
近年、「欲しいと思ったらもう在庫がない」「SNSで話題になると一気に消える」といった声が多いワークマン。どんなにいい商品でも、買えないのでは意味がありません。一部ユーザーからは「品薄商法ではないのか」など厳しい声も。
【画像】2100万点生産へ 今売れてる“メディヒール”シリーズ公式ランキング
そこでねとらぼリサーチでは、ワークマン広報担当者に「在庫不足になるのはどうしてなのか、補充はできないのか、今後在庫不足は解消されるのか」など、消費者が気になる点を聞きました。企業側の考えと実情をインタビューで明らかにしていきます。
——まず、ワークマンの生産体制はどういったものなのでしょうか。商品の初期生産量はどのように決めていますか?
ワークマン広報担当者(以下・広報) ワークマンでは、部門ごとに各アイテムの生産数を決めています。過去実績やお客様の声などをもとに、このジャンルならこのぐらいという数をざっくり決め、また、フランチャイズシステムのため、オーナーさんの要望も鑑みて決定しています。店舗にはバックルームがほとんどないので、お店では大量の商品を保管することができません。店舗の売り場効率を上げるために、できるだけ売り場面積を広くとっているからです。その分、商品はワークマンの倉庫で保管しており、膨大な数の在庫を持っていますが、とにかく商品数が多いため必要以上に在庫を抱えるとすぐに倉庫が埋まってしまいます。
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——先日の春夏新製品発表会で土屋専務からお話があったように、「これまではどんなに売れたアイテムでも実績の1.3倍まで」だったのでしょうか。
広報 そうですね。やはり在庫リスクを回避するために、これまでは「最大で過去実績の1.3倍」という方針がありました。現在ワークマンの倉庫は東日本だけで5つあり、群馬県伊勢崎市の倉庫は東京ドーム何個分といったかなりの大きさです。埼玉県の上里倉庫は靴だけを置いていて、広さとしては4075坪、25メートルプール約45個分の大きさです。それでも、常にいっぱいなんです。そのためこれまではかなり慎重に生産数を設定していました。
——なるほど。想像を絶する量なんだろうなと感じます。しかし、あまりにもユーザーから「買えない」という声が多く、昨年の秋冬発表会では専務から「在庫を切らさない宣言」も出されましたね。
広報 宣言したものの、結局はメディヒールの在庫が20日しかもたなかったんですよね。本当に申し訳なく思っています。「足りなくなったら作ればいい」と思われるんですが、ワークマンの安さの最大の秘訣が「工場の閑散期にまとめて発注すること」なんです。アパレルなので、繁忙期と閑散期が明確にあり、工場が暇な時期に発注することで、価格交渉がしやすくなっています。なので売れたから追加しよう、というのが難しいんですよね。
——その中でも例えば、メディヒールシリーズなどはあまりにも売れているので次のサイクルで追加、みたいなことはないんですか?
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広報 最近は一部アイテムですがシーズン内に追加生産をしようという流れはあります。売れ行きやお客様の声を受け、かなり早い段階で予測を立てて売上上位のアイテムに関してはシーズン内に追加することもあります。ただ、ワークマンの価格帯だと、原価に対して多くの利益をのせているわけではないので、海外で生産したものを飛行機で持ってくることができないんです。基本的には船便になるので、時間もかかるわけです。
——それは価格を考えても当然ですよね。「なくなったら作ればいい。話題になったらもうない」という声はよく聞きますが、この作り方をしているから今の価格で出せている、という事情があるわけですね。
広報 ワークマンの良さでもあり難しさだと思っているのが、「アイテム数の多さ」です。どれもこれも大量に作るわけにはいかないので、いくつかのアイテムに絞って“マス化”商品を作っていこうというのが今の流れです。それがメディヒール、半導体冷房服、Xシェルター、UVアイテム、インナーの5カテゴリです。
——先日の発表会でも専務からお話がありましたね。メディヒールに関しては昨年319万点販売したところ、今年は2100万点作ると。ちょっと信じられない数ですよね。
広報 本当に、これまでのワークマンの常識を覆す量です。これまでは人気アイテムでも10万、20万点が普通でしたから。メディヒールシリーズは2月10日から再入荷・新製品の販売を開始し、発売初日の販売点数は約27万点、一週間で約120万枚と、驚異的なスピードで売れ続けています。それでも十分な数を作っているので、今度こそ本当に「在庫切らさない宣言」を信じていただければと。2100万点って、どうやって作るんだろうという感じではありますが(笑)。
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——出遅れても買える数はあるということですね。それなら安心です。ちなみに、マス化5アイテム以外は、やはり売り切れたら終了になっちゃうんですかね。
広報 そうですね……できるだけお客様の要望に応えられるように計画しますが、すべてに応えるのはなかなか難しいかなと思います。ワークマンは「お客様の声のする方へ」というポリシーがあるので、多くの声をあげていただければ、できる限り対応する流れになるはずです。
——なるほど。ではみんなで「これが足りない」「これを作って」という声をあげればいいということですね。
——もう一点お聞きしたいのが、オンラインストアの在庫についてです。人気アイテムでもオンラインストアに在庫がなかったり、店舗のみ販売だったりすると思うんですが、これにはどんな理由があるんでしょうか。
広報 まず、ワークマンのオンラインストアの意義が他社と違うということが挙げられます。他社はオンラインストアで販売し利益に直結することが多いと思いますが、ワークマンの場合はフランチャイズシステムをとっていることもあり、あくまでもオンラインで商品を見て、お店に行っていただきたいという思いがあります。商品には発送代をのせていないので、大量に購入いただいた場合(1万円以上送料無料)は送料を弊社が負担することになり、利益が出ない可能性もあります。また、もともとワークマンは作業服からスタートしたお店なので、扱っている商品が特殊なんですよね。高機能ウェアなど、実際に目で見て、手に取ってもらわないとわからない部分が多くあります。そのため、ぜひ店舗に足を運んでいただけるとうれしいです。
——近くに店舗がない場合もあるので、ユーザー視点だとオンラインストアで買えるのはありがたいですが、なかなか難しいんですね……。
広報 そういった要望に応えるため、まずは国内1500店舗を目指します。最終的には国内2000店舗を目指し、「近所にある店」になるように努めます。もともと作業服のお店なので、例えば現場に行く人が今日使う手袋がなかったら仕事にならないですよね。そこは守りつつ、作業服とは別軸でワークマンカラーズを展開し、「トレンドの服や定番アイテムに機能性をプラスし、低価格で」提供したいという思いがあります。また、シルエットなどもお悩みを解決してくれるようにこだわっています。今後はさらに皆さんのご近所にある店を目指し、“何かあったら思い出してくれるお店”になるといいなと思っています。
ここまで、ワークマン広報担当者にお話を聞きました。「すべては低価格で商品を提供するため」という、ワークマンのこだわりが感じられたのではないでしょうか。
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