが、かなりの警戒が必要だと思います。
小説家 真山仁さん:
中東と聞くと遠いと思ってしまいますが、例えば日本の石油は中東に依存しています。さらに集団的自衛権をどうするのか、もしかすると初めての決断をしなければいけない可能性も出てきます。
やはり最近すごく「もうちょっと戦争」というタイミングがすごい増えてる気がします。そうすると、偶発的な戦争が起きるかもしれないですよね。
世界は戦争しないと収まらなくなっているのか、という気がすごくします。
やはり日本は一つの国として、アメリカの状況を見て、言うべきことを言う覚悟もしなければいけないと思います。
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<プロフィール>
須賀川拓さん
前JNN中東支局長
イランやガザなど紛争地を取材
現在はReHacQ等で活動
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
最新作は能登地震がテーマの「ここにいるよ」
