※写真はイメージです長年美容師として働いてきました。わたし(KUMAこと熊坂裕一郎)自身は、この仕事を天職だと感じておりますが、「お客様の一言で心が折れそう……」と感じたことは何度もあります。
今日は、そんなエピソードをお伝えいたします。
◆【1】前のお店の話ばかりされたとき
時々あるケースなのですが、はじめて来店されたお客さまから、どれだけ丁寧にお話を聞いて髪を仕上げていっても、
「前の美容師さんんは、こんな風に切ってくれたのよ!」
「あ〜、そこは前の美容師さんはこうしてくれた」 と、ことあるごとに、前の美容師さんの事を言われることがあります。
正直なところ
「それなら前の美容室に行けばいいのに……」
なんて思ってしまいます。
技術も接客も丁寧にやったつもりなのに、足りないのだろうかと落ち込むことがあります。
一方で「前の人に失敗されたのよ」 と、前の美容師の悪口を、延々と話されるお客さんもいます。
正直、これはこれで困ります。
同調することもできないし、否定することもできず、どんな反応をしてよいのやら……。そしてふと、「自分の悪口も、よそでそんな風に話すのかなぁ」と考えてしまいます。
◆【2】「お任せ」と言われたのに、あとから不満がでるとき
「お任せで大丈夫です!似合うようにしてくれれば!」 というオーダーではじまったのに、途中や仕上がり後に
「やっぱりこうしてこうして!」
「違う、もっとこうしてほしかった」
と修正の依頼が入ることがあります。
経験を積んだ今は、表情や言葉の端々からある程度、読み取れるようになりました。
しかし、新人の頃は、正直それができませんでした。
「そこを切るとバランスが崩れそうだな」と思って避けた部分を、あとから「やっぱりそこも切ってほしかった」と言われる。
最初に言ってもらえたら対応できたのにな……と、新人のときは本当に悩みました。
◆【3】理不尽なクレームで、自分だけが謝らされるとき
毎日、たくさんのお客さまが来られますが、中には理不尽なクレームだと思わざるを得ないこともあります。
お客さんの希望通りにやったのに、結果が気に入らなければすべてこちらの責任となり、場をおさめるために謝らざるを得ないこともあります。
たとえば、カット中に「ここ、もっと切ってほしい」と言われ、
「ここをカットすると全体的にバランスが崩れてしまいますが……」
「いいの!私が切ってって言うんだから切ってください!」というやりとりがあったとします。
その結果、「ここ、カットしすぎですよね?」 と言われ、
「えっと、ですから……」 と説明しようとしても、聞く耳を持ってもらえないこともあります。
こんな場合でも、店として「とりあえず謝っておいて」という対応になることが少なくありません。美容師側としては、「事前にあれだけ説明したのに」という、しんどい気持ちになってしまいます。
◆【4】頑張っても、給料がほとんど変わらないと知ったとき
どんどんお客さまに指名されるようになり、売上にも貢献している。後輩の相談にも乗って、お店の役に立っている。
そんな実感を持てるようになっても、残念ながら給与はほとんど変わりません。
歩合制のお店であれば、働いた分だけ評価されますが、そうでない場合は、努力が給与にはあまり反映されないことが多いのです。
「どれだけ頑張っても、ここが天井なんだ」 と思った瞬間、心が折れそうになります。
◆【5】技術よりも、切るスピードと回転率の悪さを責められたとき
お客さまに丁寧に向き合えば、どうしても時間がかかってしまうことがあります。
それなのに、「もっと早く」「回転率が悪い」と店側から言われることがあります。もちろん回転率が大切なことは理解しています。それでも、丁寧さよりスピードだけを求められると、
「自分が大切にしているものは何だろう」と考えてしまいます。
◆美容師が辞める理由は、人間関係とお金が多い
美容師が辞める理由として「技術が身につかない」という話は、ほとんど聞きません。多くは、人間関係とお金です。
好きで選んだ仕事でも、評価されない、守られない、報われない……。
そう感じたとき、人の心は簡単に折れそうになります。
それでも現場に立ち続ける美容師がいるのは、この仕事にしかない“誰かを変えられる瞬間”を知っているからです。
華やかに見える業界の裏側には、意外と泥臭い現実があります。それでも今日も、美容師は笑顔で「いらっしゃいませ」と言っています。
<文/KUMA>
【KUMA】
髪質改善専門家・美容師。東京都江東区にてリピート率95%以上の髪質改善専門店「area」を3店舗経営。極度のダメージヘアやクセの強い髪もサラサラ・ツヤツヤにさせる独自の施術に定評があり、全国各地から髪に悩みを抱える人々が大勢訪れる。YouTubeチャンネル「美容師くまのこだわりTV」で自宅で簡単にできる髪質ケアを中心に発信。