画像はイメージです。※画像生成にAIを使用しています 現在、小学生女児を中心に巻き起こる「シールブーム」。その人気は子どもだけにとどまらず、大人までもを巻き込み、ブームが加熱。中でも立体シール「ボンボンドロップシール」(ボンドロ)が注目を集め、シール販売店への殺到や大量買い占めによる店側の負担増、高額転売、さらには転売目的でシールを万引きしたとして逮捕者が出る事態にまで発展しています。
子ども同士の「シール交換」がトラブルに発展したケースや、シール代が生活費を圧迫しているといった声もSNS上であふれており、シールブームの被害者ともいえる人々の声も多く上がっている。今回は小学4年生の女児をもつ理沙さん(仮名・30代/主婦)に、シールブームによる「親の苦悩」についてお話を伺いました。
◆何気なく始めた「シル活」…思ったのと違った
「娘がシール集め「シル活」にハマったきっかけは、お友達の影響でした。『シール帳やってる?』といった話題が学校内でよく出るようになり、そこからSNSでもよく見かけるようになって、どんどんハマっていったという流れです。
私自身が子どもの時にもシール交換が流行したことがあり、最初は『懐かしい〜! ママもやってたよ!』と娘と共通の話題ができて、親子で楽しくシールを集めていました。最初は100均で売られているシールを買ってきてシール帳に貼っていたのですが、娘が急に『私もレートが高いシールが欲しい』と言い出したんです」
理沙さん自身は、あまりSNSを頻繁にチェックするタイプではないそうで、最初は“レートが高いシールって何?”という状態だったと話してくれました。
「娘に話を聞くと、レートが高いシールというのが希少性のあるボンドロだということが分かりました。娘は100均のシールしか持っていなかったため、お友達に『そのシールはレートが低いから交換できない』と言われたようで、その子はママから『ボンドロはレートが高いから100均のシールとは交換しちゃダメ!』と言われていたのだそう。調べてみると、ボンドロは1シート550円するので、これをみんなが買い漁っていると知って驚きました」
◆ボンドロがないとお友達と遊べない?
「ある日、学校から帰って来ると『お友達がボンドロいっぱい買えたんだって! いいなー』などと羨ましそうに話してきたので、娘と一緒にSNSで発売日をリサーチして、店頭に並んで購入することができました。憧れのボンドロを手に取ったときの娘は本当に嬉しそうで、『これで友達と遊べる!』といった言葉を聞いて、そのとき少し違和感を覚えたんです。
娘に『それってどういう意味?』と聞くと、友達に『レートが高いシールを持っていない人とは遊べない』と言われたんだそう。いじめにまでつながらなくても、流行りものをどれだけ持っているかで人間関係にヒビが入ってしまうのかと思うと、残念な気持ちになりました。そこから我が家のシル活は、気づいたら“娘がハブられないように”という気持ちが強くなっていきました」
シル活は、家庭の財力の有無や親の協力、関心が必要不可欠なのだと感じたという理沙さん。子どもの楽しみを奪いたくない気持ちから、ボンドロはたまに購入しています。
「娘は最初のころ、お友達とシール交換したときに、ボンドロをもらった代わりに普通のシール5枚を渡すことでお互いに了承して交換してきたことがありました。次の日、お友達から『ママに怒られたから返してほしい』と言われたこともあり、レートの不釣り合いがトラブルを招いてしまう怖さを感じました。
親が必死に自分の子どものために購入したシールだというのも理解できるのですが、『嫌われたくないからあげる』『断れないからあげて後からトラブルになる』なんて話もよく耳にするので、シールが招くトラブルは計り知れないと感じています」
◆子どもより親の熱がすごい……
「娘のお友達は、親もシール集めに夢中な方が多く、休みのたびに家族総出でシール探しに出かけているという話を聞きました。娘はそんなお友達親子を羨ましく思っているようで、なんだかモヤモヤしています。私のママ友でも、子どもと一緒にシール沼にハマって、出かけるたびにシールを探し、子どものためにフリマサイトで高額取引されているシールを購入しているんだそう。
パパもおじいちゃんもおばあちゃんも、みんなが子ども(孫)のために、なんとかシールを手に入れようと必死になっている姿を見て、『昔のシール交換とは違うなぁ』と改めて感じています。私は、お小遣いの範囲で楽しむ分にはいいけれど、生活費を圧迫するほどシールにお金をかけられないし、『レートが高いシールを持っているのが上』のようなマウント合戦を感じる、子ども同士のやり取りにも違和感しかありません」
理沙さんいわく、周りでも子どもよりも親の方が本気になってシールを探している人が多いと語ってくれました。理沙さんは娘さんと話し合い、お小遣いの範囲でシル活を楽しむスタイルにしていると言います。
「親子で一緒に楽しめるのはとても良いことだと思います。しかし、手に入れるのも大変、手に入れたあとも交換でモヤモヤしたりトラブルになったり、正直しんどさがあるのも事実です。子どもが可愛らしいシールに夢中になるのは微笑ましいですが、そこに大人が参入して転売ヤーまで現れるようになってしまうと、それは子どもの世界ではなくなるし、おかしなブームだなぁと客観的に思ってしまいます」
ネット上でも、仲間外れやシールの盗難などトラブルについての投稿が相次いでいる現状、売り手の企業側も対応に追われており、大手衣料品チェーンのしまむらはオンラインでの販売中止を発表するなど、シールブームの加熱による弊害が出ているようです。楽しくシル活できている方もいれば、このブームが早く去ってほしいと願っている方がいるのも事実なのでしょう。
<取材・文/鈴木風香>
【鈴木風香】
フリーライター・記者。ファッション・美容の専門学校を卒業後、アパレル企業にて勤務。息子2人の出産を経てライターとして活動を開始。ママ目線での情報をお届け。Instagram:@yuyz.mama